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日本の税収内訳と財政状況をもっと正確に理解しておくべき  その2

2016年06月02日

日本の税収内訳と財政状況をもっと正確に理解しておくべき  その2


 昨日の「税収内訳」では、経済活性化のためには「働く」と「使う」に対する課税は少なくし、「持っているだけ」の金融資産や不動産など遊休資産に対する課税を拡大すべきと書きましたが、稼働している不動産や持ち家などへの課税拡大は反対であるとのご意見をいただきました。

 これは金融資産を含む遊休資産が経済活動にもっと活用されるインセンティブとなる税体系が好ましいという意味であり、当然に稼働不動産や持ち家まで含めた課税強化を主張しているわけではありません。

 また遊休資産への課税強化となると、どうしてもお年寄りや地方の負担が大きくなりますが、これも例えば地方の(お年寄りを含む)雇用や遊休不動産を優先的に活用する企業への税負担を思い切って引き下げるなどの工夫をすれば、ある程度は緩和されます。

 要は税体系を経済の実態に合わせて弾力的に変更すべきという主張で、ただ単に「消費増税はけしからん」と言っているわけではありません。さて本日は日本の「財政状況」です。

 まず今年度(2016年度)の一般会計予算規模は96.7兆円で、歳入はそのうち34.4兆円が国債の新規発行によるもので国債依存率は35.6%となります。この国債依存率は当初予算ベースで2010年度の48.0%をピークに2014年度でも43.0%と高止まっていましたが、2015年度には38.3%まで低下し、今年度(2016年度)はさらに低下することになります。

 これは経済活動が拡大した結果の自然税収増ではなく、単純に消費税が2014年度から8%に引き上げられたため、単純計算で8兆円以上の消費税収増となっているからです。

 予算の内訳ですが、歳出では社会保障や地方交付税交付金や防衛費などの政策経費は73.1兆円で、国債費が23.6兆円となっています。国債費の内訳は利払い費が9.8兆円で償還費が13.7兆円です。この利払い費も毎年多めに計上されていますが、最大のからくりは国債整理基金への定率繰り入れの12.1兆円を含む13.7兆円もの国債償還費です。

 これは今に始まったことではありませんが、もともと国債発行残高の60分の1を国債整理基金に繰り入れるので、その分も予算化して国債を新規発行して賄うという考えですが、よく考えると予算とは関係のない国債の借換えで処理すればよいはずです。

 そう考えると予算化される国債費とは利払い費の9.8兆円(これも2兆円ほど多めですが)だけでよく、予算の歳入に占める国債の新規発行は13.7兆円の償還費を引いた20.7兆円でよく(その13.7兆円は予算に関係のない借換え債の発行となります)、2016年度の予算規模は国債費を利払い費だけにした83.0兆円となり、国債依存率は24.9%のはずです。

 つまり日本の2016年度財政赤字はGDP比で4.1%ほどとなり、少ないとは言えませんが、あまり心配するほどのものでもありません。2016会計年度の米国の財政赤字はGDP比で2.9%ですが今後はもっと膨らんでいくはずです。リーマンショック直後の2009年度は9.8%もありました。

 一方で日本の財政赤字の累積残高はどうなっているのでしょう?

 財務省のHPには国の連結財務諸表が公表されており、2014年度末(2015年3月末)が最新の数字ですが、資産は679.8兆円(前年比27.1兆円増)、負債が1171.8兆円(同28.8兆円増)、差し引き492兆円(同1.6兆円増)の負債超過となっています。

 ここで国の資産の679.8兆円とはよく言われる換金不能の道路やトンネルや橋ではなく、有価証券(公的年金や外為資金特別会計などで保有する株式や債券など)や政府系金融機関や各種団体への出資金や貸付金など金融資産が大半で、いざというときにはちゃんと換金できるものです。

 この国のバランスシートには日銀が含まれていませんが、少なくとも日銀券の発行残高(2015年3月末では89.6兆円、現在は95.1兆円)は償還義務のない国の資産とも考えられるため(それに見合う日銀保有の国債は国の負債に計上されているため)、日本の負債超過はこれも控除した402.4兆円となります。

 つまり日本の実質債務残高はGDP比80%ほどとなり、計算方法が各国で違うため単純比較はできませんが財務省のHPにある2016年の「各国債務残高の国際比較」にある米国の111%、英国の115%、フランスの121%、イタリアの159%よりも健全で、ドイツの75%とあまり変わらないことになります。

 この国のバランスシートを最初に考案された元大蔵官僚の高橋洋一氏は、日銀の保有する国債残高(同時点で269兆円、直近は361兆円)も国の債務残高から差し引けるので、日本の実質債務超過は140兆円以下だと主張されていますが、これは明らかな間違いです。

 日銀保有の国債のかなりの部分は同時点で201兆円(直近では278兆円)もある日銀当座預金(つまり他人の金)でファイナンスされているため、日銀の(つまり国の)資産とは言えないからです。

 それにしても日本の財政状態は、消費増税を2年半(あるいはもっと)延期したくらいでは「びくともしない」くらい健全なのです。

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コメント
衆議院解散するんじゃなかったんですか?
宗教やパチンコに課税の案はどのように考えるべきでしょうか?
国の収入・支出を民間企業に例えると?
最近あまり使わなくなったようですが、国の借金を家庭に例える言い方がされてました。それを、今度は民間企業に例えてみます。

民間企業の場合、収入はそうそう増える訳ないので、収入の範囲で支出をコントロールします。赤字見込みだというなら、壮絶なリストラをして、固定費削減、変動費削減などを実行します。資産も売り払います。

支出を2割減らしたら、今と同様の品質が維持できなくなるというのではなく、2割減らすと○○という問題が起きるので、□□という手を打つのが民間企業の考え方です。例えば、業務フロー見直し、間接業務は他会社に外注、重複業務していた組織をと統廃合する、付加価値の少ない業務部門は廃止する、などの手を打ってリカバリーする。

それに対して、国・地方は収入(税金)を云々と言うだけで、自身の支出を壮絶にリストラをしているようには見えないのです。ここが不満。

国・地方には公共投資削減だけでなく、公務員の業務削減に取り組ませたい。その為には、もっと国民が行政に積極関与して、国・地方の予算を削減させるシステムにしないと、税収増やしても同じことをエンドレスで繰り返していくだけな気がします。

 財政を家計や企業に例えるものがいるが、政府にこれをあてはめるのは完全な間違いです。政府とは公の仕事が基本であり。国民を守るために、国土の保全や国民生活を守る責任が生じます。仮にこれをムリヤリ当てはめるなら日本銀行等にも当てはめねばならず、「円は日銀の借金なので一切の円を発行しないことが正しい。」というわけの判らない論理がまかり通ってしまいます。政府・企業・家計・銀行・外国のどれかが借金をしなければ、貸借の概念が生まれることは無く、貨幣経済が成り立つことが出来ません。エンドレスで政府が国債を発行するのは、それが仕事だからと言い換えることが出来ます。
>>宗教やパチンコに課税の案はどのように考えるべきでしょうか

宗教は既に収益事業には課税されてますので、お布施に課税って話だと思うのですが、お布施に領収書をきる坊主が日本に馴染むかどうか・・・笑

パチンコ課税はパチンコ業界は大賛成ですよ。グレーな3点方式(ピーアークがジャスダックに上場申請して却下)を合法化する訳ですから、これから堂々と商売ができます。(3点方式のこれまでの経緯についてはググってください)
ただ警察は納得しないでしょう。グレーな業界ということで許認可や検査といったパチンコ業界の生殺与奪を握ることで利権を確保し天下りし放題な状況をとても手放すとは・・・

ダイナムが日本より審査基準に厳しい香港市場での上場(詳細はダイナム上場の書籍をご参照ください)に成功してるので客観的に見てキチンとやりさえすればクリーンなんでしょうかね。
資産への課税が消費増税との二択になるなら、「稼働不動産や持ち家まで含めた課税」も行って構わないと思うのですが、もう少し解説してもらえないでしょうか?
長期金利が3%になったら財政破綻しませんか?
日本株式会社は毎年40兆円の増資を行い総額1000兆円の株式(国債)を売り出し、資本金1000兆円を調達した。
資本金なので返す気は無く、9.8兆円の配当金(利払い費)を払えば良い。
大量に国債が売られ金利が高騰しなければ、この状態を保持できる。
そういうことでしょうか?
しかし、日銀のインフレ目標2%が達成されて長期金利が3%になったら利払い費で財政破綻しませんか?
財務省・日銀の本当の目標は、金利を~0%に保持することではないでしょうか?

大変有意義な記事をありがとうございます。大変参考になり考えさせられました。ただいくつか疑問があります。
(1)2014年度時点で財政が健全であることは理解できましたが、2013年4月の異次元緩和以前とその後の3年間での健全度の変化率から、今後の健全度は加速度的に悪化していくことは無いか?
(2)国債のレーティング引き下げなどにより長期金利が上がった場合、どの程度までなら健全性が担保されると考えられるか?
(3)財政の健全性を犠牲にした3年間のアベノミクスの費用対効果を総括して、異次元緩和の追加施策や出口戦略なども含め今後どのように修正すべきか?
 国債の金利を考える必要はない。金利が上がるということは国内で国債(円建て)を回してる限り好景気に触れたと言う事になる。家計や企業は、好景気になっても収入が増えるとは限らない、その為、借金の金利が重荷になる。しかし政府の場合、景気が良くなれば税収が増える。だから金利に対応できる。あまりに過激に金利が上がるようなら、消費に関する税金を上げてやればよい。景気を抑え、金利を抑えることが出来る。
 そういう意味でも絶対に政府(国)を家計や企業に例えてはならない。
財務省の洗脳
国の借金問題という財務省の洗脳にハマっている皆さん、『高橋洋一』『三橋貴明』でググるかyoutubeを見てみましょう。
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