闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

オリンパス事件の光と影  その19

2015年11月18日

オリンパス事件の光と影  その19


 もう完全に世間から忘れられているオリンパス事件ですが、いまだにいろんなものが飛び出してくる「まだ決して終結していないオリンパス事件」の続報です。

 オリンパスは11月10日に「英国裁判所による判決について」なるIRを出しました。要はオリンパスおよび子会社のGyrus group Limited(以下「ジャイラス社」)が、英国のSerious Fraud Office(重大不正捜査局=以下「SFO」)から訴追されていたところ、本日正式に無罪判決となり裁判が終結したというものです。

 訴追内容は、ジャイラス社が決算に関して監査法人に対して誤解を与える説明を行い英国2006年会社法第501条に違反した疑いがあるというもので、あくまでも英国法人であるジャイラス社が自社の決算に関して英国法に違反していたかどうかが争われていました。

 SFOの捜査対象は英国法人だけで、一応オリンパス本社も親会社なので被告とされていましたが、訴追対象は実質的に英国法人のジャイラス社だけだったはずです。

 ジャイラス社と言えば、オリンパスがその買収に際して損失隠しの解消に使ったとされていますが(正確には違うのですが紙面の関係で省きます)、別にジャイラス社そのものの決算に会計上の問題があったわけではなく、最初から無理筋で無罪評決は当然の結果でした。

 それでは何でこんな無理筋をSFOが取り扱ったのかというと、2011年10月14日早朝の臨時取締役会で執行役社長を解任されたウッドフォードが、すぐさまFinancial Times 東京支局のジョナサン・ソーブル記者に洗いざらいの社内資料を渡して記事にするように頼み(事実、記事になりオリンパス事件の発端となった)、帰国するとその足でジャイラス買収を含む一切の資料を抱えてSFOに駆け込んでいたからです。

 この時点でウッドフォードが解任されたのは執行役社長の役職だけで、まだ会社法上の取締役の地位にあり(同年11月30日に辞任)、大変に問題のある一連の行動だったことになります。

 まあSFOもタレ込みがあった以上は取り扱わないわけにはいかず、2013年9月3日に英国サザーク刑事法院(Crown Court at Southwark)に起訴していました。今回はその刑事法院と英国控訴院刑事部(Court of Appeal Criminal Division)それぞれが無罪判決を出したようで、確かにIRにあるように完全終結となります。

 無罪判決自体は当然だったのですが、それにしても何でこのタイミングで?が少し気になります。

 本誌で何度も書いてきたように、オリンパス事件には必ず「延長戦」があり、米国司法当局がオリンパス本社を証券詐欺で訴追して巨額罰金を課すと予想していました。オリンパスが米国内の株主を欺いたとすれば米国法で裁けることになるからです。

 10月27日付け「オリンパス事件の光と影 その18」で書いたように、このジャイラスにかかわる部分がオリンパス事件の中核であるとすれば間違いなくその辺りの事情を最もよく承知している佐川肇氏が、明らかな司法取引で米国では「ほぼ無罪放免」とされていました。

 つまり米国司法当局は佐川氏からオリンパスを米国内で有罪に持ち込める「有利な証言」を山ほど得ているはずで、米国政府の巨額罰金ビジネスを決して侮ってはいけません。

 ところがその佐川氏が先日のこのこ帰国し、東京地検特捜部が在宅起訴していました。形式的に裁判は行われるものの軽微な処分となるはずです。

 ここで、何で米国当局は「大事な証人であるはずの佐川氏を簡単に帰国させたのだろう?」と不思議に思っていたところ、今回のSFOの無罪判決です。オリンパス事件で名前のあげられたジャイラス社を無罪にしてしまったら、米国内での訴追(されたとして)には少なくとも有利にはならないからです。

 経済事件に関しては米国と英国は見事に連携を取っています。マネーロンダリング事件でもLIBOR不正操作事件でも完全に共同歩調を取っていました。

 この辺りを総合して考えると、米国司法当局はオリンパスの損失隠しについて米国内で訴追するつもりがないような気がしてきました。

 だとするともう「待っているもの」がなくなったため、大変に時間がかかっていたオリンパ事件の単行本を一気に書き上げてしまおうと思っています。もう少しだけお待ちください。

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:10 | TrackBack:0
関連記事
コメント
もうほとんど興味のわかない事件になりましたね。3年前なら買ったかもしれません・・・。
アメリカの罰金ビジネスからは
到底逃れられる気がしませんが。。
何かがあったのでしょうか?
米国当局はコメルツバンクから多額の罰金確保したので方針が変わったのかな?
単独犯で済むとは思いませんでしたがシンガポール当局が動かなければほんとにこれで終了ですかね。
http://www.bloomberg.com/news/articles/2016-01-15/ex-olympus-ceo-woodford-sues-company-for-breach-of-contract
ウッドフォード氏がオリンパスを提訴

闇株さん解説おねがいします。

憶測ですがオリンパスが昨年のSFOの無罪判決を受けて突然支払いストップとかしたんでしょうかねー?
http://samuraiandidiots.com/
長編ドキュメンタリ ー映画
サムライと愚か者~オリンパス事件の全貌~

結局オリンパス本はお蔵入りなんでしょうか?
粉飾指南役に二審も有罪判決 オリンパス事件
判決理由で「オリンパス関係者の求めに応じて損失隠しのスキームを構築した」と認定。
その上で「粉飾と認識しつつ、ファンドの維持管理や資金環流に関与するなどして虚偽記載に寄与した」と判断した
単行本の出版を待っていますが、出版されるか否か気になっています。現状をご説明頂ければ幸いです。
急遽上映中止、公式サイト閉鎖。
何か圧力でもあったのでしょうか。。
コメントの投稿
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

09月 | 2017年10月 | 11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム