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正真正銘の「ワル」に狙われたサムスン電子

2016年10月13日

正真正銘の「ワル」に狙われたサムスン電子


 世界にはヘッジファンドとかLBOファンドとか、あるいはアクティビストとか、いわゆる「著名ファンド」が数多くあると思われていますが、その実態は玉石混交というより本物はごく一部です。

 そもそもこれらのファンドをカテゴリーに分類することもあまり意味がありませんが、ヘッジファンドの主催者では、世界最大のマクロ型ヘッジファンド・ブリッジウォーターのレイモンド・ダリオ、2年連続で個人所得No.1となったシタデルのケネス・グリフィン、ディストレスの雄・アパルーサのデビッド・テッパー、それにクォンツの雄・ルネッサンス・テクノロジーのジェイムス・シモンズあたりが数少ない「本物」です。

 LBOファンドでは、KKR、カーライル、ブラックストーンが御三家で(あとはかなり実力が落ちます)、またアクティビストといっても所詮は会社資産をかすめ取ろうとしているだけで「本物」はいません。

 ところが昨年からサムスングループに狙いを定めているエリオット・マネジメントを主宰するポール・シンガーは、あまり活動を自ら喧噪しないため日本での知名度は落ちますが、間違いなく「本物」で正真正銘の「ワル」です。

 「ワル」と言っても反社会勢力というような意味ではなく、ちょっと常人では思いつかないところに狙いを定め、絶対不可能に見える要求を繰り出し、それを何年かけてでも成功させるという意味で、どちらかといえば「誉め言葉」です。

 そのポール・シンガーが、10月5日にエリオット傘下の2つのファンド名でサムスン取締役会に公開書簡を送付し、合理化と2社への会社分割(持ち株会社と事業会社への分割)を要請するとともに、30兆ウォン(2兆8000億円)の特別配当支払いや事業会社のナスダック市場への二重上場、さらに取締役会に3名の社外取締役を加えることによるガバナンス改善などを求めました。

 エリオットは昨年(2015年)7月にも、サムスングループの実質持ち株会社である第一毛織とサムスン物産の合併を承認する臨時株主総会を差し止めたのですが、ソウル中央地裁民事部は「当然のように」サムスン寄りの判断で、エリオットの差し止めを却下していました。

 今回の要求も、サムスンに限らず複雑怪奇な韓国財閥の資本関係を解消させて経営の透明性と時価総額の増大を目論んだもので、いよいよ中核企業のサムスン電子に狙いを定めたことになります。

 また今回の公開書簡は、そのサムスン電子の臨時株主総会が10月27日に開催される直前であり、たまたまかもしれませんが10月11日には火を噴いたギャラクシーノート7の生産と販売の中止を発表したタイミングも捉えたものとなりました。

 サムスン電子の臨時株主総会は、李健熙会長の長男である李在鎔(イ・ジェヨン)副会長を登記理事(取締役のこと)に選任するためのものです。またギャラクシーノート7の生産・販売中止を受けてサムスン電子の株価は153万ウォン(10月12日終値)と、10月7日の170万ウォンから1割下落しており、時価総額も2120億ドル(22兆円)と日本最大のトヨタ自動車(19.9兆円)が迫っています。

 さてそんなエリオットですが、グループ全体でサムスン電子株を0.62%保有しているだけです。いくらサムスン電子の外国人持ち株比率が50%をこえており、他の外国人株主の賛同をアテにしているとしても「勝ち目はないだろう?」と思われますが、そこは正真正銘の「ワル」であるポール・シンガーの深謀遠慮は想像がつきません。

 何しろポール・シンガーといえば、2001年にデフォルトしたアルゼンチンの93%の国債保有者が75%の債権カットを呑んだにもかかわらず、わずか額面の数%で買ったアルゼンチン国債の満額元本と利息合計・13億3000万ドルの支払いを求め、何と債権カットを呑んだ投資家への弁済の差し止めを求めてNY地裁に提訴していました。
 
 「そんな無茶な」と思っていたら、何と2012年11月にNY地裁が満額支払いと他の投資家への支払いを差し止める判決を下し、さらに何と2014年6月に米国最高裁がアルゼンチン政府の不服申し立てを却下し、ポール・シンガーは巨額の(全体で24億ドルだったようです)利益を得てしまいました。

 2014年7月29日付け「アルゼンチンがなぜデフォルトするのか?」に書いてありますが、こんな正真正銘の「ワル」であるポール・シンガーがサムスン電子(あるいはサムスングループ全体)に狙いを定めたことになります。

 今後の展開に注目すべきと考えます。

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