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自社株買いについてちょっと考えてみよう

2016年10月20日

自社株買いについてちょっと考えてみよう


 本日(10月19日)付け日経新聞朝刊の1面トップ記事に、上場企業の自社株買い実施額が2016年1~9月に4兆3000億円に達し、年間で最高だった2015年の4兆8000億円も上回る可能性が強まっていると出ています。

 一方で同期間の新株発行による資金調達額(公募増資と新株予約権付社債の合計)は7200億円と、4年ぶりの低水準に留まっているとも出ています(第三者割当増資や過去に発行された新株予約権の行使などは含まれていません)。

 つまり上場企業は2016年1~9月に、差し引き3兆6000億円も株式市場に「返還」したことになります。実は2011年以降の上場企業は毎年、差し引き数千億円ずつ「返還」しているのですが、本年は加速度的に「返還」が増加していることになります。

 本来の株式市場は「資金調達の場」であると教科書には出てきますが、ここ数年の日本の株式市場は「資金返還の場」であることになります。

 また上場企業の年間配当総額も10兆円をこえています。

 世界的に株式市場では、配当と自社株買いを合わせた株主還元が率・額とも大きければ大きいほど株式市場における評価が高いため、ますます自社株買いが増える傾向にあります。

 また日本の上場企業には100兆円をこえる現金があるとか、有望な投資対象が少ないとか、さらに金利水準が低いため低コストで社債発行ができるのでますます資金が余剰になるなどの理由もありますが、ちょっとここで自社株買いの経済的な意味について考えてみましょう。

 直近の東証1部全銘柄の平均ではPERが15.17倍なので、自社株買いを「投資」と考えれば、理論的にはその期待収益率は6.6%(PERの逆数)もあることになります。

 また東証1部全銘柄の配当利回り(加重平均)は2.13%もあり、自社株買いを行った株式(金庫株)には配当を支払わず、また配当そのものも税金などを支払った後の利益処分であるため、自社株買いを「投資」と考えればその利回りは2%を大きくこえていることになります。

 直近の日本経済の潜在成長率はゼロ近辺であるといわれており、10年国債利回りまでマイナスである中で、「突出して有利な投資対象」となります。
 
 もちろん上場企業という「一部のエリート企業」だけが得られる特権であるとはいえ、あまりにも現実との間に大きなギャップがあると感じます。

 つまりどこかがおかしい可能性があり、直感的にはPERつまり上場企業の長期的な利益水準が高く見積もられ過ぎており(高すぎる株価水準の自社株買いとなっている可能性があり)、配当は日本経済あるいは個別企業の体力をこえた大盤振る舞いで企業体力を損ねているような気がします。

 またその自社株買いで取得した株式(金庫株)を、惜しげもなく消却してしまう例もあります。

 昨日も登場したソフトバンクは、10月31日付けで1億株・時価総額で約6500億円を消却すると発表しています。ソフトバンクは本年2~8月だけで約5000億円の自社株買いを実施していたため、その5000億円も含む6500億円を株式市場に「返還」したことになりますが、もっと正確には「捨ててしまう」ことになります。

 この1億株はソフトバンクの発行済み株数の8.33%に相当するため、それだけソフトバンク株式の各指標が向上するとか、直接的には44億円(1株=44円)の配当支払いが軽減されることにはなりますが、それが6500億円を「捨ててしまう」ことに釣り合っているのか?は、難しい問題となります。

 ソフトバンクは連結で12兆円をこえる有利子負債を抱えており、いくら低金利といっても、いずれは返済あるいは償還しなければならない12兆円のはずです。それを全く返還義務のない発行済み株数を買入れ、多少は株価に対するプラス効果は期待できるとはいえ、このように「捨ててしまう」ことが全体として正解なのかは考えてみなければなりません。

 本日の日経新聞を見て考え込んでしまったのですが、まだよくわかりません。よろしかったらご意見をコメント欄にお寄せください。

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コメント
攻めのM&Aをする企業であれば・・・
自社株買いで浮動株潰す→株価上昇→高い株価を使って株式交換で買収→これを繰り返す・・・
これは戦略的な現代の錬金術ではないでしょうか。まあ普通に考えればソフトバンクは借金返した方がいいんでしょうが、そこは天才の孫さんなので(笑)
逆にソフトバンクのような企業の方が健全なのかもしれません。このような戦略もなく証券会社に勧められ、ただ周りがやっているからと自社株買いをする企業は、配当で株主還元をやった上でしている訳で、それほど本業で投資をするものがない訳ですから。

あと自社株買いは最近でこそどこの会社も毎年やるようになったので違うのかもしれませんが、「究極のインサイダー取引」だと思います。
全てを知っている経営陣が「今の株価は安い!」と思うからやる訳で、さすがにこの後に下方修正出すと分かっていたらやらないでしょうし。
ソフトバンク
おそらく孫氏の頭の中では,『株式市場からの調達コスト(配当および成長性)>金融機関からの調達コスト(支払利息)』となっているのではないでしょうか。
(ここ3年間(2014,2015,2016)はフリーキャッシュフローがマイナスであり,保守的な財務担当者であれば,出銭を押さえたいと考えるものですが。)
過去のB/Sを見てみると株主資本比率は6.64%です。今は株主資本比率は12.62%であり,財務レバレッジはかつてよりは低めです。
http://financials.morningstar.com/ratios/r.html?t=SFTBF®ion=USA&culture=en_US
ソフトバンクのコア事業は公益(電気通信)なので幸い営業キャッシュフローは膨大です。昨今の低金利のおかげで利払い負担は低いですし,利払いだけを考え借り換えする前提ならば,まだレバレッジをかけられると考えているのだと思います。
金融機関からすると,融資先探しに苦労する中で,兆円単位で借りてくれるソフトバンクは(たとえ財務に懸念があっても)他社に譲りたくない顧客のはずですし。
金融機関と孫氏のナァナァ説を採りますね。

自社株買いに賛成


増資ラッシュで有った 2008 2009は保有株の増資に怯えていました。

ゆえに、余剰潤沢時に株数を減らす行為は、
危機リスク時に効いてくると思われます。


攻め達磨の如く
止まる事をしない孫氏、

借りて 稼いで 爆買い~

お金を超積極的に循環させると言う意味ではソフバンの上を行く企業は皆無であると思います。

自社株買いとETF
自社株買いが「お金を捨てている」といいますが
どこかで「拾っている」のかもしれませんよ

基本的に会社の金なんてどうでもいいです
どこかで利益が出て自分または利害関係者の懐に入ってくれば問題ありません

自社株買いの情報提供をして見返りでもいいでしょう
ETFや投資信託での取引はインサイダーにならないわけですよね?
日経平均への影響の大きい銘柄は簡単そうですし
業種や財閥系の投信なんかを利用すれば
ほかの銘柄でもうまく利益をとれそうです

「償還」と表現していますが買収対策にはなっているでしょうね

ソフトバンクとしてはお金はいつでも借りられます
仮に倒産したら銀行まで道連れになりますから潰れないでしょう

また日本の通信企業は出資関係で談合のようになってて
ある程度のお金は黙っていても入ってきます
電電公社が3つできただけになってしまいましたね

私も「下がる機会がなくなる」自社株買いに違和感は感じます
自社株買いには規制がありますが、ある意味インサイダー取引でもありますよね
自社計画も決算の推移も全て見通せるわけです
そう考えると不思議な制度です
最近は仕手株とかハコ企業
10年前と比べかなり淘汰されてしまいましたね
あの頃ご活躍してた方々はどうしてんでしょう
素人なので全くわからないのですが、償却するフリしてしてないとかいう事はないのでしょうか?昔のホリエモンみたいにそういう好材料出して株吊り上げて償却した事になってる株売って儲けるとか。
ソフトバンクの適切なPER(特別損益等の一時的な損益を修正し税引後利益を再計算したEPSで算定したPER)は計算してないので分からないのですが、仮に表面的なPER6.04倍とすれば、1÷6.04=16.6%となります。自己株買いも実態は自社への投資と同じであるため、期待値16.06%の投資をしたこととなり、これはソフトバンクの新規投資利回りが16.06%、未満であることを表明したことと同じこととなります。
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