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いったいどこまで円高になるのか?

2016年04月08日

いったいどこまで円高になるのか?


 東京市場では本日(4月7日)午後から急激な円高となり、午後7時前には1ドル=108.02円と2014年10月以来の円高水準となりました。

 この2014年10月31日には日銀の追加量的緩和があり、また同日にはGPIF資産構成比率の大幅修正があり円安・株高が加速していくのですが、その直前の1ドル=109円前後の水準より円高になっており、少なくとも追加緩和による円安効果がすべて消滅してしまったことになります。

 円高の理由は、日本の経常収支の黒字が急激に拡大していることや、その日銀追加量的緩和とGPIF資産構成比率の大幅修正による本邦機関投資家の「狂ったような」外貨資産購入が持続不能である「円高要因」と、本年初めまで世界がFRBの利上げペースを過剰に見積もりすぎており、その修正の「ドル安要因」が合わさったものと考えられます。

 FRBの利上げ(2015年12月16日)直後の1ドル=123.52円、日銀のマイナス金利導入発表(本年1月29日)直後の1ドル=121.68円から、ともにすぐに急激な円高になっているように、従来の金融緩和=通貨安の公式はもう使えなくなっています。

 そこへ円高が加速するに従って「狂ったように」外貨資産残高を積み上げていた本邦機関投資家が狼狽し、ヘッジファンドなど投機筋の円買いも加速しているはずです。またマイナス金利導入による長短金利の急激な低下も、それだけ円資金(現金)の価値を相対的に高めるため、どちらかと言えば円高要因となります。

 この辺は後講釈ではなく、2015年12月16日付け「そろそろ円高終了?」、本年1月7日付け「そろそろ円高終了? その2」にも書いてある通りです。

 それではここからどこまで円高になるのでしょう? アベノミクス登場以来の円相場(ついでに日経平均も)の動きを見ながら考えてみます。

 まずアベノミクスのスタートラインとなる民主党・野田首相(当時)が突然に衆議院解散を口にした2012年11月14日が1ドル=80.24円(日経平均は8664円)ですが、まだアベノミクスの具体的政策が何も打ち出されていない2013年3月末には1ドル=94.24円(日経平均は12397円)となりました。

 ここまでは民主党政権時の閉塞感と日銀の消極的な金融緩和で「行き過ぎていた円高・株安」が、アベノミクスへの期待感により(だけで)急激に修正されていたことになります。

 そして就任したばかりの黒田日銀総裁が2013年4月4日に「異次元」量的緩和に踏み切り、その1年後の2014年3月末には1ドル=103.21円(日経平均は14827円)となりました。しかしこの1年間に本邦機関投資家は海外株式を3.1兆円、海外中長期債を2.6兆円も売り越し、また海外投資家が国内株式を11.8兆円も買い越しており、ともに円買い要因となるなかで円安が進んでいたことになります。

 この後の2014年4~8月のレンジは1ドル=100.82円~104.12円だったため、この辺が内外の証券取引による為替需給を除いた円の実力(均衡点)であるような気がします。

 ところが2014年10月31日の日銀追加量的緩和とGPIFの資産構成比率の大幅修正をきっかけに(実際は9月頃からフライング気味に)本邦機関投資家の「狂ったような」海外資産買いが加速し、2014年度の1年間で海外株式を13.2兆円、海外中長期債を14.7兆円も買い越していました。

 その結果2015年3月末は1ドル=120.08円(日経平均は19206円)となり、さらに2015年6月には1ドル=125.86円(日経平均は20868円)の円安(株高)となりましたが、これは明らかに「行き過ぎた円安・株高」だったといえます。

 そこで2015年8~9月と2016年1月に中国経済の混乱と原油価格の急落などでまず株高が反転し(2015年度の海外投資家は国内株式を5.1兆円売り越していました)、円相場も本年に入ってから(とくにマイナス金利を導入した直後から)急激に円高に反転して本日の急激な円高となりました。

 要するに2014年10月31日の追加量的緩和とGPIF資産構成比率の大幅修正による「行き過ぎた円安・株高」がほぼ消滅しているのですが、いまさら積み上がった株式や海外資産を解消するわけにはいかず、またマイナス金利で国内にプラス利回りの投資物件もないため、円相場が落ちつけばまた「少しくらいは」海外証券投資が出てくるはずです。

 その辺を考え合わせると、円の実力(均衡点)と考える2014年4~8月の1ドル=101~105円より「少しだけ円安水準=まさに現在の水準」は、とりあえずの落ち着きどころと考えるべきなのでしょう。

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コメント
素人ながらに疑問なのですが、
過度な通貨安はなかなか防衛が難しいにせよ、
通貨高をなんとかする方法(それが正しいか良いかどうかは別にして)はいくらでもあるはずです
政府紙幣を刷って全日本国民に「ボーナス」をあげてもいいですし、
日銀が対価なしに日本銀行券を刷って遊びでビルの上からばらまいてもいいですよね?(繰り返しになりますが、良いことかどうかは別にしてです)
突然国民に不労所得が湧いて降ってきたら、かなりの部分が消費に回って景気も良くなるだろうし、
そのやり方なら増税などに依らないのであくまで極論の思考実験ですが「楽」にも感じます
通貨安競争をしないという国際的圧力を考えなければ、それらは可能なんでしょうか?
また、(通貨の信頼性云々の基本的なことを除けば)問題点は何かあるんでしょうか?
たとえば全国民に1万円を対価なしで配って為替レートが多少円安に振れて110円台に戻ったとしたらどうでしょう
まさかその1兆円で国が傾くほどの通貨安になるとも思えませんし…そういう手法はどうなんでしょう?
いつも興味深く拝読させていただいております。
さて、円高がどこまでいくのかという課題に直面しておりますが、とりあえずはドル円が100円が一時的な限界なのかと思います。
理由は黒田総裁が過去為替財務官時代に100円攻防介入を2回行っているからです。
1回はダブルアイランドギャップを利用しての反転攻勢で、黒田総裁は相当のテクニカル分析家と思います。100円以下の円高はファンダメンタルズ的にも行き過ぎと思いますが、本年の為替は注視しています。
爆買いで換金
びっくりしたのですが
最近都内に家電買取業者が増えています
ためしに入ってみたところ、
一眼レフなど高級家電品がたくさん並んでます

客層を聞いてみたら、やっぱり外国人が多いようです
外国人は消費税オフですから換金になりえます
特に中国は外貨獲得が厳しいから旅行ついでに外貨に換金してるのでしょう
これが爆買いのどれくらいの割合で起こっているのか気になります

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