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ビットコインの分裂騒動でわかってきたこと

2017年08月08日

ビットコインの分裂騒動でわかってきたこと


 8月1日にビットコインが「分裂」し、ビットコイン・キャッシュなる仮想通貨が新たに出現しました。

 ここにきてビットコインの取り引き(決済・交換・送金など)が増加したため、それらをブロックチェーン(分散台帳)に記録する作業が滞るようになり、その対策を巡って「コアの開発者」と作業を行う一部の「採掘業者」との間で対立が起こっていました。

 結局のところ一部の「採掘業者」が独自の方法でブロックチェーンに記録することになったため、ビットコインが「分裂」することになりました。

 分裂直前のビットコイン価格は3000ドルくらいでしたが、それが分裂と同時に2700ドルとなり、新たに出現したビットコイン・キャッシュが300ドルほどで取り引きが開始されたため、そのあたりまでは理論通りでした。ほとんどの取引所がビットコインの所有者に対して同数のビットコイン・キャッシュを割り当てていたため、価値も「分裂」したことになるからです。

 その後すぐにビットコイン・キャッシュは700ドル近くまで上昇しましたが、実際はビットコイン・キャッシュの方が取り引きの記録に時間がかかったこともあり取り引きが膨らまず、現時点(日本時間8月7日午後9時)では260ドルとなっています。

 ところがビットコインの方は、「分裂」による大きな混乱がなかったことからか同時点で3400ドルと史上最高値を更新しています。さらにビットコイン・キャッシュの価値を「分裂」させているため、分裂以前に換算すると3600ドルをこえていることになります。

 またイーサリアムなどほかの仮想通貨も軒並み上昇しており、同時点における仮想通貨全体の時価総額は1170億ドル(12.8兆円)と、これも過去最高となっています。

 株式市場でも株式分割が行われると(本来の株式価値が変わらないにもかかわらず)時価総額が急増することがあり、また仮想通貨全体の時価総額が1170億ドルになったといってもアマゾンの年初からの時価総額増加額と同じくらいで(しかもアマゾンのPERは250倍もあるため)、別にそれほどおかしくはないだろう?と思われるかもしれません。

 しかしこれは根本的に違うと感じます。

 だいたいビットコインの取り引きが増加したといっても、せいぜい1日当たり25万件くらいだそうで、実社会における資金取引件数に比べれば「ほとんどゼロ」のようなものです。つまりビットコインにしても他の仮想通貨にしても「決済手段として作り出されたものではない」ことになります。

 またビットコインには政府や中央銀行のような管理者がおらず、また規制当局もない「自由な通貨」とされていますが、今回のビットコインの分裂騒動で、はっきりとビットコインには「コアの管理者」がいて、その方向付けを行い、本来は政府に帰属する通貨発行益を独占していることもわかりました。

 これら「コアの管理者」とは、おそらくもともとはタダみたいなものだったビットコインを大量に確保したまま、その価値がさらに拡大するように工夫を凝らしているはずです。もともとタダみたいなコストなので、何をやってもリスクにはならず「やりたい放題」となります。

 そこへ実社会から「カモ」が法定通貨(ドルとか円とか)をどんどん持ち込んでくるため、ますます「コアの管理者」の保有する価値が膨れ上がることになります。つまりビットコインをはじめ仮想通貨の世界では、実社会をはるかに凌ぐ「富の偏在化」と「カモからの利益収奪構造」がすでに出来上がっていることになります。

 しかもビットコインだけでなく、(コアの管理者が重なっているかもしれませんが)ほかの仮想通貨でも同様の構造がどんどん出来上がっています。最近急増しているICO(Initial coin Offering)なども、その過程で作り出された「新たな収奪手段」となります。

 さらに厄介なことは本年4月から日本の金融庁が仮想通貨取引所を登録制とし、7月から日本の税当局が消費税の対象から外し(つまりモノではなく通貨と認めた)、日本全体として仮想通貨に「お墨付き」を与えた印象となっていることです。

 つまり日本は国を挙げて「どこの誰だかわからない仮想通貨のコアの管理者グループに日本の通貨発行益の一部を無償で提供している」ことになります。

 「いくら何でも言いすぎだ」とご批判を浴びると思いますが、これが仮想通貨に対してずっと感じてきた「言いようのない違和感」の正体であるはずです。その将来図はまだ想像がつきません。


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コメント
>つまり日本は国を挙げて「どこの誰だかわからない仮想通貨のコアの管理者グループに日本の通貨発行益の一部を無償で提供している」ことになります。

>「いくら何でも言いすぎだ」とご批判を浴びると思いますが、これが仮想通貨に対してずっと感じてきた「言いようのない違和感」の正体であるはずです。その将来図はまだ想像がつきません。

言い過ぎではありません。闇株新聞さんのおっしゃるととりで、本来なら公共財であるべき通貨を、匿名の集団が好き勝手に流布しています。

現在のBitcoinのラリーには永続性がないはずです。仮想通貨の創案と流布というビジネスが儲かる限り、それを模倣する人々が必ず出てくるからです。才能ある人々が、Bitcoinの採掘よりも、新しい仮想通貨の設定のほうが儲かると気づき、実行しはじめたときに、Bitcoinは終焉していくのでしょう。

