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英国のEU離脱を巡る「とばっちり」

2016年06月14日

英国のEU離脱を巡る「とばっちり」


 本日(6月13日)の日経平均は582円安の16019円(終値、以下同じ)と急落しました。

 最大の理由は英国のEU離脱を巡る国民投票が6月23日に行われますが、直近の世論調査で離脱派がリードしていたため、円が対ポンド、対ユーロだけでなく、対ドルでも円高加速となったからです。

 円は午後3時過ぎに一時1ドル=105.74円、1ユーロ=119.00円、夕方には一時1ポンド=149.45円と、それぞれ「本日の最円高」となりました。

 対ドルでは、ゴールデンウィーク中の5月3日に海外市場でつけた1ドル=105.54円の手前で辛うじて踏みとどまりましたが、対ユーロの119円はアベノミクス開始直後の2013年1月以来、対ポンドの149円台も2013年8月以来の「円高」です。

 ただ「円高」の根本的背景には米国が久々のドル安政策に転じていることや、日本の経常収支黒字が急増していることや、官民機関投資家の海外資産取得ペースがさすがに落ちていることなどがあり、英国のEU離脱はどちらかといえばスポット的な円高材料です。

 もともと2015年5月に行われた英国下院総選挙でキャメロン首相率いる保守党が単独過半数を獲得したのですが、その際の公約にEUとの関係を再交渉したうえで(英国の立場を強化したうえで)2017年末までのEU残留か離脱かを問う国民投票の実施が含まれていました。

 キャメロン首相自身は残留派ですが、2月のEU首脳会議で英国の主張する移民に対する社会保障の制限が認められたため、ここで国民投票を前倒して実施し、離脱派や政治的ライバルに差をつけてしまおうと考えただけです。

 ところが身内のはずの保守党からジョンソン・ロンドン前市長やマイケル・ゴーブ司法大臣などが造反し、もともと離脱派のイギリス独立党などを加えると、全く拮抗してしまいました。

 労働党とスコットランド民族党(議席数第3位)は残留派ですが、スコットランド民族党は離脱となればスコットランド独立のための住民投票を準備するといっています。

 要するに英国のEU離脱を巡る国民投票とは、100%英国政界の勢力争いの道具であり、本日の日経平均や円相場は、100%英国政界の勢力争いの「とばっちり」を受けたことになります。

 もともとEUの前身であるEEC(欧州経済共同体)は、フランス、西ドイツ、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルクの旧フランク王国をオリジナルメンバーに1957年に発足し、英国は1973年にアイルランド、デンマークと共に加盟が認められた「外様」です。

 英国の加盟についてはフランスのド・ゴール大統領が最後まで「(米国の)トロイの木馬だ」と認めず、ド・ゴールの死後にようやく加盟できた経緯があります。EECは1992年に発展的に解消されてEUが発足し、現在は東欧諸国を含む28ヶ国が加盟しています。

 2009年12月発効のリスボン協定でEUから離脱する手続きが「はじめて」決められたのですが、「当該国が離脱を希望して」「加盟国の過半数が賛成したら」「2年後に離脱できる」となっています。つまりEUは勝手に離脱することも、加盟国を追放することもできない仕組みになっています。

 つまり6月23日の国民投票の結果が仮に離脱となっても、そこで英国がすぐに離脱してしまうわけでもありません。

 そもそも英国は世界経済における存在感がとっくになくなっており、世界最大の金融センターのシティが引きよせるドル、ユーロ、それに英国領内のオフショア金融センターが引きよせる匿名ドル(本誌の造語です)から巨額の運用報酬、管理手数料、利鞘を稼ぎ、同時に巨額経常赤字・財政赤字をファイナンスして生き残っています。

 シティが引き寄せるドル、ユーロには巨額のオイルマネーや、最近になって急接近している中国からのマネーも含まれています。つまり英国にとってはEU残留でも離脱でも、シティの存在感が失われない限り生き残れるため、それほど大騒ぎする必要もありません。

 最終的には「僅差で残留」と予想しますが(英国は究極の八方美人タイプなのでわざわざEUと決別するとも思えないからです)、どちらにしても株安だ、円高だとパニックにならないことです。

 繰り返しですが、英国政界の勢力争いの「とばっちり」を受けないことです。

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コメント
パナマ文書のキャメロンも辞めないようだね
次期候補が気になる
 ドイツが労せずに欧州を植民地化したところからイギリスが脱出したいとあえいでるだけ。株安円高は一時的な変動。
EU残留は規定路線
残留をどれだけ上積みできるかです。
賭けの会社は、離脱対残留は25対75だそうです。
イギリスはアメリカのトロイの木馬かもしれませんが、それはイギリスがEU内に在って、アメリカの意向をEUに反映できればの話です。
イギリスの金融立国はタックスヘイブンをアメリカ、ドイツに狙い撃ちされて、危機に陥っています。
ドイツ化学バイエルンはアメリカの世界戦略・農政銘柄モンサント社に買収提案しており、買収の暁にはEU内農産物市場を遺伝子組換穀物に解放するよう動くとしています。
現在、中国は遺伝子組換穀物を輸入可能だが、生産禁止となっています。研究はしてるそうです。しかし、産業スパイがコーンを盗んだなどとアメリカの空港で摘発されており、実際には中国東北部で遺伝子組換穀物が生産されている噂があります。中国に対し、知的財産権保護圧力をかける意味でもモンサント社がドイツに売られるかもしれません。アメリカには同様の会社デュポンがあるので平気です。次の大統領トランプ氏はドイツ系アメリカ人でドイツとアメリカがおかしくなることは考えられないからです。ビジネスライク、ウィンウィンです。
また、トランプ氏とプーチンロシア大統領は気が合うようで、対中包囲網が出来上がることになります。イギリスが落ち目の中国とくっついても、良いことはありません。
黒ちゃんと麻生さんのいつもの愚痴っぽいタイトルですね
しかし地球の勝ち組アングロサクソンの米英での排他主義
分断現象の原因はなんなんですかね?
ミセスワタナベはどう動くのか
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