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国際収支統計から読む「円高反転」

2016年02月12日

国際収支統計から読む「円高反転」


 本日(2月11日)は祝日ですが、海外市場では夕刻に1ドル=111円前後の円高になっています。日銀がマイナス金利導入を発表した1月29日には一時1ドル=121.68円まで円安となっていたため、かなり急激な円高反転となります。

 ところで本誌は昨年(2015年)12月16日付け「そろそろ円安終了?」などに書いたように、いずれ円高反転と予想していました。

 これは自慢しているわけではなく、その主な根拠として「日本の経常収支黒字が急拡大している」ことと「日本の官民機関投資家の狂ったような海外証券投資が持続不能のペースであり早晩鈍る」ことを挙げていましたが、その2つが如実に現れた2015年通年の国際収支状況(速報)が2月8日に財務省から発表されました。

 2015年通年の経常収支は16兆6413億円の黒字と、史上最少だった2014年の2兆6458億円の黒字から13兆9955億円もの改善となりました。ちなみに史上最高の黒字は2007年の24兆9490億円です。

 2015年の経常収支の主な内訳は、貿易収支(モノだけ)は6434億円の赤字と2014年の10兆4016億円の赤字から9兆7582億円もの改善となりました。改善の内訳は輸出が1兆756億円の増加(ただし輸出数量は前年比1.0%減少)、輸入が8兆6828億円もの減少(輸入数量も2.8%減少)でした。

 また対外投資の利息などの投資収益である第一次所得収支は20兆7767億円と史上最高の黒字で、2014年の18兆1203億円の黒字からさらに2兆6563億円増加しました。

 経常収支の黒字すべてが「外貨の流入」とは限らず(円での受け取りもあるから)、全てが外貨売り要因とも限りませんが、今後も黒字拡大が続きそうなため「円高」になりやすい環境が続くはずです。

 それより問題は金融収支です。2015年の金融収支は21兆1374億円の対外資産増加(つまり外貨流出)となっており、これは2014年の5兆4991億円の約4倍にもなります。

 経常収支の黒字(外貨流入)と金融収支の対外資産増加(外貨流出)は同額になる必要はなく、2015年は4兆7674億円も(2014年は3兆520億円も)外貨流出が多くなっており、誤差脱漏として計上されています。

 ここで2015年の資本収支内訳のうち、とくに重要と考える本邦企業・機関投資家の対外資産増加だけに注目します。

 まず2015年の本邦企業による対外直接投資は15兆9884億円の資産増加(外貨流出)、本邦機関投資家による対外証券投資のうち対外株式・投資ファンド持ち分は20兆1649億円の資産増加、対外中長期債は16兆3697億円の資産増加と、単純合計すると52兆5230億円とまさに「狂ったような」対外投資だったことがわかります。

 ここで本邦企業による対外直接投資は、2014年が12兆7682億円、2013年が14兆4475億円と「ずっと」高水準でしたが、本邦機関投資家による対外株式・投資ファンド持ち分投資は2014年が6兆5820億円の資産増加、2013年が6兆6263億円の資産減少(つまり売り越しだった!)、対外中長期債は2014年が4兆4411億円の資産増加、2013年が1兆8562億円の資産減少(つまり売り越し)でした。

 要するにとくに本邦機関投資家による対外有価証券投資が2015年から(正確には2014年10月の追加量的緩和の前後から)加速していたことになり、それが円相場を追加量的緩和直前の1ドル=109円台から2015年6月の1ドル=125円台まで「円安」にしていたことになります。

 2015年の金融収支では「その他投資」が13兆6886億円もの外貨流入になっています。これは本邦企業(とくに邦銀)の外貨借入れのことで、日本全体でみると2015年は16兆円の経常収支の黒字(外貨流入)があったものの本邦企業・期間投資家の対外投資(外貨流出)が52兆円もあったため、不足する外貨を13兆円の外貨の借入れで補っていたことになります。

 これに海外投資家が日本の中長期債(ほとんどが国債)を9兆8950億円も買い越し、正確な集計は出ていませんが日本の短期国債も相当量(たぶん9兆円くらい)買い越していたため、日本全体では辛うじて外貨不足に陥ることがなかっただけです。

 いずれにしても2015年の本邦企業・機関投資家の「狂ったような」対外投資は(たぶん)中国ショックのあった2015年夏頃から減速していたはずで、急拡大する経常収支の黒字と相まって「円高反転」への環境が出来上がっていたはずです。

 ところがそれでも2015年後半はまだまだ条件反射的な対外資産買い(外貨買い)が続いたため急激な円高にならず、その反動に(たぶん)海外勢による投機的な円買いが加わって最近の急激な円高となっているはずです。

 とりあえずの目途ですが、2014年10月に追加された量的緩和は継続されているため1ドル=109円~125円のレンジ内であることは変わらず、その中間点である1ドル=117円もあっさりと割り込んでしまったため、レンジの下半分である1ドル=109~117円の動きになると考えます。レンジの上半分(1ドル=117円~125円)には戻りません。

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コメント
日銀ついさっき外為市場に介入したんじゃないですかね
たしかに介入したような動き。ニュースでも憶測が出てますね。

しかし、これ本当に介入してたとすると一瞬で円高に戻ってしまってる訳でかなり深刻だと思うんですけど・・・

闇株新聞様の見解お願いします。
経常収支の黒字は、原油安が約4割、天然ガス約3割の輸入減(無論価格低下の為)が大きいでしょう。
確かに輸出は伸びていませんが、原油価格が戻ればまた赤字になるのでは?ここにあえて触れられていないのが気になりましたので…
【速報】黒田日銀総裁が首相官邸に入ったと報道
 闇株様は円高を推奨していたのですから、いい事と解釈しているのでしょうか。私は悪いことと感じておりますがどうなのでしょう。
為替介入って、TPPが施行されたら、違法になるんじゃないですか?
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