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東芝の刑事告発を巡る2つのタイムリミット

2016年11月22日

東芝の刑事告発を巡る2つのタイムリミット


 東芝の不正会計を巡り、刑事事件化すべきとする証券取引等監視委員会(以下、監視委員会)と、その意思のない検察庁(担当は東京地検特捜部)との間で意見の対立が続いていますが、いずれにしてもそろそろタイムリミットとなります。

 本日の話題は、そのタイムリミットが2つあるというものです。

 そもそも2015年2月頃から騒がれ始めた東芝の不正会計とは、第三者委員会の調査を経て同年9月8日に2009年3月期~2014年12月期で累計2248億円の決算修正が行われ(その後2306億円に増額)、西田、佐々木、田中の歴代3社長が辞任し、さらに同年12月15日に監視委員会が史上最高となる73億円余の課徴金納付を金融庁に勧告したものです。

 これで行政処分は終了したのですが、返す刀で監視委員会がその不正会計を指示したとされる歴代3社長を刑事告発しようとしていました。監視委員会はとくにパソコン事業で行われていた決算期直前に製造委託先に部品を水増しした価格で売り、あとからその水増し分を上乗せした価格で完成品を買い取っていたところに目をつけ、歴代3社長は「完全にクロ」と見立てていました。まあ世間一般の常識でもそうなります。

 それに対して検察庁は歴代3社長がこれら不正会計を主導したとしても「不正の認識が希薄だった」として本年7月に監視委員会に「立件は難しい」と伝えていました。ところが監視委員会は10月に歴代3社長を任意で事情聴取し、その事実を各報道機関に報道させるなど両者の関係は大変に拗れて(こじれて)います。

 もともと監視委員会とは佐渡賢一委員長はじめ多数のOBや幹部を送り込んでいる「検察庁の牙城」で、一心同体のはずです。それがこのように特定案件の刑事告発を巡り関係が拗れることは異常な事態です。

 ここで検察庁の言う「不正の認識が希薄」については、確かに第三者委員会の調査報告書には歴代3社長が不正会計を主導したとは書かれていますが、「不正を認識して主導した」とは取れないように工夫して書かれています。

 しかしその調査報告書を作成した第三者委員会はもともと東芝が設置したもので、しかもあらかじめ調査対象を(調査してはいけない対象も)第三者委員会に申し伝えていました。2015年11月20日付け「とうとう出てしまった東芝・第三者委員会の出来レース」に詳しく書いてあります。

 また東芝は監査法人(新日本監査法人)に米国原発子会社(ウエスティングハウス)の減損を強く迫られると、あろうことか別の監査法人(トーマツ)の子会社(デロイトトーマツコンサルティング)にその対策を依頼し、さらに第三者委員会の調査補助者に押し込んでいた事実まで明らかになっています。

 これはそもそも歴代3社長が「不正を認識していた」からこそ行った隠ぺい工作であるはずですが、曲がりなりにも東芝は世界有数の原発製造会社であるため、検察庁に政治的圧力がかかっているのでしょう。

 それでは表題にある2つのタイムリミットとは何でしょう?

 1つは、監視委員会の佐渡賢一委員長が本年12月末に退任することです。佐渡委員長はもちろん検察庁OB(元福岡高検検事長)ですが、東芝に関しては完全に古巣の検察庁と対立しており、何が何でも任期中に刑事告発に持ち込もうとしています。
 
 それでは退任までに刑事告発すればいいのだろう?となりますが、実際は検察庁が被疑者(ここでは歴代3社長)を逮捕して20日間の拘留期限ギリギリに起訴する時に同時に刑事告発するものです。拘留期限内の取り調べ内容も加味し、より完璧な(あとからボロが出てこない)刑事告発を行うためですが、だとすると逆算して12月初旬には歴代3社長を逮捕しなければならず、現状ではすでに不可能です。

 もう1つのタイムリミットは、一見何の関係もないように思われますが11月28日に名古屋高等裁判所で、美濃加茂市長・藤井浩人氏の収賄容疑の控訴審判決が言い渡されます。この事件は最初から無理筋のでっち上げ事件とされており、実際に2015年3月5日に名古屋地裁で無罪判決が出ましたが、名古屋地検が即座に控訴していました。

 何でこの判決が東芝の不正会計に関係するのかというと、2014年に藤井浩人氏を無理筋で逮捕した名古屋地検の長谷川充弘検事正(当時、現広島高検検事長)こそ、佐渡氏の後任の証券取引等監視委員会委員長に内定しているからです。

 東芝に関して佐渡委員長は完全に検察庁を敵に回していますが、後任の長谷川氏はもちろん検察庁から新たに委員長に送り込まれるので、東芝でも検察庁の意向に反して(刑事告発に向けて)動くはずがありません。

 そこで11月28日に藤井市長に改めて無罪が言い渡され、さらに起訴した名古屋地検の捜査方法などに裁判官から遺憾の意でも示されてしまうと、起訴した名古屋地検のトップだった長谷川氏の経歴にもキズがつき、すんなりと監視委員会委員長の座に就けなくなる恐れも出てきます。

 しかし日本の裁判所は(とくに高裁のような上級裁判所になればなるほど)その辺を「配慮」するものなので、今度は藤井氏の逆転有罪の可能性まで出てくることになります。有罪とはならなくても名古屋地検に全く非がない内容の判決になるような気がします。

 かくして東芝の不正会計は2つのタイムリミットを無事に通過し、歴代3社長は完全に無罪放免となりそうです。

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コメント
闇株さんのオリンパス本発刊も
年内タイムリミットかな
http://www.asahi.com/articles/ASJCK4HS6JCKUTIL018.html
来週で退任ですね
http://mainichi.jp/articles/20161203/k00/00m/040/148000c
新体制で東芝事件処断決めるんですね

http://www.iza.ne.jp/kiji/economy/news/161204/ecn16120419000002-n1.html
ハコ企業がほぼ壊滅したのは勲章ですね

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