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どうにも不可解な「さが美」のTOB

2016年10月14日

どうにも不可解な「さが美」のTOB


 正直に言うと本誌は、日本のいわゆる「再生ファンド」というものは官民を問わずあまり信用していません。何か狭い特殊な世界の中だけで不明朗な談合のようなものが行われており、あまり経済原則で物事が進んでいるとも思えないからです。

 じゃあ海外の「再生ファンド」ならいいのか?というと、これも同じような不明朗で「ぼろ儲け」だけが海外に移転されてしまい、もっととんでもない話が多くなります。

 本日の話題はそんな不可解な「さが美」のTOBについてです。

 9月1日に経営統合を終えたばかりのユニー・ファミリーマートホールディングスですが、8月17日に旧ユニーがその53.8%(議決権ベースでは55.4%)に相当する2199万株を保有する着物販売全国チェーン「さが美」を、「再生ファンド」のアスパラントグループに売却すると発表していました。

 総発行株式の3分の1をこえる株式移動は、すべての株主に等しく売却機会を提供するためTOB(株式公開買い付け)を行う必要があり、そのTOB価格が1株=56円、買い付け期間が8月18日~10月11日に設定されていました。

 発表当日である8月17日の株価が80円だったので「ほかの株主が応募できない安値TOB」となりますが、「さが美」も旧ユニーも同日にこのTOBへの賛同を公表しています。また旧ユニーはこの安値TOBに全株応募し、さらに「さが美」に対する34億円の貸付債権のうち16億円を放棄するとも公表しています。

 「さが美」の2016年2~8月期の純利益は2億8800万円で、同年8月現在の純資産は49億円あります。これに16億円の債務免除益が加算されるため純資産は65億円となるはずで、自社株を除いた1株あたり純資産は164円となります。繰り返しですがTOB価格は56円です。

 つまりアスパラントは65億円の純資産のある、一応は利益の出ている、依然として東証1部に上場している「さが美」の経営権を、わずか12.3億円(56円で2199万株)で掌握することになります。

 一応は「再生ファンド」でも常識であるはずの全株取得も上場廃止も行なわず、いつでも資本市場から資金調達する選択肢も(もちろん市場で売却する選択肢も)維持したままとなります。

 別に「やっかむ」つもりはありませんが、本誌でも「大儲け」ができてしまいそうな「おいしい買収(それとも企業再生?)」となります。「さが美」の株価は9月28日に206円の高値となりました。

 まさに冒頭で書いた不明朗な談合の結果のようですが、さすがに「再生ファンド」の中でも異論があったようで、ニューホライズンなる「再生ファンド」が9月27日に買収価格を1株=70円、さらに9月30日に90円まで引き上げ、しかも16億円の債権放棄を求めないという「割合まともな」対抗案を用意していると報道されていました。

 ところが統合を完了したユニー・ファミリーマートも「さが美」も、信頼関係が築けていないなど「笑ってしまうような」理由でニューホライズンの対抗案に不賛同を表明し、ニューホライズンも「友好的TOBしか行わない」との理由で正式にTOBを申し立てず、TOB期間最終日の10月11日には無事にアスパラントへの安値TOBが成立してしまいました。

 「再生ファンド」という狭い特殊な世界では、こういうことも珍しくないのかもしれませんが、じゃあどこが問題なのでしょう?

 ユニー・ファミリーマートは「さが美」という会社資産を不当に安く売却したことになり、厳密に言えば株主代表訴訟の対象となります。「さが美」はまだ東証1部に上場しており(つまり客観的な価格があり)、本日(10月13日)の終値も1株=117円あるからです。

 もしニューホライズンがあくまでも戦うつもりだったら、会社の賛同が得られなくても正式のTOBを申し立てれば(TOBは重複した申し立てが可能です)、少なくともアスパラントへの安値TOBは阻止できたはずです。さすがに明確に安値の方に売却したことになるからです。

 全株を売却してしまうユニー・ファミリーマートから見れば、(実際にそういう言い訳もしているようですが)売却後の「さが美」の経営が信頼関係のないニューホライズンに委ねられても何ら問題がなく、純粋に会社の利益だけを考えればいいはずです。

 ところがニューホライズンも「再生ファンド」という同じ狭い世界の住人であるからか、結局はTOBを申し立てず退散してしまいました。

 要するにすべて「再生ファンド」という狭く特殊な世界の住人にしかわからない理屈で、この不可解な安値TOBが成立してしまい、今回はアスパラントなる「再生ファンド」に大儲けの機会が提供されて幕引きとなります。

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コメント
企業再生ファンドとして有能だと思うのは
アニメ会社のゴンゾを再生させた「いわかぜ」です。
上場廃止時に700円位だった株価ですが
7年後に26000円位の価格で第三位の広告代理店がTOBし全株売却しました。
個人株主も2割いたので応募した一部の株主は儲かったでしょう。
債務を27億円から10億円位に減らした手腕は凄いと思います。
話は変わりますが、今話題のサハダイヤも上場廃止後にはどのような再生をするか
倒れるか分からないので
全損覚悟で臨むと面白い結果になるかもしれません。
ユニーファミマ、さが美、アスパラント全てMUFGがらみのようですね。完全な出来レースです。
結局はさが美という再生(切売り?)利権の争いでしかなく、どこの馬の骨かわからない連中に利権を渡してなるものか!って話なだけのような気がします。
案外、巨額な案件ほどしょうもない人脈や夜の接待で決まってしまいます。というか金融マンの一番アタマ使うところはここで、資産査定は雑務に過ぎないただの単純作業といったところです(むしろ私は買収価格が高い安いとか、再生プランがどうと言ったカネの損得の横やりを交わして、案件成立まで導いたファンドのメンバーたちに同じ金融マンの端くれとして賞賛を送りたいと思います)
担当者として金額で勝負することほど楽な仕事はなく、それでは小学生のお使いと変わりません。
優秀な金融マンが高給取れるのはこう言った案件をまとめられるからだと思うんですよね。
金融の儲けのカラクリは商品ないしは案件を複雑化しよくわらないようにし、堂々と分厚い粗利を抜くところにあります(笑)
アデランスはどうですか?
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