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カルロス・ゴーンが日産自動車CEOを退任する意味

2017年03月03日

カルロス・ゴーンが日産自動車CEOを退任する意味


 本誌がいつも「ルノーに食い尽くされている」と書く日産自動車ですが、2月23日の午前8時に突然カルロス・ゴーン氏が社長とCEOを退任して代表取締役会長となり、西川廣人(さいかわひろと)氏が4月1日付けで代表取締役社長・単独CEOになるとの「そっけないIR」が出されました。

 西川氏は2016年11月に共同CEOとなっていましたが、IRから一週間たつものの記者会見も行われていません。

 そうはいってもゴーン氏は親会社・ルノーのCEOであり、引き続きグループを引っ張ることは変わりません。また日産自動車は2016年10月に2373億円を出資して三菱自動車の34%を取得し支配下に入れており、ゴーン氏はその三菱自動車の代表取締役会長も兼ねています(CEOは益子修氏)。

 ゴーン氏は「三菱自動車の再建などにもっと力を割かなければならない」さらに「今こそ西川氏にCEOを引き継ぐタイミングであると判断した」とだけ話しています。

 ゴーン氏といえば2013年8月にルノーでNo.2だったタバレスCOOを「自分の地位を狙っている」との奇怪な理由で解任しています。タバレス氏は直後にライバルのプジョー・シトロエングループ(PSA)CEOにスカウトされています。

 また日産自動車が2014年3月期に大幅減益となり円安で潤う日本の自動車会社で「一人負け」となったときも、名目No.2の志賀COOと実質No.2のドッジ副社長を閑職に追いやり、西川氏を含む3人にCOO職を分担させたものの、自らは何の責任も取らずに居座っていました。

 ゴーン氏は「権限はすべて抱え込み絶対に手放さないタイプ」のようで、これはレバノン系ブラジル人でありフランスでは決してエリート(特権階級)ではないゴーン氏の処世術であるはずです。そう考えると今回の退任は、実質的な権力構造は変わらないとは言え、やはり違和感があります。

 ゴーン氏にとって最優先課題とは、ルノーCEOとして実績を上げてフランス社会での評価を上げることであり、日産自動車や三菱自動車を「超一流」に仕上げてもほとんど意味がありません。

 そこで本誌がいつも書くように「日産自動車をせっせと食い尽くし、そのうち残骸だけにしてしまう」となるわけです。

 ルノーは1999年3月に日産自動車の第三者割当増資を14.64億株、2002年3月にワラント行使で5.4億株を、それぞれ1株=400円で引き受け、合わせて8016億円で日産自動車の44.4%を取得して支配下に入れました(現在の持ち株は43.4%)。

 ここでルノーが出資した8016億円は、その後の配当とワラント行使に合わせてルノーの15%を2470億円で取得させたため(議決権なし)、もうすっかり回収しています。さらに日産自動車は、本来はルノーが投資すべきタンジール工場(モロッコ)の建設費やアフトワズ(ロシア)への出資金の大半を負担し、ルノーに生産ラインや開発チームを提供し、国内資産を極限まで売却させられています。

 先ほどのゴーン氏の発言も「これからは三菱自動車を本格的に食い尽くすために力を割く」、日産自動車は「もうあらかた食いつくしてしまった」あるいは「これからは西川氏に任せておけば引き続き食い尽くしてくれる」という意味にとれます。西川氏はその忠誠心でゴーン氏に引き上げられたはずだからです。

 さて西川体制となる日産自動車の今後は、以前よりゴーン氏の経営陣に対するプレッシャーが少なくなるはずで、経営の緩みは避けられないはずです。

 それより最大の懸念は大統領選挙を控えたフランス政府の(ルノーを通じた)日産自動車への支配強化(子会社化)が再燃することです。前回(2015年)は日産自動車CEOも兼ねるゴーン氏が逆に抵抗した形となって、日産自動車が「日本の会社でなくなる」事態は回避されました。

 フランス次期大統領は、極右のルペンか、2015年に日産自動車への支配強化(子会社化)を主導した張本人であるマクロンの「どちらか」と考えます。

 つまりルペンかマクロン大統領、フランスでの評価を上げたいルノーのゴーンCEO、そのルノーとゴーンCEOに忠誠心を示す日産自動車の西川CEOの組み合わせでは、次に日産自動車への支配強化(子会社化)が出てくると今度は回避できないような気がします。

 そんな予感がする今回の日産自動車のゴーンCEO退任でした。


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コメント
森友学園のニュースについてもぜひ記事をお願いします。
カルロス ゴーンの退任は違和感を感じてましたので得心がいきました。
 いくら他のメーカーを食い尽くしても本体がね。
日産にしろ三菱にしろ、もう既に日本企業ではないから
どうでもいい。所詮外資の目的は企業を育てるのではなく、食い潰すのが目的。SHARPもSANYOも所詮共産中国の企業で技術だけが欲しいだけ。もう日本人も目が覚めただろう。外資は日本企業を食い潰そうと虎視眈々と狙っている。次は東芝かな?トランプ大統領だったら絶対許さないだろうなあ。
日産がルノーに食い潰すだのどうだの、それがどうしたと言うんでしょうね?リバイバルプラン当時にルノーに救済された恩を忘れたんでしょうか?見捨てても良かったんですからね。



誰もママゴトをしているんじゃないんです。世間では鴻海がシャープを買収したことについてもとやかく言ってるわけですが、鴻海もNPOではなく営利団体なんです。シャープを見捨てても誰も咎めることが出来ないんですよ。



ビジネスの場で何を言ってるんでしょうね。(笑)
ゴーンがいようがいまいが、日産はこれから成長しますよ。もちろん、ゴーン氏のおかげ、ゴーン氏の敷いた路線のおかげでそうなっていくのですが。

個人としてどんな人であったにせよ、仕事の鬼、よき経営者だったことには変わりませんね。

退任した後も、自分が居た企業を成長させ続ける人物こそ、優れた経営者です。
感動
 現在の機械工学における構造材料の耐久性に対する主な問題点は強度ではなく、摩擦にある。島根大学の客員教授である久保田邦親博士らが境界潤滑(機械工学における摩擦の中心的モード)の原理をついに解明。名称は炭素結晶の競合モデル/CCSCモデル「通称、ナノダイヤモンド理論」は開発合金Xの高面圧摺動特性を説明できるだけでなく、その他の境界潤滑現象にかかわる広い説明が可能な本質的理論で、更なる機械の高性能化に展望が開かれたとする識者もある。幅広い分野に応用でき今後48Vハイブリッドエンジンのコンパクト化(ピストンピンなど)の開発指針となってゆくことも期待されている。
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