闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

出光・昭和シェルの資本・業務提携をどう考える?

2016年12月08日

出光・昭和シェルの資本・業務提携をどう考える?


 出光興産の創業家の反対で「にっちもさっちも」行かなくなっている昭和シェルとの経営統合(合併)に、少しだけ動きがあったようです。

 両社は12月6日、経営統合に先行して資本・業務提携に踏み切る方向で調整に入ったと報道されています。お互いに2割程度の株式を持ち合い、製油所や石油精製の物流などの一体運営を始めることにより年間300億円程度の収益改善効果を見込んでいるようで、まず経営統合を既成事実化していく方針に切り替えたようです。

 そもそも出光興産は2015年7月にロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェルの33.24%を1株=1350円(総額1691億円)で買い取る約束をしていますが、公正取引委員会の承認が遅れていることを理由に何度か延期していました。

 しかし本当の理由は、出光興産の創業家代理人である浜田卓二郎弁護士が6月末の株主総会で突然に合併反対を表明し、出光興産のサラリーマン経営陣がモタモタしているうちに出光文化福祉財団と出光美術館の議決権まで抑えられて拒否権が発生する33.92%まで固められてしまい、「にっちもさっちも」行かなくなってしまったからです。

 出光興産の経営は完全に(創業家も含む)株主から任されていると思い込んでいたサラリーマン経営陣に対し、ろくに出社もせず役職すらなかった出光昭介名誉会長の息子の正道氏が突然「社長になりたい」と言い出し、それを(応仁の乱の原因となった日野富子のように)母親が後押しした構図にしか見えませんが、ロイヤル・ダッチ・シェルからの昭和シェル株式買い取りはキャンセルできません。

 昭和シェルの株価は本年1月と8月に837円まで下落していましたが、最近のトランプ効果とOPEC減産合意による原油価格上昇で(別にそれほどの好材料でもありませんが)、本日(12月7日)は1121円まで回復しています。そしてどうも数日中に公正取引委員会の承認が下りそうで、これ以上買い取りは延期できなくなっているようです。

 本誌は出光興産のサラリーマン経営者も、出光創業家も(昭介名誉会長も社長になりたいらしい正道氏も)支持できませんが、少なくともこの「にっちもさっちも」行かない状況は出光興産・昭和シェル双方の株主の利益になりません。

 そこでとりあえず冒頭の資本・業務提携が出てきたようですが、ちょっと考えただけでも問題点があります。

 まず経営統合(合併)は両社の株主総会における特別決議(出席者の3分の2以上の賛成)が必要で、このままでは出光興産が決議できません。ところが資本・業務提携なら(発行される株式がとくに有利な発行価格でなければ)取締役会で決議できます。
 
 ただ出光興産はロイヤル・ダッチ・シェルから昭和シェルの33.24%を買い入れるため、このままだと会社法の規定で仮に昭和シェルが出光興産の株式を2割程度取得しても議決権がありません。

 そこで出光興産は昭和シェルの33.24%を取得すると、そこから8%以上を信託銀行に預託して出光興産の議決権を25%未満に抑えて、会社法の規定を逃れようと考えているようです。しかし会社法の趣旨は単に名義が違っていればいいというものではないはずで、かなり都合よく考えています。

 その前に昭和シェルが保有する2割程度の出光興産株はどこから出てくるのでしょう?創業家を除く株主からTOBで買い集めるか、新株を発行することになります。どちらも(新株発行で特に有利な発行価格でなければ)取締役会で決議できます。

 しかし新株発行なら間違いなく創業家が差し止めるはずです。これは最終的には裁判所の判断となりますが、やってみなければわかりません。つまり少なくとも確実に新株発行ができるわけではありません。

 じゃあTOBならどうか?ですが、出光興産は昭和シェル株式を会社資金で買い入れますが、昭和シェルがTOBで出光興産株式を買い入れてもその資金は出光興産に入らず、財務的には「何のための株式持ち合いか?」となってしまいます。

 さらに仮に将来的に出光興産と昭和シェルが経営統合(合併)できたとすると、出光興産の取得する昭和シェル株式と、昭和シェルが取得する出光興産株式は、文字通り「消えてしまう」ことになり、やっぱり「何のための株式持ち合いだったのか?」となります。

 そもそも家族主義的な出光興産と、長く外資の傘下にいた昭和シェルでは社風が全く違い、当初から経営統合の効果については疑問視されていました。両社の時価総額にもそれほど差がなく、仮に経営統合ができても業務そっちのけで勢力争いが繰り広げられるような気がします。

 そこへさらに屋上屋を重ねるような今回の資本・業務提携となります。いっそのこと経営統合は白紙に戻して、出光興産はロイヤル・ダッチ・シェルから買い入れる昭和シェルの33.24%だけ取得して(逆にもう少し買い増せば拒否権も発生します)、大株主として昭和シェルとの「もっと緊張感のある関係」を模索するべきと考えます。

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:1 | TrackBack:0
関連記事
コメント
映画「海賊と呼ばれた男」今週から公開ですね。
何も知らない人にモデルは出光って言っても誰も信じてくろなさそう(笑)
コメントの投稿
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

06月 | 2017年07月 | 08月
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム