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構造的矛盾をさらに拡大させながら5年目に入るアベノミクス

2016年11月24日

構造的矛盾をさらに拡大させながら5年目に入るアベノミクス


 トランプが新大統領当選となった直後の、金融市場における最初の反応は米国長期金利(長期国債利回り)の上昇でした。米国10年国債利回りは大統領選直前の週末(11月4日)の1.77%から先週末(11月18日)までたった2週間で2.35%まで上昇し、昨日(11月21日)も2.31%となっています。

 この水準は、年間4回(計1%)の利上げが確実視されていた昨年(2015年)12月の水準より高く、英国EU離脱決定直後の本年7月上旬の1.35%から約1%上昇しています。

 とはいっても現時点でトランプの経済政策に期待してすでに長期資金への需要が急増しているわけではなく、市場が近い将来の米国労働者の賃金上昇・物価上昇・株式や不動産など資産価格上昇・FRBによる複数回利上げ・財政赤字拡大による国債需給悪化などを予測する結果であるはずです。

 この米国長期金利の上昇が即座に為替に反応してドル高(それも全通貨に対してのドル高)となっているわけですが、同時並行の米国株上昇はトランプの「米国優先の経済対策」にストレートに反応したもので、まだ金利上昇とドル高による悪影響は出ていません。

 ここで米国以外の各国の金融市場は、目の前の米国株高、長期金利高、ドル高に「それぞれ勝手に反応している」ように見えます。

 すべての新興国はドル高による資金流出を懸念して通貨が下落しており、トルコと南アフリカを除けば株式も下落しています。

 また欧州各国では、それほど極端ではありませんが通貨安(ユーロだけでなくポンドもスイスフランも対ドルで)、株高、長期金利高となっています。

 そして日本では、トランプ当選となった11月9日に日経平均が16251円(終値)、円相場が一時1ドル=101.18円、10年国債利回りがマイナス0.07%だったところから、昨日(11月22日)は日経平均が18162円(11.7%上昇)、円相場が1ドル=111.06円(NY終値、9日高値から9.7%円安、10年国債利回りがプラス0.03%(0.1%上昇)となっています。

 日銀がコントロールしている10年国債利回りの上昇幅を除けば、日経平均は当の米国株より上昇幅が大きく、円相場はトランプに目の敵にされているメキシコ・ペソよりも対ドルで下落しています。

 もちろん米国株高とドル高(必然的に円安)をみて日経平均が上昇しているわけですが、米国株高と米国金利高・ドル高・新興国経済混乱など基本的に相反するものであり、たまたま日本では米国株高とドル高(円安)が同時にきた「いいとこどり」の株高となりました。

 さらにこれもたまたま日銀が「総括検証」で長期金利をコントロールしているので「本来は株式市場にパニック的な悪影響を及ぼす」長期国債利回り急上昇が食い止められている結果の株高でもあります。

 また9月の「総括検証」で日銀が国債買入れに「指値オペ」を導入していたこともラッキーでした。まさかの米国債利回り上昇で11月17日には2年、5年国債の買入れに「初出動」となり、さっそく利回り上昇(といってもマイナス幅が少なくなっただけですが)を食いとめました。

 さらに付け加えれば、大統領選当日まで「トランプなら極端な円高・株安」と喧噪されていたため、トランプ当選発表の直後も含めて日本株ショート、ドルショート(円ロング)ポジションが積みあがっていた反動も大きかったはずです。

 振り返ってみると「たまたまいろいろな条件がすべて重なり」思いがけない円安・株高となったのが、大統領選から昨日までの東京市場だったことになります。

 一度勢いのついた円安・株高は急に止まったり反転したりするとは考えにくいのですが、トランプの経済政策とは「米国優先」であるため日本経済に恩恵が多いとも思えません。

 また株高・円安は大企業には恩恵となりますが、低下を続ける日本の実質賃金が改善するわけではなく、また円安は輸入物価の上昇を通じて実質賃金をさらに押し下げるため、日本経済低迷の最大の要因である消費不況は一向に改善しません。

 結局アベノミクスは、円安・株高と実質賃金低下・消費不況という構造的矛盾をさらに拡大させながら5年目に突入することになりそうです。

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コメント
円安が企業の恩恵になるのは
 もはや日本企業が国内に大した資産を持っていないからではないでしょうか。
 売上も資産も全てドル建てが主なので円安になると見た目の利益が大きくなりますから当然株価は上がります。
輸出自体もさほど延びていません。

歴史的に有名なある企業ではシンガポールに本社移転を計画していました。
日本に企業が存在すること自体がコストなんです。
役所の事務手続きやその他のロスを考えると日本法人であることに嫌気をさす気持ちはわかります。
海外移転したほうが消費の旺盛な他国に売りやすくなりますし末端まで英語が出来る人を揃えられます。それも日本人より安価で有能なのを集められます。
配置換えに応じない人をリストラや出向もしやすいですね。
円と株、最も気がかりなTPP脱退宣言の影響に触れられてないんですが・・
もうはまだ、ですか。マクロ変わる時の相場はでかいからね。
闇株新聞さんへ質問です。

株式報酬型ストックオプションとしての新株予約権の発行について
http://www.iij.ad.jp/ir/news/2016/pdf/160624_SOP_J.pdf
行使価額は1円

これは、総務省のMVNO推進の根回しへの対価のように思えてしまうのですが、金融庁としては問題ないと考えているのでしょうか。

天下り役員は政治的に強い人もいて企業としてはデメリットだけではないでしょうね。
これくらいの対価なら安上がりでしょう。
MVNO推進は一見いいことに見えます。
料金が安くなるからです。

しかし、各キャリアの次世代通信の設備投資も考慮するといかがでしょう。
日本が世界的な開発競争から脱落するかもしれませんね。

通信企業が国内の通信料収入をどのように使うかを規制するのが先決ではないでしょうか。
無駄な付随アプリや海外投資だけが先行しているのを見ると本当に公共企業なのか疑問を呈したい行動ばかりです。
名無し様

この新株予約権は本年6月にインターネットイニシアティブが「そっと」発行していたもので、行使価格は1円となっています。
IRを見る限り、何で有利発行に該当しないのかがよくわかりませんが、単に株式を報酬として「ほぼ」無償で会社が譲渡することになり給与の変形で行使時に課税されるはずです。
この会社の社長は「消費税を5%から引き上げた」元財務事務次官の勝栄二郎氏で、そもそも何でこんな会社に天下ったのかも謎のままです。
ご指摘のMVNO推進とは関係がないと思います。総務省の本音は携帯大手3社の利益を守ることなのでMVNO推進は「格好 」だけです。

闇株新聞編集部
闇株新聞編集部さん

私だったら譲渡後はそのまま行使しません。
証券税制の有利な国に作った法人Aに1円で売却します。会社Aが権利行使をすればいいわけです。
これを脱税かどうかを判断するのは、規定がないため恣意的判断になるでしょうから無名の個人がやったら脱税になるでしょう。大先輩のOBがなさったら恐れ多いですからよほど大ポカしない限り脱税なんていえませんよね。
また、家族や愛人に1円で譲渡してもいいかもしれませんね。
課税を逃れなくても問題のなく利益が出る「1円予約権」でしょうけど、だったら正々堂々と給与で受け取ればよかったと思います。

総務省の本音は、携帯大手3社の利益を守る、というよりは三社ほか新興企業から多くの権益を得る、だと思います。
MVNOはドコモ以外はあまり望んでいませんから残り二社から何らかの陳情が入るでしょう。
財務省OBの天下りも気まぐれのようでいて「ご利用は計画的」なのかもしれません。

大統領選翌日にダウ連動ETFに大量の買物が
日経平均919円安、欧州も下落、ダウ先物夜間取引も300ドルほど下げて居た。

そこから流れを逆転させる為に、ダウ連動ETFを大量買いしたものが居たみたいだけど。
S&P500は変わらず、NASDAQは50ポイントほど下落。
この動きは翌日も続いた。

ダウだけだからダウ連動ETFの大量買いと思える。
誰なんだろう?
株が暴落すると大変困る政府が居ることは居るよね。
IIJとNTT
IIJの主要株主を見てなんとなくわかりました。

要するにキャッシュバックによるシェア獲得をやめさせたい。
ドコモがキャッシュバックを同じくらい配ったら半公営企業がバラマキしてると叩かれますからね。
それによりNTT二軍であるIIJのシェアをある程度増やす。
これなら別会社なので叩かれない。
かつ、なにもしないで思わせぶりで天下る。
決めるのは議員様だから僕らは何もしてません。
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