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スプリントが米通信・メディアの再編に組み込まれる?

2017年07月04日

スプリントが米通信・メディアの再編に組み込まれる?


 少し時間が経ってしまいましたが、ソフトバンク傘下の米携帯電話会社・スプリントが米ケーブルテレビ大手のコムキャストとチャーター・コミュニケーションズとの間で、両社のワイヤレス通信サービス拡充に向けた提携交渉に入っていると6月26日付けウォール・ストリート・ジャーナルが報じています。

 全米第4位の米携帯電話会社であるスプリントは、同3位のTモバイルとの経営統合交渉に入っていたはずですが、これを7月末まで中断して、ケーブルテレビ大手2社との独占交渉に入ったようです。

 ソフトバンクも含む関係各社からの発表が一切ないため、これ以上の詳細がわかりません。また日本における報道もソフトバンクが関係しているにしては「あっさり」ですが、直感的に「大きなニュースになる」と感じます。

 というのは米国では通信事業、ケーブルテレビ事業、テレビ・映画を含む総合メディア事業が、それぞれの中で再編を繰り返して巨大な「勝ち組」が出現していますが、そこから垣根を超えた再編によってさらに巨大な「勝ち組」が誕生していくはずです。それにソフトバンク傘下のスプリントが組み込まれる可能性もあるからです。

 これらの再編を認可する米連邦通信委員会(FCC)は、これまでは大変に保守的で、いくつもの大型合併を認可せず破談に追い込んでいました。しかしトランプ政権となって規制緩和派のタジット・パイ委員長が就任し、大型再編が加速すると期待されています。一旦は認可が見送られたスプリントとTモバイルの経営統合も、これを受けて交渉が再開されていました。

 米国の携帯電話を含む通信事業の「勝ち組」は、すでにAT&T(直近の時価総額が2326億ドル=26兆円、携帯電話加入者が1億4400万人)と、ベライゾン(同1832億ドル=20.5兆円、同1億3300万人)の2社に絞られています。

 携帯電話事業ではこの2社に続き、3位がドイツテレコム傘下のTモバイル(直近の時価総額が503億ドル=5.6兆円、加入者が6900万人)、4位がスプリント(同330億ドル=3.7兆円、同5900万人)となります。

 仮にこの3、4位の2社が経営統合すると、確かに規模だけは「勝ち組」2社に肉薄しますが、現状はどう見てもイニシアティブがTモバイルにあります。2013年にスプリント(当時はスプリント・ネクステル)の78%を216億ドルで買収したソフトバンクは、コストを上回って売却できる可能性がある程度の話です。

 またケーブルテレビ事業における「勝ち組」は、今回でてきたコムキャストとチャーター・コミュニケーションズの2社に絞られています。

 このコムキャスト(直近の時価総額が1848億ドル=20.7兆円、加入が2700万世帯)は、全米3大テレビ局のNBC、大手映画会社のユニバーサル・スタジオを傘下に収め、すでに総合メディア事業としても「勝ち組」となっています。2015年9月と2017年2月にユニバーサル・スタジオ・ジャパンの運営会社を合計4300億円でゴールドマン・サックスから完全買収しています。

 またチャーター・コミュニケーションズは2015年6月に当時全米2位のタイムワーナー・ケーブルを負債込み787億ドルで買収しており(これはオバマ政権下の2016年5月に当時のFCCが認可しています)、加入が2390万世帯とトップのコムキャストに肉薄しています。

 ここで総合メディア事業でも「勝ち組」のコムキャストは、すでにベライゾンのインフラを利用したワイヤレスサービス計画を公表していますが、今回はさらにライバルのチャーター・コミュニケーションズと共同で、より好条件を求めてスプリントのインフラを利用する提携交渉を始めたことになります。

 今回の提携の中にはコムキャストとチャーター・コミュニケーションズによるスプリント株式取得の予備的交渉も含まれているようです。またソフトバンクとしても、同業のTモバイルよりは総合メディアの「勝ち組」でもあるコムキャストと組んだ方が、いろいろな意味で発展性があるはずです。

 ちなみにコムキャストと並ぶ総合メディア事業の「勝ち組」は、傘下にABCやESPN、それに同名の大手映画会社を抱えるウォルト・ディズニー(直近の時価総額が1698億ドル=19兆円)、それにルパート・マードック率いるニューズ・コーポレーション、タイム・ワーナー、バイアコムと続きます。

 ところが米大統領選直前の2016年10月に、通信事業の「勝ち組」であるAT&Tが総合メディア事業のタイム・ワーナーを854億ドルで買収すると発表していました。いよいよ垣根を超えた大型再編となったわけですが、当時のFCCでは認可されるはずがないと考えられていました。

 それがトランプ政権となりFCC委員長も規制緩和派となったため、一転して認可の可能性がでてきたはずですが、不思議なことにトランプ大統領はこの買収に反対しています。トランプ大統領が目の敵にしているCNNがタイム・ワーナー傘下であることもその理由かもしれません。

 またもう1つの通信事業の「勝ち組」であるベライゾンは先日、米ヤフーのインターネット事業を「格安の」45億ドルで買収しています。

 いずれにしても米国の通信とメディアを含めた再編は、AT&T、ベライゾン、コムキャスト、ウォルト・ディズニーの「新4強」を中心に最終段階に入っていくはずで、そこにソフトバンク傘下のスプリントが組み込まれれば(もちろん飲み込まれることになりますが)その意味は決して小さくないはずです。

 ソフトバンクに対しては何かと批判的な本誌ですが、このニュースだけは少し期待して成り行きを見守ることにします。つい長文になってしまいました。


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