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FRB保有債券の再投資停止とは?

2017年02月08日

FRB保有債券の再投資停止とは?


 1月31日の「降ってわいたような」トランプ大統領の円安誘導批判と、さらに日銀「異次元」量的緩和が円安誘導策であるともとれる発言で、東京市場は円高・株安・長期金利高となりました。

 長期金利(10年国債利回り)だけは、日銀が2月3日の指値オペを含む連日の買入れで何とか落ち着かせました。だいたい本当に景気が上向くのであれば長期金利も自然に上昇するはずで、わざわざ10年国債利回りをゼロ近辺に抑え込む意味もよくわかりません。

 ただ(日本の)国債市場参加者には、現在の日銀「異次元」国債買入れペースは持続不能であり、いずれ買入れの縮小、次いで停止、さらに保有国債の売却となるという「潜在的恐怖心」があります。

 日銀は1月31日現在で415兆円もの国債(短期国債含む)を保有しており、今も年間80兆円のペースで残高を純増させています。少なくとも日本の金融市場はこの状態を「前提」として動いており、これが修正されるとそれなりのショックがあるはずです。

 そこで本日は、今後の日銀の「異次元」量的緩和に少なからず影響を与えるはずであるFRB保有債券の再投資停止についてです。

 FRBはリーマンショック以降、大規模な資産買入れ(QE1~3)を断続的に繰り返し、総資産を9000億ドルから4.5兆ドルまで膨らませました。新規の買入れは2014年10月に停止していますが、FRBは現在も保有債券が償還されるとその分を新たに買入れ(再投資)しており、残高は維持されたままです。

 直近のFRBは2兆4600億ドルの米国債と1兆7400億ドルのMBS(住宅ローン担保付き債券)を保有しています。とくにMBSは元本の一部が毎月償還されるものが多く、2016年は国債とMBSを合わせて3000億ドル以上が償還され、それぞれ再投資されていました。

 そもそもFRBは資産買入れ終了後の金融政策について、保有国債を市場に売却する前に、それをファイナンスしているFRB Reserve Balances(日銀当座預金に相当、直近残高が2兆1700億ドル)の支払金利を引き上げると「明確に」公表しています。

 このFRB Reserve Balancesの支払金利は、政策金利であるFF金利翌日物の上限金利(買入れ終了時は0.25%、現在は0.75%)が適用されており、実はこれがFRBの利上げする「最大の根拠」です。

 つまり米国景気が本当に上向き資金需要が拡大すると、市中銀行はFRBに預けたままのReserve Balancesを取り崩して対応するため、FRBは巨額の保有債券をファイナンスできなくなり売却する必要が出てきます。

 そうなるとさすがに米国債券市場が混乱するため、Reserve Balancesの支払金利を引き上げて(つまりFRBが利上げして)対応することになります。つまりFRBは保有債券の残高を維持しながら(するために)利上げを行うと明確に公表し、米国債券市場のパニックを防いでいるわけです。

 ところがトランプ効果で米国景気が上向く期待が出てきたため、1月20日にフィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁が「政策金利が1.0%に達した時点で(FRBの保有債券償還分の)再投資停止を検討する必要がある」と述べました。ここでいう政策金利はFF翌日物の下限金利としてもあと2回の利上げ後となり、年内中の可能性が強くなります。

 つまりFRBは、あと2回利上げした後は「FRBの保有債券縮小と利上げを並行する」との明確なメッセージを「時間的余裕をもって」市場に送ったことになります。とくにFRBの保有債券は来年(2018年)から償還が多くなるため、年間で数千億ドルも保有債券が減少する(FRBの新規買入れが市場から消滅する)ことになります。

 現在のFRB保有債券の平均利回りは3%近く、2016年はReserve Balancesの利息支払い(年末の利上げまでは0.5%だった)を差し引いても1171億ドル(13兆円)もの利鞘収入を国庫納付しています。FRBの資産買入れと残高維持には財政負担の軽減という明確な意義もあります。

 翻って日銀は、いまも「異次元」国債買入れを継続しているだけでなく、昨年9月から「もっと意味のわからない」10年国債利回りのゼロ近辺での釘づけが加わり、将来の買入れペースや市場参加者の最大の懸念である保有国債の売却(出口戦略)などについて一切明確なメッセージを送らず、財政的にも2016年度の国庫納付が3905億円しかありません。
 
 だからトランプの円安誘導批判に「おたおたする」ことになり、年内に始まるであろうFRBの再投資停止に「もっとおたおたする」ことになり、せっかく「イベント」に対して耐性が備わってきた日本株にも悪影響が及ぶかもしれません。

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コメント
はじめまして。最近マメに読ませて頂いております。
ここで、是非質問させて下さい。

日本政府のQQEはやがて国債暴落を引き起こし、ハイパーインフレになるという方が日本の財政学者をはじめとして多いですが、はたして本当なのでしょうか?

>ただ(日本の)国債市場参加者には、現在の日銀「異次元」国債買入れペースは持続不能であり、いずれ買入れの縮小、次いで停止、さらに保有国債の売却となるという「潜在的恐怖心」があります。

を読むとそのことを思い出します。

一方では上念司氏や高橋洋一氏、あるいは三橋貴明氏を中心に、そうではない、日銀の緩和とは財政ファイナンスが間接的な形でされているものであり、日本政府は財政再建が毎年40兆円くらいのペースで進んでいるという派がいて、全くわけが分からないのですが。

ゼロ金利政策では、残存期間が8年以下の国債について額面を上回る値段で金融機関が買い、それを日銀がさらに高い値で買い上げているので、金融機関は儲かるが、満期になると保有する日銀は大損を積み重ねて日銀が債務超過になるという方もいらっしゃいますが、それも本当なのでしょうか?

またこの記事と関連していることですが、消費者物価指数コアCPIが年2%上昇になってインフレが進み始めると、日銀の当座預金の付利も2%位に引き上げるか、そのような付利によって日銀が債務超過に陥るのを防ぐために国債を市場に大量に売却せざるを得なくなり、それが国際価格の暴落とさらなる金利上昇を招いて財政破産(デフォルト)に至るのは間違いないのでしょうか?
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