闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

「長期金利 史上初のマイナスへ」の意味を直感的に考える

2016年02月10日

「長期金利 史上初のマイナスへ」の意味を直感的に考える


 「長期金利」がマイナスになったと報道されていますが、正確に書くと「長期金利の代表である10年国債利回り」が本日(2月9日)、一時マイナス0.035%と史上初めてマイナスになりました。

 また残存年数1~6年の国債利回りは全てマイナス0.25%あたりに並んでいます。さらに本日の日経平均は918円安の16085円、円相場は昼頃に一時1ドル=114.20円まで円高となりました。

 この10年国債利回りがマイナスとなった意味を考えてみます。報道は政治家や評論家の「わかったような解説」ばかりなので、逆にごく直感的に解説します。

 まず日本の国債は元本リスクがなく現金と同等と考えられます。そもそも国債は日本政府の負債であり、現金は日銀の負債であるため、同じようなものです。

 それでは10年国債とは「現金を10年間運用するもの」で、10年国債の利回りとは「現金を10年間、元本リスクがないと思われる運用をして得られる利息あるいは利益」の年率換算であるはずです。

 つまりその10年国債利回りがマイナスになったということは、日本では現金を10年間「元本リスクがないと思われる方法」で運用すると、少なくとも何の利息も利益も得られないことになります。

 じゃあ「元本リスクがある運用」をすれば利息あるいは利益が得られるのか?と言われれば確かにその通りですが、10年後にその元本が無事に返ってくるか?と言われれば「ラッキーだったら返ってくるかもしれないね」となります。
 
 日本では極端なリスクを取らない限り現金を10年間運用して(少なくとも)プラスの利息や利益が得られず、要するに儲かるビジネスがなく、日本経済の向こう10年間は「プラス成長にならない」と、市場が漠然と認識していることになります。

 本日の5年国債利回りはマイナス0.25%なので、日本では現金を向こう5年間運用すると「ほぼ間違いなく損をする」ことになり、向こう5年間の日本経済は「ほぼ間違いなくマイナス成長である」と、市場が漠然と認識していることになります。

 10年国債利回りの方が高い(マイナス幅が少ない)理由は、5年だと「ほぼ間違いなく損をする」けど10年だと「ひょっとするとトントン近くになるかもしれない」という漠然とした希望があるからだけです。本日の20年国債利回りが0.7%である理由も同じです。

 つまり日本経済が縮んでいることを国債市場が「漠然と認識しはじめた」ことになり、したがって日経平均も急落し、現金(円)の価値が大きくなるため為替市場でも円高になっていると考えるべきです。

 国債利回りの低下は「異次元」量的緩和を続けているからではないか?

 日本経済が成長していれば現金への需要(以下「資金需要」)があるはずで、「異次元」量的緩和で国債利回りが低下すると、どこかで資金需要が出てきて利回りの低下が止まるはずです。それがマイナス利回りまで低下してしまったということは、資金需要がどこにもなく、収益がプラスになる投資(ビジネス)もどこにもなく、日本経済は全く成長していないことになります。

 日銀が1月29日にマイナス金利導入を決めたので、国債利回りがマイナスになってもおかしくないだろう?

 1月29日のマイナス金利導入とは、日銀当座預金のうち10兆円だけに(たぶんずっと10兆円くらい)マイナス金利を適用するだけの「とんでもない誇大発表」だったのですが、それで1000兆円もある国債利回りが劇的に低下して、その8割もの国債の利回りをマイナスにしてしまいました。

 日本経済が(予想だけでも)成長して資金需要があるなら、ここまで極端なことにはなりません。そしてこのマイナス金利導入こそ、日本経済が縮んでいることが改めて認識される「きっかけ」になったはずです。

 マイナス金利導入から10日ほどで、急激に日本経済が縮んだわけではないだろう?

 国債利回りは急に下落したわけではないため日本経済は以前から縮んでいたはずですが、マイナス金利導入でその認識が急激に大きくなり、それがさらに国債利回りを低下させ、それがさらに市場心理を悪化させ日本経済が加速して縮む「負のスパイラル」に入ったと考えます。

 そういう漠然とした認識が、株安と円高を加速させることにもなります。

 これがマイナスになった10年国債利回り、より正確な表現ではマイナス利回りになるまで10年国債利回りの低下が止まらなかった「直感的な」解説です。

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:17 | TrackBack:0
関連記事
コメント
為替が円高になる意味がわかりません。
日本経済がダメになり、日経平均が暴落するのはわかるのですが、それであれば円も売られて円安になるのではないでしょうか?
通過だけが価値が高くなるのが不思議です。

またこのままいったら1ドル100円を割ってくるのでしょうか?
やはり説明不足でしたが、日本経済が縮むということは現金(円)の価値がだんだん上がるということで(時間がたつほどたくさんのモノやサービスが買えるから)、為替市場における円相場とは各国通貨に対する円の相対価値ではあるものの、日本経済の現金(円のことです)価値が上がるスピードが他の国より高いため円高になると考えられます。つまりマイナス経済=円高となります。

同じように日本株が下落するのは、日本経済がダメになるからというより(もちろんそれもありますが)、日本経済では上場企業が生み出すモノやサービスより現金の価値が高くなるので、企業価値を表す株価より現金の価値が高くなる(つまり株価が下落する)と考えられます。

マイナス金利下では、このように発想を切り替える必要があります。

闇株新聞編集部
質問さんと全く同じです。
その理屈なら円は安くなるはずでは?
先日のマイナス金利導入の勝ち組はメガバンクでコメントさせていただいた地方銀行関係者です。

中小企業金融と住宅ローン市場の現場のお話・・・

まず中小企業金融に関しては、金利が下がったからといって資金需要が増えることはないです。(政府は増えると思ってるようだが)

よく今回のマイナス金利で以下のようなことが言われるのではないでしょうか。

①中小企業への貸し渋り改善
②設備投資増加

どちらも金利が下がろうが、マイナス金利だろうが効果ありません。
①については、よく日本の銀行は貸し渋りをして中小企業をいじめてるなんて言われますが、それは事実誤認でそもそも日本において貸し渋りなんてのは不動産業等一部業種を除いて今の時代存在しません。(この話は長くなるので割愛。異論がある方がいればまた書きますが)たぶん、世界中で日本ほど中小企業に手厚い金融制度がある国はないので(あったらゴメンなさい。笑)

②については、例えばモノを作ってる企業で「商品が売れ残り在庫がある」、「売値が下がり厳しい」というそもそもの状況で「金利が下がったから設備投資する!」なんて阿呆な社長いる訳がありません。(いたらいたでこんな経営者に貸していいのか?笑)

・・・・・・・

次に住宅ローン市場について・・・

よくデンマークがマイナス金利の住宅ローンで羨ましいという方がいますが、日本も実質的に住宅ローンはマイナス金利です。

住宅ローン金利は0.6パーセントですが住宅ローンの所得控除が今は残高の1パーセント適用されるので、実質的にマイナス0.4パーセントということになります。(それも10年間)

4千万の家を建てたら金利がタダどころか毎年16万円貰える!ってことです。
住宅市場については個人的にはこれが限界(むしろピーク?)と思っていて、この状況で建てないという人は金利に関係なく建てないということです。

・・・・・・・・・・

結局、利下げというのは高い金利を低くするから効果があるのであって、十分低いのにさらにさげても効果はありません。

内需が拡大しないのは、「若者のクルマ離れ」とか「酒離れ」なんてライフスタイルの変化(欲がない)の集合体であって、「中央銀行が利下げしたから若者がクルマに乗り出した」なんてことは起こらないのです。


以上が日々、中小企業の現場と住宅市場に触れてる者の感想です。

闇株さんの記事を毎日楽しみにしてます。
粉飾銀行員さんの書き込み勉強になりました。
マイナス金利とか金融政策の限界を感じます。マイナス金利とか、なんでそこまでして量的緩和をする必要があるんですかね。
長期金利マイナスで円高。
ということは、それを予想できなかった黒田氏は
日銀総裁の資格無し、ということでしょうか。

まさか、円高になるとわかっていて、マイナス金利を
導入したわけでもないでしょうに。
いつも楽しみに拝見させていただいています。
マイナス金利のこの状況、まだ理解できないでいます。
ただ、円高になって収益が改善できる企業もあると思います。
あのスカイマークは、円高だったから利益が出せていたと考えています。
ところで、クロトンは今回のことでどう評価されるのかワクワクして見ています。
もしかしてクビかなとか。
個人的には彼の表情とかあまり好きになれないので。
投資よりもタンス預金な時代
つまり、
1、経済が縮む
2、投資するだけ無駄
3、お金をそのまま保持(タンス預金)したほうがいい
次は現金保有禁止か新札切り替えでしょうか。

海外から見れば
日銀が国債を爆買いする約束をしてくれてるので
「とりあえず円持っておこうか」
になってるだけの気がします。
だとすればずっと持ってくれるわけでなく
どこかで景気回復があればすぐに売却されるでしょう。

そのときはどうなるのでしょう。

為替操作にしても金利操作にしても
実体経済を動かす政策がなければ
何にもならない気がしますし
将来に閉塞感を感じております。
グローバル危機時に円高になることは今に始まった事ではなく、アルゴでただ単にトレードされているだけのように思います。円キャリーの巻き戻し説や闇株さんが指摘されている理由もなるほどなと思いますが、理解しにくいですね、為替の動きは。
マイナス金利って
「おい地銀!仕事(運用)しろよ!」ってことでしょ?
手数料あげたり金利下げたり・・ 
他業種だったら解体&クビ
>>名無しさん

お客さんがお金いらないっていうのに無理やり貸したら、それは押し売りですし、そんなことして貸したお金は口座に入ったまんまです。それに不要な利息を負担するのは立場の弱い中小企業です(今でもたくさんやってます、銀行用語でドレッシングっていいます。笑)

まあ銀行も仕事をしてない訳でなく、手数料の高い投信や保険を売って膨大な利益を上げてますのでご心配なく(笑)
>>名無しさん

追記

せっかくなので上述のドレッシングについての銀行の恥部のお話。

最近のゆとり世代の若手銀行員は自らの左遷を覚悟の上で「中小企業に不要な利息を負担させてはいけない」なんて言って支店長や経営陣のドレッシングの指示を拒否するのもいるんですよ。

ええ、もちろんそんな銀行員は干されて今は冷や飯を食ってますよ。優秀な銀行員だったんですけどねえ(笑)

・・・・・・・

こういった若者のような活きたお金を融資するのが本当の信頼できるバンカーだと思いますよ。


>手数料の高い投信や保険を売って膨大な利益を上げてますのでご心配なく(笑)

なるほどお客さんは膨大な損益を上げてそうですね(笑)
恐縮です!!
古賀茂明氏にメールが送れず本欄に送信。また闇株読者と彼に、ぜひ読んでいただきたく発信。
1、かつては彼に対して、鋭い政府批判を行い身分も捨てる「魂」のある立派なサムライと考えていました。
2、ところが、現代ビジネス・政治を考えるで、厚生年金を論じているが、実につまらない。
3、それは解釈だけで、問題の本質をなんら解明していない。さらには、打開の方向性も示さない。
4、安保法案の時でも、左右の批判をするだけで、自分の立場と解決の手立てを示さない。
5、この思想の本質は、「人間不信」である。「バカな国民には分からない」と言うもの。かつて数年前、原発問題で左右の論陣をバッタバッタと切り捨て、自分はどちらでもないと言う輩がいた。それに対しシナプスの断線と批判したら、捨て台詞で消えた。彼はその程度のものであろう。
 最後に闇株様に提言。本欄に単なる批判や罵声に近い発言はアップしないことが重要なのでは・・・。理由は、ゴミや吸い殻は、ディズニーには無い。無いわけではなく、あったら担当者が「すぐに拾う」からである。闇株の品位と見識を保つには、小さなゴミを放置しないこと大切と思うのだが。さて・・・

  粉飾銀行員 さん、あんまりこういうところで本音書かない方がいいよ。ITのプロなら簡単に特定しちゃうから。バンカーなら尚更気をつけないと。
サクラですよ
セナさん、こういう書き込みはサクラです。
特定されても問題ありません。
ご安心ください。
周りを読む・・・・
今の世の中、周りを読む輩がほとんどなんかね!だから思っている事が言えないで、時の勢力がある奴が幅を利かしあたかも多数勢力のように見られるという、実に都合の良い言論統制みたいなものがはびこる原因なんだろな。周りを気にする人間は、世論操作をするには都合の良いひとくくりではありますね。今のこの国の政治がよ~く示しているではないですか。何事も表現しないと始まりませんね。
コメントの投稿
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

09月 | 2017年10月 | 11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム