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まだまだ続く英国のEU離脱を巡る「とばっちり」

2016年06月21日

まだまだ続く英国のEU離脱を巡る「とばっちり」


 本日(6月20日)の日経平均は365円高の15965円と大幅高となりました。何でも6月23日に予定されている英国のEU離脱を巡る国民投票で、残留派が優勢となったからと解説されています。

 そもそも6月14日付け「英国のEU離脱を巡るとばっちり」にも書いた通り、先週初めの世論調査で離脱派が残留派を上回ったのですが、その影響はなぜか日本市場を直撃して大幅な円高・株安になっていました。

 先週(6月13日~17日)はこれに、大方の予想通りだったFOMCの利上げ見送り(6月15日)、これも大方の予想通りだった日銀政策決定会合の追加緩和見送り(6月16日)が加わっただけだったのですが、これもなぜかさらに円高・株安を加速してしまいました。

 実際に6月16日の日経平均は15434円(終値)まで沈み、中国ショックと原油価格急落で世界的に株安となった2月12日の本年安値・14952円に接近してしまいました。この日の円相場は1ドル=111円でした。

 為替市場でも政策決定会合の結果が「現状維持」と発表された16日の午後から円高がさらに加速し、一時1ドル=103.55円、1ユーロ=115.50円、1ポンド=145.40円まで円高となりました。

 この水準は対ドルが追加量的緩和(2014年10月31日)以前の2014年8月以来、対ユーロに至ってはアベノミクススタート直後でまだ最初の「異次元」量的緩和(2013年4月4日)以前の2013年1月以来、対ポンドも2013年4月以来の円高水準です。

 もちろん英国のEU離脱問題だけで円高になっているわけではありませんが、対ドルでは追加量的緩和の円安効果が、対ユーロと対ポンドではそれに加えて最初の「異次元」量的緩和の円安効果までが、きれいに吹き飛んでしまったことになります。

 さすがに本日は残留派が優勢となったため円安となり、午後9時半現在で1ドル=104.56円、1ユーロ=118.62円、1ポンド=153.18円となり、当たり前ですがポンド、ユーロ、ドルの順に円安になっています。

 以前も書きましたが英国のEU離脱を巡る国民投票は、100%英国の国内政治問題です。つまり残留派のキャメロン首相は自らの政治的立場を強化するために、わざわざ2017年と公約していた国民投票を前倒ししたのですが、身内から思わぬ造反が出てしまいました。

 もともと英国とは政治的にも経済的にも「タダ乗りできるものはすべて乗る国」なので、せっかく通商面でタダ乗りしているEUから出ていく意味は全くありません。移民が安い賃金で英国人の職を奪っている(だからEUを離脱して移民を食い止めなければならない)との主張も、単に英国人がそんな低賃金で働かないだけの言いがかりです

 英国経済とは、最たるタダ乗りであるロンドン(シティ)と領内のオフショア金融センターが引き寄せる外貨(ドルとユーロ)がもたらす莫大な収益で、辛うじて存在感を保っているだけです。これも英国がEUから離脱してしまうと、少なくともユーロ圏からの金融ビジネスは大幅に減少するため、やはり死活問題となります。

 離脱派は仮に6月23日の国民投票で離脱となったときは、2020年5月の次期総選挙までにEUとの通商協定の再交渉に目途をつけ、EU予算の削減やEUからの移民の削減などに関する法制度を整えると「信じられないほど悠長な話」をしています。

 またこれはEUにおける通商面のメリットは残し、負担だけ逃れるといっているようなもので、EU加盟国から猛反発を受け「どうぞ出て行ってください」となるのがオチです。

 つまり離脱派も本心では離脱してしまうと大変なことになるとわかっているので、こういう腰の引けた(受け入れられるはずのない)スケジュールを公表しているようです。逆にキャメロンは国民投票で離脱となると、すぐにEUと離脱交渉に入るとプレッシャーをかけています。

 まあこれで国民投票が離脱になるはずがないと思いますが、万一離脱となっても困るのは英国で日本ではありません。確かに英国に進出している日本企業の活動が阻害される恐れがあり、少なくとも対ポンドでは円高になりますが、それだけの話です。

 最大の問題はこれで世界の(とくに日本)の株式市場が一喜一憂していることや、FRBまで金融市場が混乱した時のためにドル供給の準備体制を整えるなど、世界中が(とくに日本が)過剰反応していることです。

 これは決して健全な姿ではありませんが、6月23日の国民投票まではもちろん、その後もしばらくの間は世界が(とくに日本が)一喜一憂することになりそうです。まさに「とばっちり」でしかありません。

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コメント
 全くですね、困るのはドイツだけ、ドイツが困るということは日本にとってはプラスのはずなのですが、投資家の考えることはわかりません。
ご参考まで
ご存じかと思いますが、下記念のため幾つかリンクを貼っておきます。
ご参考まで。

■英国EU離脱でも中国でもない、ジョージ・ソロスが怯える「第3の危機」 http://www.mag2.com/p/money/15580

■ついに現役復帰。ジョージ・ソロス氏が確信する中国経済崩壊のシナリオ=東条雅彦 http://www.mag2.com/p/money/15385

■よみがえったヒトラーが、今の危うさを浮かび上がらせる | 大場正明 | コラム&ブログ | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト http://www.newsweekjapan.jp/ooba/2016/06/post-21.php
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