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日銀が「唐突に」発表したマイナス金利導入とは?

2016年02月02日

日銀が「唐突に」発表したマイナス金利導入とは?


 マイナス金利については、配信済みのメルマガ「闇株新聞 プレミアム」で詳しく解説していますが、ここでは報道であまり触れられていないポイントに絞って書きます。

 まず日銀が1月29日に「唐突に」発表したマイナス金利導入とは、日銀の国債保有額を年間80兆円増加させる(償還分の再投資も含めると年間120兆円くらい購入する)などの量的・質的緩和には変更を加えず、日銀当座預金の「これからの増加分」だけに0.1%のマイナス金利を適用するものです。

 1月20日現在の日銀は331兆円の国債を保有しており、それを94兆円の日銀券(お札)と256兆円の当座預金でファイナンスしています。日銀券は日銀の永久負債なので自己資本に準じますが、当座預金は全く「他人の金」で日銀のものではありません。

 ここで当座預金全体にマイナス金利を適用すると、さすがに預けている金融機関が引き出してしまうため日銀は巨大な国債保有額をファイナンスできなくなり、国債市場が大混乱になってしまいます。だから「これからの増加分」だけに適用するのでしょう。

 日銀はこれからも保有国債が年間80兆円のペースで増加するように購入するので、その資金の大半も当座預金でファイナンスすることになります。また日銀に国債を売却する金融機関は、その売却代金すべての資金需要があるわけではないので、その大半は日銀当座預金に置きっぱなしとなります。

 今まではその当座預金全体に年利0.1%の金利が支払われており、今後も基本的には現在の当座預金残高に対しては0.1%が支払われますが、「これからの増加分」に対してはマイナス0.1%が適用されることになります。

 つまり金融機関はいままで通り日銀にせっせと国債を売却するはずですが、その代金を当座預金に置きっぱなしというわけにもいかないので自ら運用しようとします。日銀はそれで貸付が増えると安直に期待しているようですが、銀行員はなかなかそんなリスクが取れないため、結局は短期金融市場でマイナス0.1%より有利であるなら(マイナス0.08%とか)そちらに資金を回すことになります。

 したがって短期金融市場の金利はマイナス0.1%近くまで下がり、残存年数の短い国債の利回りもマイナスになります。本日は実際に残存8年くらいまでの利回りはマイナスになっています。 

 さらに本日(2月1日)は10年国債利回りも0.06%まで低下しています。さすがに10年国債は短期金融市場の代替商品ではありませんが、短い(8年未満ですが)国債のマイナス利回りに引っ張られていることになります。

 余談ですが円資金を10年間運用して(確かに倒産リスクはないようですが)リターンが年率0.06%しかない国(日本)の物価が2%も上昇するはずがありません。日銀はこの2%の物価上昇目標を実現するためにマイナス金利を導入したのであれば(実際は2017年4月の消費再増税実施を確実なものにするために株高・円安にしたいだけですが)、自らその目標を遠ざけてしまっていることになります。

 マイナス金利はECBでも導入しており、金利の最低はゼロであるという考えを捨てればそれほど不思議なものではありません。

 ところが日銀が今回導入したマイナス金利とは、あくまでも「日銀当座預金のこれからの増加分」だけとなるため、日本の短期金融市場全体にマイナス金利は波及しないような気がしますが、短期金融市場での運用はすぐに満期が来て再投資されるため速やかに「巨大な」短期金融市場全体にマイナス金利が波及してしまいます。

 これは国債利回りについても同じことで、本来マイナス金利は「日銀当座預金のこれからの増加分」に適用されるだけで、その金額は年間で最大80兆円のはずです。ところがそれで1000兆円もある国債市場全体の利回りが「劇的」に低下しています。

 つまり世界中の日本国債保有者に(その最大が当の日銀ですが)一夜にして巨額の含み益がプレゼントされたことになります。繰り返しですが「たかだか年間80兆円」にマイナス金利が適用されるだけで(しかも現在はゼロで1年後に80兆円になるだけで)、はるかに巨大な短期金融市場と1000兆円の国債残高(一部は重複しています)すべての利回りを、マイナスにあるいは劇的に引き下げてしまいました。

 「尻尾が犬を振り回す」という諺がありますが、そんな生易しいものではなく、「紙切れ(日銀のお触れ)1枚で巨大な短期金融市場と1000兆円の国債市場を振り回している」ことになります。

 「ちょっと安直すぎないかなあ?」と考えてしまいます。

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コメント
>一夜にして巨額の含み益がプレゼント
え!マイナス金利って最大保有国中国にプレゼント?
「日銀当座預金のこれからの増加分」が年間で最大80兆円とありますが、これにマイナス金利0.1%を乗じた800億円が銀行業界に与える最大コストと解釈できますか?ご教示いただけたら幸いです。

また、マイナス金利が貸し渋りやATM手数料の値上げ(事実上の預金者に対するマイナス金利?)につながらないかも気になります。ご見解ちょうだいできますか。
ATM手数料値上げ!
たしかにATM手数料は銀行にとって大きな収入源ですよね。
しかしもう定期預金の金利も普通と同じでは、銀行に預金する意味はまったくありません。ここで、ATMの手数料まで値上げされたら、多くの人がお金を銀行に預けるのをやめるのではないでしょうか。
 また、上げるなら全銀行一斉に手数料を値上げするのでないと、意味がないですね。一行でも手数料が安いところがあれば、そこに預金が集中するでしょう。
 増加分だけではなく、すべてに適用したら、それこそ大変なことになるような気がするのですが、どうも文章を見ていると、すべてに適用するように進言しているように感じます。
MMF
MMF廃止とか弊害あり
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