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ライブドア事件の闇  その3

2011年06月23日

ライブドア事件の闇  その3


 ライブドアの「株式市場の錬金術」について書いている途中なのですが、このへんでライブドア事件とは、この数多くあったはずの「錬金術」のうちの何が犯罪とされたのかを見てみます。

 それは以下の2つの証券取引法違反で、両方とも主に2003年から2004年にかけての出来事です。強制捜査が入ったのは2006年1月なので、それなりの時間をかけて着手されています。

 まず第1の犯罪は、2006年1月23日に堀江元社長以下4名が逮捕された容疑で、証券取引法違反の偽計・風説の流布です。

 ここで偽計と言うのは、旧証券取引法第158条で規定された「何人も有価証券の売買や相場の変動を目的として、人をだましたり、うその情報を流したりしてはいけない」と言うもので、5年以下の懲役または500万円以下の罰金となっていました。(現在の金融商品取引法ではさらに罰則が強化されていますが、当時は旧証券取引法でした)

 風説の流布というのは必ずしも偽計とセットであるのではなく、両方が適応されたようです。

 具体的に言いますと、2004年6月にライブドアが子会社のライブドアファイナンスを介して実質支配下にしている投資事業組合が、マネーライフと言う会社を4200万円で買収し、その後3000万円の増資を行います。この時点でマネーライフはライブドアの傘下であり、その価値は7200万円ということになります。
 
 そして2004年10月に、ライブドアの連結子会社であった上場会社のライブドアマーケティング(旧バリュークリックジャパン)が、株式交換でマネーライフを完全子会社にすると発表します。この際、マネーライフの価値を4億円と算定し、4億円相当のライブドアマーケティングの株式を、ライブドアの実質支配下にある投資事業組合が受取り売却し、かなりの売却益を出しました。

 この際、実際7200万円で買ったマネーライフの価値を4億円と算定したのは、外部の第三者と装っていましたが、実際はライブドア側で決められていたとされています。

 さらに、ライブドアマーケティング自体の決算も、実際は赤字であったものを架空売り上げの計上などで黒字化と発表した、とされています(この部分が風説の流布です)。

 以上の行為が、ライブドアマーケティングの株式の売買のため、及び株価の維持・上昇を図る目的で行われたものであり、偽計であると判断されたわけです。

 ここで不思議なことがいくつかあります。

 まず、実際に株式交換を行ったのはライブドアではなく子会社のライブドアマーケティングで、偽計の実行行為(IRなど)もライブドアマーケティングが行っています。ところがライブドアマーケティングの役員は誰も逮捕されていないのです。

 一応上場会社であったライブドアマーケティングが、株式交換による買収も、交換比率の算定も、決算発表も、それらのIRも全て自主性がなく、全て親会社のライブドアの言いなりということになり、実際はあり得ない話です。

 強制捜査前に一番事情を聞かれていたのが、当時のライブドアマーケティングの代表取締役だったと言われています。なんらかの取引があったのでしょう。

 もうひとつ、7200万円の価値しかないマネーライフが4億円のライブドアマーケティング株式に化けたこと自体が問題とされているわけではなく、すでにライブドア傘下であったマネーライフが、後の株式交換時に初めて傘下に入ったように装ったことと、4億円の価値を外部の機関が算定したように装ったことが偽計に当たるとされているのです。

 最後に、後から出てくる粉飾のところで、このライブドアマーケティングの株式を売却した投資事業組合の利益をライブドアの利益として取り込んだことは含まれていないのです。つまりこの利益を計上したことは犯罪(粉飾)ではなかったのです。(これを粉飾に含めると、さすがに情報提供者のライブドアマーケティングの代表取締役も逮捕しなければならないからでしょう)

 つまり、全体としての善悪はともかく、実際犯罪とされた行為は非常に小さいもので、明らかに恣意的に選んだものなのです。

 それから第2の犯罪は、2006年2月22日に堀江元社長以下3名が再逮捕され、新たに1名が逮捕された容疑で、証券取引法違反の有価証券報告書の虚偽記載です。

 つまり粉飾決算です。

 これは2004年9月期の連結決算に、15億円ほどの架空売り上げと、37億円ほどのライブドア株式の売却益の、計53億円の利益を不正に計上し、実際は3億円ほどの赤字であったライブドアの連結決算を50億円の黒字とした虚偽の有価証券報告書を提出したことです。

 この37億円のライブドア株式の売却益というのは、クラサワコミュニケーションとウェブキャッシング・ドットコムの2社の買収に際し、同じように傘下の投資事業組合を通じて交付されたライブドア株式を売却して得た利益を計上しているものです(前述の通り、ライブドアマーケティングの株式売却益は入っていません)。
 
 ここでも不思議なことがあります。

 第2の犯罪(粉飾)とされたのは、クラサワコミュニケーションやウェブキャッシング・ドットコムの株式交換で得たライブドア株を投資事業組合で売却し、その利益をライブドアの利益に取り込んだことなのですが、これらは第1の犯罪の偽計には当たっていません。

 つまり、利益として計上した行為は犯罪ですが、株を手に入れた行為はライブドアマーケティングとは違い、犯罪ではなかったとされているのです。

 この2社を含む何件かは、堀江元社長が主犯の構造が崩れるから、あるいは逮捕された他の役員の業務上横領を見逃して検察に有利な証言を取るために、意識的に立件せず公訴権の濫用であると堀江元社長の弁護人が主張していました。多分事実なのでしょう。

 つまり、長々と書いてきて強調したいことは、犯罪と言うものは善悪で決まるのではなく、最初からターゲットがありそれに応じたシナリオが都合よく構築され、都合の悪いところは無視され、立件されてしまうと言うことなのです。

 つまりライブドア事件と言うのは、突き詰めて考えるとたかだか53億円の粉飾事件なのです。善悪で言うと確かに悪なのですが、それほどの重大犯罪ではなかったはずです。

 堀江元社長の日々の行動を好ましく思わなかった勢力がいたのでしょう。

 怖いのは、検察の立件したのは非常に小さい部分だけで、しかも見てきたように構成に少なからず不思議なところがあります。しかし、裁判所の判断には「総論が悪」が根本にあることです。

 つまり検察は最小限の立件だけを行い、後は世論の風潮と裁判所の「良識」に任せたのです。その結果が2年6カ月の実刑なのです。

 このシリーズは3回くらいで終わろうと思っていたのですが、どうしてもニッポン放送買い占めと村上ファンド事件に触れないわけにいきませんので、もう1回書きます。

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