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出光興産が公募増資発表 創業家の差し止めに対する裁判所の判断は?

2017年07月05日

出光興産が公募増資発表 創業家の差し止めに対する裁判所の判断は?


 昭和シェル石油との合併に反対する創業家に対抗するために、出光興産が7月3日の取締役会で4800万株の公募増資を決定し発表しました。現在の発行済み株数の1億6000万株に対して30%の新株発行となります。

 そもそも6月29日に開催された定時株主総会では「おくび」にも出していなかった公募増資を強行する出光興産の目的は、現時点で拒否権が発生する33.92%を確保している創業家の議決権を「薄めてしまう」ためであることは明白で、創業家の代理人弁護士は早くも発行差し止めの仮処分を裁判所に請求すると発言しています。

 本日は、どちらの主張に大義名分があるかではなく(どちらにもありません)、この発行差し止めを巡る裁判所判断のポイントについてです。担当は東京地方裁判所民事部でも大型案件を扱う(したがって保守的な判断を下す傾向のある)民事第8部となるはずです。

 まず今回発表された4800万株の公募増資の内訳は、大和証券とJPモルガン証券が共同主幹事となる国内募集分が3360万株、Daiwa、JP Morgan、Goldman Sachsの各欧州法人が共同主幹事となる海外募集分が1440万株(全体の30%)となっています。

 この海外募集分は「ほぼそっくり」貸株とセットにヘッジファンドが売り叩いた後のショートカバーに充当されます。さっそく本日(7月4日)から活発な売り叩きが始まっており、終値は364円安の2896円(本年最安値)、出来高も738万株(前日は43万株)と急増していますが、まだまだ続くはずです。海外募集分は1440万株もあるからです。

 ここは裁判所の判断には全く関係ありませんが、もし差し止められたならヘッジファンドは大慌てとなるはずです。

 それから払込日が7月20~26日の「いずれかの日」となっていますが、たぶん初日の7月20日となるはずです。つまり裁判所はその前日の7月19日までに判断する必要がありますが、東京地方裁判所の判断がどちらでも必ず東京高等裁判所に移されるため、東京地方裁判所は遅くとも7月11~12日頃までに判断する必要があります。

 これも裁判所の判断には関係ありませんが、公募価格決定が払込日の5営業日前となっているため7月12日となるはずで、そこに向かってヘッジファンドの売り叩きが加速することになります。

 さて会社法では株式発行が「著しく不公正」であれば株主は発行差し止めを請求できるとしか規定されていません。差し止めは6か月以上保有する株主であれば、保有株数に関わらず誰でも請求できます。

 それではこの「著しく不公正」とはどういう意味なのか?ですが、その中には「経営権を巡る争いを有利にするため」が含まれていると解釈されています。

 しかし当然に出光興産は公募増資のIRでは、設備投資や借入金返済のためと強調しており、本音である「合併に反対する創業家の議決権を薄めるため」とは書いていません。だいたい事業会社である以上、常に資金需要があるはずで、そのままではなかなか差し止まらないことになります。

 2005年3月に、ニッポン放送がフジテレビジョンに割り当てた新株予約権に対し、ライブイドアの差し止め請求が認められたことがあります。しかしこれはあまりにも素人のような買収防衛策だったからで、もう少し資金需要を強調して「うまくやっておけば」差し止まらなかったはずです。

 だいたい裁判所は、余程のことがない限り会社側が正しく、外部からその会社を攻撃する勢力は「けしからん」と判断するもので、今回の創業家も「けしからん」となる可能性がやや強いと感じます。これは会社側には一般株主を含め大多数の株主の利益を守る義務があり、創業家といっても一部株主の利益だけを優先することはできないという大前提があるからです。

 ここで本誌の経験から、裁判所の判断に影響を与える要素が2つあると考えます。その1つは会社側と外部勢力(ここでは創業家)を巡る社会的風評、つまり世論がどちらの見方なのかを裁判所は意外に気にすると考えます。ここはどちらが有利かはわかりません。

 もう1つは代理人弁護士の「格」です。「能力」ではなく一般的に認識されている「格」のことです。だいたい差し止め請求などはどちらも主張するポイントはほとんど決まっており、それを提出文書にまとめる能力も、それほど差が出るものではありません。そうなると最終的にはそれぞれの代理人弁護士の「格」で決まることになります。

 本年に入って創業家は浜田卓二郎弁護士を解任しており、無名の弁護士が後任となっています。別に浜田弁護士の見識が優れていたという意味ではなく、この交代は創業家に不利となります。

 以上から出光興産の公募増資は「差し止まらない」と予想します。


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コメント
>差し止めは6か月以上保有する株主であれば、保有株数に関わらず誰でも請求できます。

>もう1つは代理人弁護士の「格」です。
出光に投資している機関投資家が「格」のある弁護士を伴って集団訴訟になれば話は変わりそうですね。

個人からの請求がちらほら出てくれば裁判所も困るかもしれません。
海賊とよばれた男がレンタル開始されたので早速見ました
石油メジャーと戦ってましたが今は国際金融マフィアでしょうか
創業者は尖っていても代が変わると丸くなったりして
どこかに足元をすくわれるとか色々な企業でよく見ます。
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