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富士フイルムでも「不適切会計」

2017年06月14日

富士フイルムでも「不適切会計」


 富士フイルムホールディングス(以下、富士フイルム)は6月12日、連結子会社である富士ゼロックスの販売子会社における不適切な会計処理により2010年度から2015年度までの損失額が累計375億円になると発表するとともに、遅延していた2017年3月期の決算短信を発表しました。

 富士フイルムは4月20日に、富士ゼロックスのニュージーランド販売子会社で過去の不適切な会計処理が見つかり、公認会計士3名からなる第三者委員会を設置して調査するため、2017年3月期の決算短信を1か月延期すると発表していました。

 実際には富士ゼロックスのオーストラリア販売子会社でも不適切な会計処理が見つかり、損失額の累計が当初見込みの220億円から375億円まで拡大したものの、関係がほとんどなかった(とされる)2017年3月期は(あらかじめ)有価証券売却益を計上していたこともあり、従来予想を上回る1315億円の純利益となりました。

 富士ゼロックスは、富士フイルムと米ゼロックス英国法人の合弁会社として1962年に設立されました。1997年に合弁相手の英国法人が米ゼロックス本社の完全子会社となり、さらに2001年にゼロックス本社が経営難から持ち株の半分(25%)を富士フイルムに売却したため、現在は富士フイルムが75%を保有するグループ最大の連結子会社となっています。

 実は富士フイルムは2017年3月期から(実際は2016年6月の定時株主総会で承認されてから)監査法人を「あの」新日本監査法人からあずさ監査法人に変更しています。「あの」新日本監査法人が東芝問題で2015年12月に行政処分を受けたため、監査法人を新日本監査法人から変更した最初の大手企業だったはずです。

 そして交代したあずさ監査法人が「さっそく」本年2月に富士ゼロックスの販売子会社に損失が隠れていると指摘し、親会社である富士フイルムの「事情聴取」では埒が明かなかったため、4月20日に第三者委員会を設置していました。今回はいち早く関係者の処分も発表しています。

 やや「手際が良すぎる」とも感じますが、この第三者委員会には大物検事OBを指定席の委員長に据えずに公認会計士だけで実務的に進めており、最初から政治決着ではなく全貌解明を目的としていたようで好感が持てます。

 あとは6月中に提出済みの2010年3月期~2016年12月期の有価証券報告書および四半期報告書を修正・再提出しなければなりませんが、たぶんこれで「一件落着」のはずです。

 富士フイルムは今回が本誌に初登場であり、それだけ「突っ込みどころのない堅実会社」となりますが、問題はそんな富士フイルムでも海外子会社(正確には孫会社)で不適切な会計処理が長期間にわたって行われており、しかもそれがずっと発見できなかったことです。

 2010年3月期までしか遡っていない理由は、金融商品取引法における時効(7年)が成立しているからですが、たぶんもっと以前から行われていたはずです。

 また公表された「手口」は、事務機のリース契約において本来は毎年の使用量に応じて請求すべきものを契約時にまとめて計上していたというものですが、それだけだとあまりにも「単純」で、それだけで375億円の累計損失になるというのも「不思議」で、たぶん架空売り上げのようなものも含まれていたと感じます。

 富士フイルムはそれも含めて「一気に」決着させてしまったようです。

 しかし日本企業の海外子会社あるいは孫会社の不正による巨額損失は、ちょっと思い出すだけでLIXIL中国子会社・ジョウユウの662億円、KDDIシンガポール子会社の337億円、江守ホールディングス中国子会社の462億円(親会社の江守ホールディングスはこれで破綻)などがあり、しかもその不正の追及がうやむやになっているものばかりです。

 また不正があったとまでは言いませんが、東芝のウェスティングハウスや日本郵政のオーストラリア物流会社なども、親会社のコントロールが効かず巨額減損が発生しています。

 「突っ込みどころのない堅実会社」であるはずの富士フイルムでも、長期にわたって発見できなかった海外子会社(孫会社)の不正は(不適切ではなく不正です)、海外進出が盛んな日本企業のなかにまだゴロゴロあるような気がします。

 身構えておく必要がありそうです。


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コメント
これで日経平均の株価上昇の謎も決着がついたな
これはゼロックス時代の経営難から行われたことなのでしょうか。
それとも富士フイルム時代からはじまった粉飾なのか。
前者ならデューディリジェンスしっかりしていたら防げたはずです。


>事務機のリース契約において本来は毎年の使用量に応じて請求すべきものを契約時にまとめて計上していた

10年契約で一括計上していたら結構な額になります。ところが顧客は保守契約を打ち切り他社に切り替えるかもしれません。また、売れるはずだったトナーその他も他社から買ったほうが安い。

営業サイドからすれば契約年数を長くして計上すれば成績が上がる。
「途中で解約もできますから10年契約にしませんか。」
携帯でよくある、「このオプション入ってください。一ヵ月後ならいつでも解約していいです。」に似ています。中小企業なら計画倒産で融資を引き出すのにも使えるかもしれませんね。

日本国内、官公庁でもこうした手法は行われています。公表した後に事後訂正すればいいのです。一般的に事後訂正は公表しないかこそっと出します。

上場企業だといつか公表しなければならなくなりますが、そのときには主犯はすでに営業成績を残して転職してしまっているでしょう。万一この成果をもとに幹部職になっているんでしたらその人の絡んだ部署を再調査しないと怖いですね。
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