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「異次元」量的緩和・追加量的緩和・マイナス金利導入の「真の目的」

2016年02月19日

「異次元」量的緩和・追加量的緩和・マイナス金利導入の「真の目的」


 表題はもちろん黒田総裁就任後の一連の日銀金融政策であり、黒田氏は旧大蔵官僚であるため日銀の「真の目的」ではなく、旧大蔵省の「真の目的」となります。

 黒田日銀総裁の就任は2013年3月20日ですが、同年4月8日までが任期だった白川前総裁をわざわざ辞任させてまで「前倒し」したものでした。

 そして就任直後の2013年4月4日に、日銀の国債保有残高(短期国債を除く)を年間50兆円増加させるため、残存40年までの国債を万遍なく買い入れる「異次元」量的緩和に踏み切りました。これはそれまでの日銀金融政策を180度転換するもので、黒田総裁はそんな重大な変更を就任後2週間足らずで決めてしまったことになります。

 ちなみにその発表前日(4月3日)の日経平均(終値)は12362円、円相場(NY終値)は1ドル=93.04円だったため確かに円安・株高効果はあり、2014年4月には旧大蔵省待望の消費増税(5%が8%に)となりました。

 さらに2014年10月31日に、日銀の国債保有残高の増加額を年間80兆円とする追加量的緩和に踏み切りましたが、これも市場ではほとんど予想されていなかった唐突なものでした。

 同じ2014年10月31日にGPIFが国内株と外貨資産の保有割合を大幅に拡大する「資産構成の変更」を発表しています。GPIFなどの公的資金がフライングで国内株と外貨資産を買い始めていたかどうかは詮索しませんが、発表前日(10月30日)の日経平均(終値)は15658円、円相場(NY終値)は1ドル=109.20円だったため、まだ辛うじて追加量的緩和による円安・株高効果が残っていることになります。

 その結果、直近(2016年2月10日現在)の日銀は国債(短期国債を含む)を340兆円保有し、それを94兆円の日銀券と252兆円の日銀当座預金でファイナンスしています。日銀券は日銀の永久債務で自己資本に準じますが、当座預金は全く他人(銀行)のカネです。

 国債発行残高の年間純増額はせいぜい30~35兆円なので、それをはるかにこえる国債を日銀が買い続けると当然に国債利回り(金利水準)が全般的に低下します。ところが日本は民間全体でみると負債より資産が圧倒的に大きいため、金利水準が低下して景気が良くなるわけではありません。民間から銀行を通じて日銀(旧大蔵省)に富が移転してしまうからです。

 それでも日銀が追加量的緩和に踏み切った理由は、当時は2015年10月に予定されていた消費再増税(8%が10%に)へのアシストだった以外に、銀行の余資(国民の預金のことです)をできるだけ日銀当座預金残高に吸い上げて日銀保有の国債をファイナンスさせるためと考えられます。

 つまり銀行に任せておけば余資(預金のことです)が必ず国債保有となるわけではないため、量的緩和・追加量的緩和で銀行の余資(預金)を間接的に国債に振り向けていることになります。

 そうは言っても銀行は日銀当座預金をいつでも取り崩すことができるので、必ずしもそうならないのでは?

 そこで2016年1月29日に新たに(また唐突に)マイナス金利が導入されました。ここで実際にマイナス金利が適用される日銀当座預金残高は当初10兆円、1年後でも10~30兆円(たぶん10兆円のまま)であり、これからもずっと210兆円ほどの日銀当座預金残高にプラス0.1%が支払われ続ける「談合型誇大発表」だったことは何度も書いたので繰り返しません。

 しかしそれでも市中の短期金利(残存年数が短い国債利回りを含む)はマイナスになってしまいます。

 そこで日銀は、すでに積み上がっている210兆円(これは2015年通年の平残です)の当座預金にプラス0.1%の金利を支払い続けて残高を繋ぎ止め、今後も日銀が国債を買い続けて銀行に支払う80兆円も市中のマイナス金利より有利なゼロ金利として大半を当座預金に積み上げさせることができます。

 つまり日銀の当座預金残高は今後も維持・拡大となり、日銀(旧大蔵省の傘下です)は今後も「安心して」国債を買い続けることができ、銀行の余資(国民の預金のことです)は今後も半永久的に国債に振り向けられることになります。

 これが黒田総裁就任後の、今ひとつ意味が良くわからない「異次元」量的緩和・追加量的緩和・マイナス金利導入という3点セットの「真の目的」と考えます。

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コメント
日銀、政府のやっている事
専門的な事はわかりませんが、安倍さんの日本の景気・経済対策は完全に軽んじられていると思います。何一つ上向きの数字は見当たりません。場当たり的に株式を力づくで上げても所詮策略的にやった事は、化けの皮が直ぐに剥げる事を現状が示しています。北朝鮮、中国脅威にうつつを抜かすだけでは(もちろんこれ等も注視、対抗は必要ですが、国の経済を安定させる事も諸外国に圧力かける事も大きな要素)国の安心、安全は構築できないのではないですか。 ”総務省が16日に発表した労働力調査(昨年10~12月期)によると、正規社員は前年同期比で26万人増の3307万人。非正規は12万人増の2015万人というが、ダマされちゃダメだ。安倍政権が発足した12年同期比では、正規は23万人減、非正規は172万人も増えている。”というインターネットで拝見しましたが、闇株新聞様がチェックされている日刊ゲンダイによると、これまで内閣府が発表する数字は、色々こねくりまわしまともに見てはいけないと以前見た事がありますが、同感です。年金運用にしましても株式運用(株式が大きくアップ&ダウンするのは常識でしょうに大きくシフトし、現状の暴落で何十兆円の損失に膨らんでいるという事ですが、これで大事な年金資金が目減りし、年金受給者にその損失を押し付ける事は、絶対に赦してはいけないですよね。冗談じゃないよね。運用者は、誰も責任を取らないなんて信じられない、ならば今年は選挙がある、しかも衆参同時?責任を取ってもらわなければなりません。(一時的な見せ金をまかれても屁のツッパリにもなりません)そういう厳しい視線、評価を下していかなくてはいけないのではないですか。
量的緩和で財政再建?
財務省出身の学者高橋洋一さんはかねてより、量的緩和は通貨発行益を生み出すため、2016年には実質的に財政再建できると主張しています。たしかに外国から見れば日銀は日本政府と一体ですから、日銀が国債を購入すればするほど、円の供給量が増えるかわりに、日銀と政府の連結債務が減少することになります。この主張についてどう思われますか?
そこまで、考えて金融政策をやっていたならすごい。官僚に国民は騙され続ける他ない。一般の国民は官僚の考えることを見抜けない。そして、官僚は決して国のことを優先に考えていない。
正規社員と非正規社員
正規社員の定義が書いていませんね
定年退職者の再雇用も正社員
契約社員も正社員なら当然増えますね

給与は減って景気は悪くなっても、です
派遣だと規制があってめんどくさいから
同じオフィス内で机を離して「業務委託化」するのが
流行ってます。

派遣が減ったのではなく派遣のいいとこ取りした業務委託化が流行って正社員が増えたんですよ。
労働生産性もよくならないからついでに非正規も増えた。

給与は増えない、景気がよくならないのはそういうことです。

派遣の仕事を見ているとお役所と似ています。
いわれた事だけやる、責任は取らない。
お役所が考えただけのことはあります。

今日申し込みました者です さま

 高橋洋一さんの主張で、国の借金は1000兆円だが資産(橋や道路ではなく流動資産だけ)と政府関連機関の資産を差し引くと500兆円以下になるというところは「その通り」です。また単年の財政収支に国債費が24兆円も計上されているがそのうち10兆円の利払い費は過大計上で、国債償還費(毎年発行額の60分の1を償還しなければならないから)14兆円はそもそも計上する必要が無いというところも「その通り」です。

 ただそこから日銀の資産を差し引くと国の実質借金は200兆円以下になるところは「そうではない」と考えます。通貨発行益(つまり紙切れに魔法のように価値をつける)はあくまでも直近で94兆円の日銀券だけで、これは確かに返済義務がないため借金から差し引いてもよいと考えます。しかし260兆円の当座預金は他人(銀行つまり預金者)のものなので、それに見合う資産は国の借金から差し引いてはならないと考えます。
 
 本日の記事では、マイナス金利政策とはこの当座預金を「半永久的に」固定させ返済させないためのものと考えるため、そうだと確かに日銀の資産も国の借金から差し引けるかも知れません。高橋洋一氏も元大蔵官僚なので、ついそう考えてしまうのでしょうね。


 平和主義  さま

 官僚とくに旧大蔵官僚は大変に頭が良いため、そこまで考えられるものです。ただ国民として不幸なことは、その素晴らしい能力が国民のためではなく日本国のためでもなく、省益という矮小なもののためであるところです。

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