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2016年上半期(1~6月)国際収支状況から見える問題点

2016年08月12日

2016年上半期(1~6月)国際収支状況から見える問題点


 8月8日に2016年上半期(1~6月)の国際収支状況が発表され、経常収支が10兆6256億円の黒字となり、リーマンショック前の2007年以来9年ぶりの高水準となりました。

 また2016年上半期の貿易収支も2兆3540億円の黒字となり、東日本大震災に襲われた2011年以降で初めて黒字となりました。また第一次所得収支(昔の長期資本収支)も9兆6129億円と高水準の黒字が続いています。

 経常収支の年間黒字のピークは2007年の24兆9490億円でしたが、2014年には3兆8805億円の黒字まで減少し、2015年には16兆4127億円まで急拡大して2016年上半期もさらに拡大していることになります。

 また貿易収支の年間黒字のピークも2007年の14兆1873億円でしたが、2011年に赤字転落して2014年には10兆4653億円の赤字まで拡大し、2015年には6288億円の赤字まで縮小して2016年上半期には黒字転換となりました。

 ちなみに年間平均為替は経常収支・貿易収支とも黒字がピークとなった2007年が1ドル=117.75円、貿易収支が赤字転落した2011年が79.80円、経常収支黒字がボトムで貿易収支赤字がピークとなった2014年が105.94円、2015年が121.04円、2016年上半期が111.70円となっています。

 ここで経常収支とりわけ貿易収支は世界の経済情勢や資源価格などに大きく影響されるもので、為替水準だけに大きく影響されるということもありませんが、本日(8月12日)の為替は1ドル=101円台央とさらに円高となっているため経常収支・貿易収支の黒字拡大にはブレーキがかかるものと思われます。

 それでは経常収支と並んで国際収支を構成する金融収支を見てみます。財務省の発表する国際収支統計ではわかりにくいので、それぞれの項目を「日本からの資金流出」と「日本への資金流入」に分けて、それぞれを集計してみます。

 2016年上半期の「日本からの資金流出」は、本邦企業の対外直接投資が7兆9694億円、本邦投資家の海外株式・ファンド買い越しが4兆4405億円、同じく海外中長期債買い越しが15兆6588億円、海外投資家の国内株式・ファンド売り越しが6兆208億円、それに国内投資家と海外投資家に分けて集計されていませんが短期債投資が差し引き4兆2177億円の流出と、合計で38兆3072億円にもなります。

 それに対して「日本への資金流入」は、本邦企業による海外子会社からの借り入れ等が2兆5963億円、海外投資家の国内中長期債の買い越しが5兆7502億円と、合計で8兆3465億円しかありません。

 つまり金融収支はここまでで差し引き29兆9607億円も「日本からの資金流出」となっており、経常収支は10兆6256億円の黒字(資金流入)なので、差し引きで19兆3351億円も日本からの資金が流出していることになります。

 ちなみに2015年通年は差し引きで15兆4136億円の流出だったため、2016年は上半期だけでそれを大きく上回ったことになります。

 もちろん日本には蓄積された金融資産があるため、経常収支の黒字額を大きく上回って海外投資(日本からの資金流出)となっても問題はありません。しかし残念ながら円が国際化していないため海外は円のままで受け取ってくれるわけではなく、「日本からの資金流出」となると円を外貨(主にドル)に交換して海外に支払うことになります。

 しかしその中で2016年上半期は、年初の1ドル=121円から直近は101円台まで円高が加速していることになります。

 もちろん「日本からの資金流出」といっても、必ずしも同時に外貨(主にドル)を手当てする必要はなく、海外から外貨を調達する(借入れる)ケースもあります。

 これらは国際収支統計の金融収支には、その他投資(主に借入れ)や金融派生商品として集計されています。2016年上半期は、その他投資が11兆4892億円の流入(つまり借入れ)、金融派生商品が2兆3621億円の流入、合計で13兆8513億円の「日本への資金流入」となっています。
 
 これが最近よく言われる、外貨(ドル)調達コストの上昇に跳ね返っているはずです。借りた外貨は返済しなければならず、また機関投資家が保有海外資産の為替をヘッジ売りする場合も、その間は外貨を借入れる必要があります。

 量的緩和とマイナス金利は円の価値を棄損させて円の国際化を困難にするため、国内の外貨不足を加速させ、日本全体では外貨調達コストや為替ヘッジコストを膨らませる結果にしかなりません。

 つまり国家としての通貨戦略を欠いた安直な金融緩和・円安政策は、ますます日本経済を疲弊させてしまう結果にしかなりません。これも本誌が早急な量的緩和の縮小、マイナス金利の廃止を主張する根拠です。

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