キャリア官僚
本文趣旨のとおりだと思います。ビットコインと書くと、さも未来の通貨のように感じますが、実態は経済破綻した後進国の通貨だと思います。信用力の担保がありません。日本のキャリア官僚はなんて馬鹿なのか?金融庁のしたことは、将来、海外投資家からの訴訟リスクを招いたと思います。
昔、ビックリマンシールが流行した時に
ヘッド、天使、お守り、悪魔で交換枚数のレートが決められていて勝手に盛り上がってたようなものかな
流行に便乗してラーメンバーとか他にもシールが登場したらやがて廃れていった
ビットコインを発明したナカモトサトシ氏はビットコインは重要な変更はマイナー(取引台帳を保全し報酬としてビットコインをもらう人)の多数決で決定すると設計したので「コア開発者が好き勝手」することはできません。逆にマイナー側もコア開発者の同意がないと設計変更できませんのでマイナーの好き勝手にもできません。そこが傍目からみると「いつもビットコインが揉めている」風に見えてしまうのですが、識者に言わすとこれが「ビットコインの健全性」なんだそうです。民主主義はなかなか物事が決まらなくて中国ではズバズバ物事が決まっていくのと似ています。
ビットコインコア開発者はタダみたいな時からたっぷり保有している者もいれば、まったく持っていなくビットコインの理念(だれにも好き勝手できない独立的で自律的な通貨)に共鳴しボランティアで開発に協力している人たちも多数いるので「悪の結社」のような存在ではありません。
常にオープンな場でビットコインの信頼性を高める開発をしてくれるからこそビットコインの時価総額がうなぎのぼりあがっています。(今回の上昇は大きなトラブルを乗り切ったからですがトラブルはこれからも多数起こる予定です)
ただしICO(Initial coin Offering)に関して「収奪手段」であることは私は100%同意します。融資ならば利息を乗せて返し、出資のならば返済はないが永遠に配当と経営への口出しを要求されるなど本来はギブアンドテイクで成り立つ商取引がICOはあまりにも事業者側に有利に出来すぎています。根拠のない値上がり益を狙ってICOにこぞって申し込む人たちもどうかと思いますが・・・(いつかICOの問題点について記事を書いてください)
アメリカやシンガポールではICOの規制の動きが出ていますが日本では何の規制もなくICO市場が近々開設されようとしており、ネットではアフィリエイト目的の提灯記事であふれています。こういううさんくさいICOにより仮想通貨全体がうさんくさいものだと思われることを心配しています。

「言いようのない違和感」に関しては無理に理解する必要はないと思います。私の知人はネットで買えば半額なのに「ネットは信用できない」と実店舗でしか商品を買いませんし、バフェットもグーグル、アマゾンは「理解できない」といって手を出しませんでした。そういう私も(アマゾンは開設時から愛用し仮想通貨の将来も買っていますが、)最近こどもたちを夢中にさせている「ユーチューバー」なる人たちはまったく理解できません。私が見てまったく面白くない動画なのにこどもたちを夢中にさせ、年収数億円稼いでいることは「言いようのない違和感」しか感じません。
ただ自分が理解できないものを叩くという行為は自分の恥をさらしていることと同じなので控えめのほうがいいかもしれません。私も今おもいっきりICOについて叩きましたが・・・
ビットコインに限らず、仮想通貨全般に言えることですが、グローバルな低金利環境で起きた泡沫バブル現象に過ぎません。今後、米ドルやその他の主要通貨の金利が上昇していけば、仮想通貨を保有している意味など全く無くなります。

まず通貨というものは、価値基準尺度および決済手段であると同時に、価値の貯蔵手段でもあります。価値を貯蔵するということは、通貨に貸借市場が生成されるということであり、金利という概念が生まれるということです。

しかし、ビットコインは匿名の経済主体どうしのやりとりなので、債券市場とは違って発行体や借り手の信用力が見えず、そもそも貸借市場が成立しにくい。よって、仮想通貨では、金利という概念が無いか、あるいは強引に作り上げたとしても成熟しません。よって、仮想通貨を保有しても自然な形では金利収入は得られません。

そもそも金利を稼げない仮想通貨がもてはやされているのは、あまりにも人々が低金利環境に慣れきってしまって、それが永遠に続くかのような錯覚を抱いているからです。

金は金利を稼ぎませんが、金は単なる物的存在で、個人でも法人でもないので絶対に破綻しません。また金はモノ、しかも希少金属なのでインフレには強いはずです。ところが、仮想通貨はどうでしょう。特定の銀行や政府が発行したわけではないので、一見破たんリスクはないように見えますが、今回のビットコイン分裂イベントは、一種の信用リスクの発露ともみなせます。何しろ、元のビットコインは分裂直後にビットコイン・キャッシュの分だけ減価したのですから。ビットコインがもし企業だったとすれば、これは一種の御家騒動による減価と見なせます。さらに、ビットコインをはじめとする仮想通貨はインフレに強いはずがありません。まず、モノとしての物価連動性という特徴がありません。また、いくらクラウドやブロックチェーンだと言っても、これらのテクノロジーのためのコンピューターが消費する電気代、人件費、地代はゼロとは言えません。インフレになれば、これらの管理コストはどんどん上昇していきます。よって、仮想通貨が金に比べてインフレに弱いのは当然で、預金や紙幣よりもインフレに弱い可能性もあります。

よって、仮想通貨は金利上昇にもインフレにも弱い存在だということがわかります。

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