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実は日銀の量的緩和はすでに縮小し始めている

2017年04月12日

実は日銀の量的緩和はすでに縮小し始めている


 FRBはリーマンショック直後の2008年11月から2014年10月まで断続的に米国債とMBS(住宅ローン担保付き証券)を買い入れ、総資産を9000億ドルから4.5兆ドルまで5倍に拡大させました。いわゆる量的緩和です。

 FRBは2014年10月に新たな買入れを停止した後も、保有債券が償還になるとそっくり再投資しているため、現在も総資産は4.5兆ドルに維持されています。その再投資を「年内にも」停止し、利上げと並行して保有資産の縮小に踏み切るようです。

 ここでFRBは米国経済や金融市場に与える影響を和らげるため、利上げも保有資産の縮小も「十分に」時間的余裕をもって市場に認識させ、またそうする根拠も「十分すぎるほど」市場に向けて発信しています。

 翻って日銀では、白川・前総裁の時代から償還期限の短い国債を中心に買い入れる量的緩和は行っていましたが、黒田総裁となった直後の2013年4月から「異次元」量的緩和に踏み切り、2014年10月にさらに量的緩和を追加して現在に至ります。

 日銀の総資産は、「異次元」量的緩和に踏み切る直前の2013年3月末の164兆円から、2017年3月末の490兆円まで、4年間で3倍になりました。保有国債でみると2013年3月末の125兆円から2017年3月末に417兆円と、4年間で3.3倍になっています。

 現在の日銀は保有国債を年間80兆円増加させることを「目標」としていますが(2014年10月までは50~60兆円増加)、これは短期国債を除いた国債保有残高のことです。

 この短期国債を除いた国債保有残高の推移を見ると、2013年3月末が91兆円、2014年3月末が154兆円(前年比63兆円増加)、2015年3月末が220兆円(同66兆円増加)、2016年3月末が302兆円(同82兆円増加)、2017年3月末が377兆円(同75兆円増加)となっており、概ね「目標」に沿って増加しています。

 黒田総裁は就任以来「2%の物価上昇」が実現するまで「異次元」量的緩和を継続すると何度も繰り返しています。現在の物価上昇は生鮮野菜を除く消費者物価指数の前年比であるなら、本年1月に久々のプラスとなりましたが2月も0.2%上昇でしかありません。

 さらに黒田総裁は最近、2%の物価上昇が「安定的に実現するまで」と言い始めており、仮に上昇率が2%に届いてもしばらくは「異次元」量的緩和を継続することを意味します。つまり日銀は当分の間、現在の量的緩和を縮小するはずがないと考えてしまいます。

 ところが黒田総裁はそう言っていますが、実は日銀はすでに国債買入れを(量的緩和を)縮小し始めています。

 日銀の保有国債には償還があるため、追加量的緩和となってから保有残高を年間80兆円増加させるためには年間110~120兆円(月間9~10兆円)の国債を買い入れる必要があります。2016年8月までは月間10兆円近い国債を毎月買い入れていました。

 ところが直近の買入れペースが続くと、新年度入りした4月の買入れは8兆3000億円ほどにしかなりません。保有国債の償還額が正確に分かりませんが、たぶんこのペースが続けば今年度の日銀保有国債は60~65兆円くらいしか増えないはずです。

 つまり日銀はすでに(FRBより早く)量的緩和の縮小に踏み切っていることになります。

 そのからくりは2016年9月に導入されたイールドカーブコントロールです。日銀は10年国債利回りをゼロ近辺に「釘付け」して、その10年国債利回りを基準に国債イールドカーブを全体的に「上がりもせず下がりもせず」コントロールすることにしています。

 日本経済はトランプ効果もなく低迷が続くため国債利回りが全体的に上昇するはずがないので、イールドカーブを「上がりもせず下がりもせず」全体的にコントロールすると、結果的には国債買入れが減額することになります。

 3月28日付け「どうなる黒田日銀総裁?」にも書いたように、日銀内では金融政策の主導権が2016年9月にリフレ派から日銀主流派に移っており、そこからは「根拠不明だけでなく将来の評価損などの弊害しかない量的緩和などさっさとやめてしまうべき」と考えているはずです。

 しかしいっぺんに量的緩和を縮小してしまうと市場へのショックもあるため、わざわざイールドカーブコントロールという「もっとわかりにくい理屈」を考え出し、ともかく量的緩和を「そろり」と縮小させようとしていると考えます。

 本誌も以前から量的緩和は即刻大幅減額するべきと主張しているため、それはそれで好ましいとは考えますが、それなら「量的緩和は何の効果もないため縮小します」とはっきり公表するべきです。

 そこだけはFRBの市場との「十分すぎるほどの対話」は見習うべきで、日銀主流派のエリートが「日銀は金融市場をすべてうまくコントロールできるから市場は黙って従っていればよい」と考えているなら、近い将来に市場が大きく混乱するような気がします。

 円安=株高の唯一の根拠である日銀の量的緩和が十分な説明もなく「いつのまにか縮小していました」では、市場が混乱しないはずがありません。


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コメント
テーパリングの明言など、安倍政権が許すはずがない。そういう政治サイドの意向があるはず。選挙前に自ら年金溶かすようなマネは絶対しないだろうな。
当初、驚異的な規模の緩和で期待に働きかけて、一気にインフレ率を高めようとした。
イールドカーブがフラットになる程まで長期国債を買って。
たしかにインパクトはあり、雇用にも影響した。

しかし議会と政府は金融任せで仕事せず、賃金や物価への明確な波及もないまま今に至り。
日銀はインパクト重視の短期勝負(長期国債の過剰な買い入れ)を止め、持久戦へ切り替えた。

・・・というように見えていますが、そんな単純な話ではないということですか?

それに。議会や政府が、金融政策に呼応していないのが大きいような。

良策かわかりませんが、例えば
・企業の社保負担軽減や、減給、解雇のルール作り
(雇用や昇給のインセンティブになる?)
・育児教育世帯への給付割合増
(限界消費性向が高い層で、将来への投資にもなる?)
・金融経済教育
(金利と金融資産利回りの異様な乖離が多少縮まる?)
・・・といったような。
やっぱり今年はバブル元年ですね
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