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日銀の「総括検証」とは量的緩和を縮小することである  その2

2016年10月07日

日銀の「総括検証」とは量的緩和を縮小することである  その2


 昨日の続きですが、なぜ「総括検証」で長短金利を誘導すると量的緩和の縮小になるのかが説明不足だったので付け加えます。

 確かに「総括検証」では、長短金利を誘導するために量的緩和を「増減する」となっています。つまり長短金利(とくに長期金利)が誘導目標をこえて上昇すれば、日銀は買入れ額を増加することになります。ご丁寧に「指値入札」まで新たに導入しており、徹底的に金利水準の上昇を食い止めるように思えます。

 ここで短期金利の誘導目標とは、300兆円をこえる日銀当座預金残高の「ほんの」10~30兆円にだけ適用されているマイナス0.1%のことですが、これは「マイナス金利のようなもの」にすぎず、日本の短期金融市場は別にマイナス金利になっているわけではありません。

 それでもこのマイナス0.1%が短期金利の誘導目標となるなら、2年国債利回りはマイナス0.2~0.3%程度の取引レンジになるはずです。2年国債利回りのマイナス幅が大きいのは、単純に国債は信用力と流動性に優れ、さらに担保として品不足気味だからです。

 一方で長期金利の誘導目標とは10年国債利回りのゼロ近辺となっているので、その取引レンジはマイナス0.1~ゼロ%程度になるはずです。

 ここで景気が一層低迷するなどの状況になれば、この長短金利の誘導目標をさらに引き下げるとも公表しています。さらにこの金融政策を2%の物価目標を十分にこえたと確認できるまで継続するとも公表しているので、長短金利の誘導目標の引き下げは際限なく行われる可能性もあります。

 それではこの金融政策で、金利水準(とくに長期金利)が上昇することがあるのでしょうか?

 本来なら2%の物価目標が実現することがあるのか?もっと正確には日本経済が回復することがあるか?と考えなければなりませんが、それらの間にはもう関連性があるとは思えません。そこで単純に10年国債利回りが誘導目標のゼロ近辺をこえて大きく上昇する可能性があるのか?に絞って考えます。

 10年国債利回りが上昇するケースは、景気が回復して(あるいは回復するとの期待が盛り上がり)長期資金に借入れ需要が拡大する場合ですが、それ以外にもインフレが亢進する場合(普通は自国通貨の急落などによる悪いインフレです)、国債の信用状況が急激に悪化して海外投資家が資金を引き上げる場合などがあります。

 しかし日本は(今のところ)ブラジルやギリシャではないので、自国通貨急落による悪いインフレの亢進や、そもそも日本国債を海外投資家が大量に保有しているわけではないので、その急激な引き上げによる国債利回り上昇は起こりえません。

 そうすると長期の資金需要が急激に盛り上がらない限り、10年国債利回りの上昇は考えられないことになります。

 もちろん設備投資などの資金需要以外に、不動産投資や株式投資や海外投資に資金が振り向けられる可能性はありますが、国内の不動産投資や株式投資は日本経済の低迷と無関係に収益を生むというものではなく、海外投資も常に円高懸念があり新興国を含む世界経済に減速懸念があるため、どちらもここから急激に盛り上がるわけでもなさそうです。

 さらに10年国債利回りの誘導レンジ(取引レンジ)がマイナス0.1~ゼロ%であるということは、よほどの価格変動リスクや与信リスクを取らない限り手持ち資金を10年間運用してもプラス利回りにならないということで、さらに2年国債利回りがマイナス0.2~0.3%といってもマイナスで資金調達ができるわけではないため、短期で資金調達して10年で運用したらもっと損失が大きくなってしまいます。

 つまりこの金利体系では経済活動のインセンティブも収益期待もなく、どう考えても日本経済を回復させるものではありません。そうなるとさらに長短金利の誘導目標を引き下げ、さらに日本経済を低迷させてしまうことになります。

 つまり日本の長短金利(とくに長期金利)が上昇することは考えられず、むしろ放っておくともっと低下してしまうため、逆に日銀が買入れ額をどんどん減少させて「これ以上の利回り低下を防ぐ」ということになります。

 それでも金利水準(とくに長期金利)が低下すれば、いくらなんでも資金需要が出てきて少しくらいは日本経済が回復するのではないか?と思われるかもしれません。
 
 しかし残念ながら日本の銀行は大変に高コスト体質であり、いかなる場合もそれをすべて貸出金利に堂々と上乗せするため、貸金金利はここから「高止まる」か「さらに上昇する」ことになります。

 まだまだ書き足りないところがたくさんありますが、これが日銀の「総括検証」の意味するところとなります。また機会を改めて書くことにします。

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総括検証の為替市場の受け止め方
為替市場は円安トレンドが明確になってきたようです。総括検証の為替市場の受け止め方は緩和的という事ではないでしょうか。
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