闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

英国はEUを離脱するのか?

2016年02月24日

英国はEUを離脱するのか?


 英国では、6月23日に欧州連合(EU)からの離脱の是非を問う国民投票が行われます。たった4ヶ月先のことです。

 2015年5月に行われた英国下院総選挙ではキャメロン首相率いる保守党が単独過半数を獲得しましたが、その際の公約にEUとの関係を再交渉したうえで(英国の立場を強化したうえで)2017年末までにEUに留まるか離脱するかを問う国民投票の実施が含まれていました。

 もともとキャメロン自身は離脱に反対ですが、英国内でも不満が大きくなっている移民への社会保障に対し2月19日まで開催されていたEU首脳会議である程度の制限を加える合意が勝ち取れたため、勇んで国民投票を前倒しで実施してライバルの労働党に差をつけてしまおうと考えたわけです。

 ところが身内のはずの保守党からジョンソン・ロンドン市長や複数の閣僚が造反し、離脱に反対のスコットランド民族党(保守党、労働党に次ぐ第3勢力)は「離脱すれば独立する」と言い出し、早くも波乱含みになってしまいました。

 つまり英国のEU離脱は、すでにキャメロンを叩く政治駆け引きの材料に使われていることになり、国民投票の結果に関わらずキャメロン政権の弱体化は避けられません。

 もともとEUの前身であるEEC(欧州経済共同体)は、フランス、西ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの旧フランク王国をオリジナルメンバーに1957年に発足し、英国は1973年にアイルランド、デンマークと共に加盟が認められた「外様」です。

 英国の加盟についてはフランスのド・ゴール大統領が最後まで「(米国の)トロイの木馬だ」と認めず、ド・ゴールの死後にようやく加盟できた経緯があります。EECは1992年に発展的に解消されてEUが発足し、現在は東欧諸国を含む28ヶ国が加盟しています。

 それでは英国はEUから離脱してしまうのでしょうか?

 結論から言うと国民投票の結果がEU離脱となる可能性は低いと考えますが、仮にEU離脱の結果になったとしても、それですぐに英国がEUから離脱する(できる)わけではありません。

 2009年12月発効のリスボン協定でEUから離脱する手続きが「はじめて」決められたのですが、「当該国が離脱を希望して」「加盟国の過半数が賛成したら」「2年後に離脱できる」となっています。つまりEUは勝手に離脱することも、加盟国を追放することもできない仕組みになっています。

 つまり2017年のフランス大統領選挙で「EU離脱」を掲げるFN(国民戦線)のルペン党首が当選しても、すぐに離脱はできません。

 つまり英国がすぐにEUから出ていく可能性はありませんが、それでも国民投票までは結果予想を巡り金融市場が混乱することになりそうです。そうでなくても問題山積(弱気になる材料山積)の世界金融市場に、また懸念材料が1つ出現したことになります。

 差し当たって身構えておくべきはポンドの下落です。ポンドは英国経済と株式市場が好調で利上げが近いと考えられていた2015年6月の1ポンド=1.59ドルから本日(2月23日)は1ポンド=1.41ドルまで11%強下落しており、対円では同時期に1ポンド=195円から158円まで実に19%も下落しています。

 ポンドは対ドルでは、リーマンショック直後の急落時の1ポンド=1.36ドルにかなり接近していますが、その時点の対円の安値は1ポンド=118円なので、ポンドは対円ではますます下落しそうな気がします。

 そもそも英国経済にとって最大の頭痛のタネは、原油価格の急落で中東のオイルマネーが激減してロンドン(シティ)から引きあげられ、世界のドル金融市場におけるロンドンの地盤沈下に拍車がかかることです。

 それでキャメロンは中国にすり寄り、AIIB参加にも欧州で真っ先に手を挙げ、(粗悪な)中国製原発も大量に発注してまで中国マネー(これもドルです)を呼び込もうとしています。

 しかしここで仮にEU離脱の可能性が燻り続けば、英国経済はドル圏でもユーロ圏でも存在感がますます小さくなってしまいます。かつての基軸通貨であるポンドの長期的低落は、まだ始まったばかりのような気がします。

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:2 | TrackBack:0
無料メルマガ配信(不定期)
↓↓↓
メルマガ購読・解除
 
関連記事
コメント
離脱賛成の意見に、自由にインドや中国と貿易などができるとありました。
インドも地方、農村部は相当貧しそうですが。昨日もある地方で突然、学校給食が出なくなって地べたに「お腹すいた。」といって座り込んでいる子どもの姿を現地テレビが放送していました。
ちゃんと行政に取材、放送できるのは民主的ですが。

ムンバイの映像見るとすごい埃っぽいし、女性の地位がないような。。。
発展てなかなか進まないのですね。
外資規制は緩和されたのでしたっけ?

イギリスは「シティ」が弱くなるのは阻止したいですよね。
ところで、こういった世論が二分される、元々階級社会でも 、日本みたいに「キャメロン辞めろ」「I'm not Cameron 」的デモはないんですね。
テレビでやらないだけかな。
いずれにせよ議論で説得、反キャメロンが先ってことはない。

ドラマ「ダウントン・アビー」が面白すぎです!シーズン3くらいから目に見えないしきたりの意味等々が分かってきました。
以前ケーブルテレビで見た「傲慢と偏見」のイギリスでのドラマ版も、貴族社会の独特の会話や立ち居振る舞いが興味深かったです。
コリン・ファースが出てた。
考証が完璧でないと作れないドラマなのでイギリスならではの作品です。

役者さんの演技力の高さも魅入ってしまう要因で、NHKだと吹き替えの声優さんもドラマに合っていてしっくりきます!聞きやすい。
見たいテレビ番組、これだけです。
ポンドドルは1.3229ドルまで下落。約31年ぶりの安値
世界相場リーマン級くるのか!?
コメントの投稿
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

03月 | 2017年04月 | 05月
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 - - - - - -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム