闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

日銀当座預金を民間銀行の「預金」と勘違いしてはいけないそうです!?  その2

2016年11月15日

日銀当座預金を民間銀行の「預金」と勘違いしてはいけないそうです!?  その2


 11月9日付け「同題記事」の続きです。元大蔵官僚・高橋洋一氏の「日銀の負債である日銀券(現金のこと)と日銀当座預金はどちらも負債性がなく、日本政府の連結決算で考えれば日銀が買い入れて保有する国債は負債から除ける」という説明についてです。

 大雑把に言うと直近の日銀のバランスシートでは、資産である保有国債の400兆円と、負債である日銀券の100兆円と日銀当座預金の300兆円がほぼ見合っています。一方で政府系金融機関やGPIFや郵便貯金などを含めた「政府の連結決算」で考えると500兆円ほどの負債超過なので(これは正しい)、それに日銀を「政府の連結決算」に加えれば100兆円ほどの負債超過でしかなく、財政再建はほぼ完了しているというものです。

 本誌は、日銀券は確かに返済不要なのでそれに見合う国債100兆円は「政府の連結決算」の負債から除けても、日銀当座預金は国民の預金を銀行から預かっているだけで返済不要ではないため、それに見合う300兆円は負債から除くことはできないと考えます。

 それに対して高橋氏は、仮にどこかの銀行に資金需要が発生して日銀当座預金を取り崩したとしても、その資金は必ずどこかの銀行に預けられて日銀当座預金に戻るため、結果として日銀当座預金の残高は減ることがなく、その見合いで日銀が保有している国債は売却されることがないと説明しています。

 要するに、一度積み上げられた日銀当座預金は決して銀行に(国民に)戻されることはなく、未来永劫に日銀の保有国債をファイナンスし続けるといっていることになります。ここが正しいかどうかを検証してみましょう。

 まずある銀行が国債を市場から100兆円買ったとします。ここだけ取り出すと資産が国債の100兆円で、負債が預金の100兆円となります。

 次にこの銀行が日銀の買入れに応じてこの100兆円を日銀に売却し、その代金をそのまま日銀当座預金に積み上げたとします。これもここだけ取り出すとこの銀行の資産は日銀当座預金の100兆円で、負債は変わらず預金の100兆円です。

 一方で日銀は、新たに買入れた国債の100兆円が資産に加わり、新たに100兆円の日銀当座預金が負債に加わります。

 全体としてみると銀行の資産が国債から日銀当座預金となり(負債の預金は変わらず)、日銀は新たに資産の国債と負債の日銀当座預金を積み上げたことになります。

 現在の国債発行残高が1000兆円とすると、そのほぼ全額は(ほんの一部は外国人が保有していますが)とりあえず銀行など国内資金でファイナンスしているため、同じように考えていくと1000兆円の国債がすべて日銀保有となっても問題はなさそうに思えます(仮説A)。

 ここでこの銀行に急に100兆円の新規融資が申し込まれたとすると、この銀行は100兆円の日銀当座預金を取り崩すものの、その貸し出された100兆円は回り回ってどこかの銀行に預けられるため、結果的に日銀当座預金に戻ってきて問題はなさそうに思えます(仮説B)。

 それではどこに問題があるのでしょう?

 仮説Aは、銀行の預金量が減らないことを前提としていますが、もしお年寄りを中心に預金を取り崩して生活に使ってしまったらどうなるでしょう?

 しかし生活に使ってしまった預金でも回り回って誰かの収入になり結果的にどこかの銀行の預金として戻ってくるので、やはり問題がなさそうです。

 それでは仮説Bで、この銀行が貸し付けた100兆円が海外で使われてしまったらどうなるでしょう? この100兆円は回り回っても日本の銀行に戻ってこないことになり、その100兆円は日銀当座預金から引き出されたままになるはずです。

 仮説Aでも、預金者が預金を引き出して海外旅行で使ったり、海外に投資したりすると、やはり国内の銀行に預金として戻ってこないことになり、預金量が減りやがて日銀当座預金も引き出されることになるはずです。

 しかし逆に海外旅行者が日本で使ったお金や、海外投資家が日本に投資した資金は、そのまま国内銀行の預金となり、日銀当座預金も増えることになりそうです。

 高橋氏の理論を論破できると思って書き始めたのですが、どうもはっきりしないうちに紙面が尽きてしまいました。改めて考え直すことにします。

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:13 | TrackBack:0
関連記事
コメント
高橋 洋一殿
トランプの勝率は2~3%と予測したわけだから、その反省と釈明をお聞きしたい。かしこ。
マネタリーベースの増加
http://www.stat-search.boj.or.jp/ssi/mtshtml/m.html

記事への反論は難しいですが、こんなことを続けたら、マネタリーベースがとんでもなく膨れ上がるということです。

マネタリーベースの時系列の推移を見れば、恐ろしいくらい膨れ上がってきているのがわかります。なぜ、インフレにならないのか不思議なくらいです。

マネタリーベースの増加が必ずしもインフレにつながらないということで、日銀も困惑しているのかもしれませんが、緩和の縮小をすれば、国債購入量を減らせば物価は上昇していくと思うのです。金利の上昇を伴うので意図する物価上昇とは異なるのでしょうがね。

マイナス金利を当座預金全体にかけるというのも良いと思いますが、記事と同じ理論で結局当座預金に戻ってくるから、銀行の収益を圧迫するだけということになるのでしょうか?
日銀当座預金は日銀券に置き換えない限り負債のままですね
日本は人口が縮小する社会ですよね?
また日本内部からは外国に投資する機会が多いのではないでしょうか(統計は調べていません)
もしそうであれば海外からの投資が大きくならないと高橋氏の理論は成り立たないのではないでしょうか。
外人が不動産を買占めてくれて、爆買いの外国人がいてくれ、外国人労働者が国内に資産を残し永住してくれれば成り立つでしょうね。
そう考えると、外人が日本に飽きたとき、BRexitならぬJapExitが起こり始めれば成り立たなくなるのではないでしょうか。
また仮に成り立ったとしても外資に頼る脆弱な経済構造になってしまうと思います。
資本引き上げるぞ、と脅されたら従うしかなくなりますよね。
高橋氏の論は、「日本国債は国内で消化されているから大丈夫」ということをまわりくどく言い換えただけではないでしょうか?
まず原理原則を理解しましょう。
日本円は日本国内でしか使用、運用できません。したがって例えばドル使用国の物を買ったり現地の外人に給料を払う場合は、ドルに変えなくてはなりません。反対にドルを円に変えた相手は日本国内でしか使用、運用できないため、まわりまわっても結局日本の金融機関に預けられるので、現国内環境での運用先は国債中心にならざるを得ません。何が変わるかといえば、円をドルに交換してくれた相手が日本人か外国人かだけの話です。それによって国債の外国人保有率が変化するということです。
繰り返しますが円は日本国内でしか通用せず、通貨を交換してくれた相手(外資系銀行など)は円を日本国内でしか使用、運用できないということです。
これはかなり基本的なことですのでしっかりと理解するようにして下さい。
日銀のBS資産サイドにある国債保有残高は、負債サイドにある民間銀行の日銀当座預金残高を見合いに両建てになっている。更に民間銀行の資産サイドとしての日銀当座預金残高は、負債サイドの預金残高と見合いになっている。したがって、日銀を政府に統合して見ても、日銀の負債としての日銀当座預金残高(マネタリーベースの一部)が相殺で消えるわけではなく、あえてそれを「帳消し」にするなら、国民預金の収奪になるという田中氏の論理は、会計上の形式論理としては全く正しい。
それに対する高橋氏の主張は、日銀当座預金は日銀券と同じで「無利息、償還期限なしなので、実質的な債務性はない」 したがって、政府債務に加えなくて良いという一点にかかっている。
「日銀当座預金には実質的な債務性はない」は正しいか?
この「実質的に債務性はない」ということの意味は、まず現金(日銀券)を考えればよくわかるだろう。日銀券発行残高はたしかに日銀のバランスシートの負債サイドに計上されている。 ところが、政府の国債の発行残高は政府債務残高としてその増加を懸念する議論を呼ぶが、日銀券発行残高は今のような低インフレ(あるいはデフレ)の局面では全く懸念の対象となっていない。 その理由は、高橋氏が言うように「無利息、償還期限なし」だからである。

日銀券を保有する国民全体では、日銀券で保有するか銀行預金で保有するかの選択肢(いずれもマネー)があるのみで、マネーの外に逃げることができない。「マネーで財や資産を買うことでマネー保有量を減らせる」と思う人がいるかもしれないが、あなたがマネーを減らした分、あなたに財か資産を売った人がマネー保有を増やすので、全体ではチャラである。ただしマネー価値への信頼が棄損した場合は、財や資産価格の高騰が起こり、ハイパーインフレになることはあり得るだろう。
 では民間銀行の日銀当座預金は日銀券と同じく「実質的な債務性はない」と言い切れるかどうか。これも民間銀行がひとつしかない(あるいは銀行業界全体)として考えると、わかりやすい。 当座預金なのでそもそも返済期日はない。今はたまたま付利(0.1%、ただし増分についてはマイナス0.1%)されているが、原理的にはゼロ金利でやってきた。
民間銀行は、日銀との取引によってのみ日銀当座預金残高を増減できる。そして日銀との取引は①日銀券と日銀当座預金残の交換、②国債と日銀当座預金残高の交換しかない。民間銀行には日銀券か、日銀当座預金か、国債保有かの選択肢しかない。つまり国債かマネーかの外に逃げる方法がない。このように考えると日銀当座預金の「債務性は事実上なし」とする高橋氏の主張が妥当であろう。




しかしそれでも政府債務の無限膨張はあり得ない




ならば、日銀が国債を購入する限り、政府は国債をどんどん発行して政府債務を増やしても問題はないのか、というと話はここで終わらない。




マネタリーベースとしての日銀当座預金には、その残高の信用乗数倍のマネーを預金と貸出の両建てで生み出すことを思い出そう。例えば300兆円の日銀当座預金残高は、現下の法定準備率約2.0%の下では、最大15,000兆円(=300/0.02)のマネーストックを生み出しえる。




したがって、将来日本経済の構造変化で再びインフレが問題になった時に、日銀は莫大に積み上がった日銀当座預金残高をコントロールできないとハイパーインフレになるというリスクがある。この問題は無視できない。
もっともこの問題に対して対策は可能だ。まず第1の対策は法定準備率を思い切り引き上げれば信用乗数によるマネー増加効果は抑制できる。 場合によっては、預金に対する法定準備率を100%にすることで、事実上信用乗数効果を1.0にしてしまうこともできる。 これは私の私見ではなく、full reserve system(100%準備預金制度)として昔アービング・フィッシャーが議論したものであり、最近ではIMFのエコノミストがそうしたシステムの下でも金融機能が機能することを検証した論文が発表されている


それに対する高橋氏の主張は、日銀当座預金は日銀券と同じで「無利息、償還期限なしなので、実質的な債務性はない」 したがって、政府債務に加えなくて良いという一点にかかっている。


仮に取り付け騒ぎが起こって多くの預金者がお金を銀行口座からタンス預金に移した場合を想定すると、当座預金が減少する(同時に日銀券が増える)のではないでしょうか。
貨幣経済
 物やサービスを実際に回してるマネーの量は変わらず、溢れたマネーは企業や富裕層が溜め込んでるのですから物価が上がるわけがありません。
 いくら日銀が緩和しても、実際に消費する層のマネーは増えていないのですから、ある意味高橋氏の言っていることは正しい。 
 
わりとまともな人もいますね
>それでは仮説Bで、この銀行が貸し付けた100兆円が海外で
>使われてしまったらどうなるでしょう? この100兆円は回り回っ
>ても日本の銀行に戻ってこないことになり、その100兆円は日銀
>当座預金から引き出されたままになるはずです。

ここが間違い。馬一郎さんが詳しく説明しているけど、かんたんに
いうと「100兆円が海外に流出」と書くと100兆円分の札束が船で
外国に運ばれる様にイメージするが、実際にはそんなことはなく、
100兆円は日本にあり続ける。単に所有権が外国人になるだけで、
日本の銀行に預けられたり、回り回って誰かの収入になったりするので
全く問題はないのです。

時計泥棒の主張の正当性についてはM.Tさんの説明の通りですw
日本国内で円は閉じている、これはおそらくそうです。
外国人が日本円を保有する、ということはないのでしょうか。
その代わり、日本人や日本法人が海外通貨で資産を保有していきます。
海外に工場を移す過程で現地法人を作ります。
国内企業では労働者不足のために外国人労働者を受け入れます。その受け入れのブローカーから労働者まで海外の人間です。それに伴って外国人経営の飲食店も増えてます。地域としては日本にとどまりますが、円の保有者は国際化が進んでいきそうです。

そうすると日本人の中で閉じていたはずの円が海外資本にすくいとられていき、気がついたときには大規模な資本となっていて太刀打ちできない。将来、何らかのトラブルにはなりそうです。
闇株さんの試行錯誤は、非常に参考になります。
金融緩和に反対している人たちは論外としても、高橋洋一さんの言うことが本当に正しいのか、妄信しないで高橋さんの本や論文を読んでいます。
ファイナンスするってどういう意味?
コメントの投稿
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

09月 | 2017年10月 | 11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム