闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

ソフトバンクは大丈夫なのか?

2017年08月09日

ソフトバンクは大丈夫なのか?


 本誌は以前からソフトバンクについて否定的な意見が多すぎるとのご批判がありましたが、ここ2年ほどは否定的な記事をほとんど書いていないはずです。

 むしろ昨年6月の株主総会でアローラ副社長(当時)の首を切ったことや、サウジアラビアのムハンマド副皇太子(当時、現皇太子)を巻き込んで10兆円ファンドをまとめ上げたなどの孫社長の行動力は、素直に賞賛していたはずです。

 そのソフトバンクが8月7日に2017年4~6月期連結決算を発表しました。日本の報道ではその記者会見における孫社長の「スプリントを軸に米携帯再編は合意が近い」との発言をそのまま大きく伝えていますが、実は「その発言」も含めていくつか気になるポイントがあります。

 そこで久々に、日本の報道がほとんど指摘していないソフトバンクの問題点を取り上げ、表題の「ソフトバンクは大丈夫なのか?」との記事となります。

 まず孫社長の「その発言」からですが、これは7月4日付け「スプリントが米通信・メディアの再編に組み込まれる?」で書いたように、最大のポイントはスプリントの通信設備を米通信・メディアの勝ち組であるケーブルテレビ最大手のコムキャストと同2位のチャーター・コミュニケーションズの連合に提供し、スプリントがその大規模な通信・メディア再編の中に組み込まれる可能性か出てきたという「大変に夢のある記事」でした。

 実はその独占交渉期間が7月末までだったはずで、実際にスプリントが(孫社長が)チャーター・コミュニケーションズに買収交渉を持ち掛けた形跡もありましたが、結局のところ何の進展もなく白紙に戻ったようです。つまりスプリントを「高値で売却する」あるいはソフトバンクが米通信・メディア再編に「首を突っ込める」ほとんど唯一の可能性が消えてしまったことになります。

 つまり今回の記者会見で孫社長は、再びTモバイルとの経営統合に話を戻しているだけですが、そもそもスプリントは時価総額も契約者数もTモバイルを大きく下回っており、経営統合のイニシアティブが取れるはずがありません。

 また常にソフトバンクに好意的な日本の報道では、今頃になって何とスプリントが(あるいはソフトバンクが)チャーター・コミュニケーションズを買収する可能性まで記事にしていますが、最初からそんな話ではありません。ただスプリントの2017年4~6月期のセグメント利益が1319億円と、前年同期比2.9倍となり、ソフトバンク全体の収益をけん引するようになっているのは「さすが」です。

 さて順序が逆になりましたが2017年4~6月期におけるソフトバンクの連結決算は、売上げが2兆1860億円(前年同期比2.8%増)、営業利益が4792億円(同50%増)となっていますが、最終純利益が55億円(同98%減)しかありません。

 それについては前年同期にアリババの売却益を2042億円計上しており、今期は逆に2571億円のアリババ関連のデリバティブ損失を計上したからとしか説明されていません。ソフトバンクは2016年6月にアーム買収資金をねん出するため保有するアリババ株式を79億ドル(8600億円、アリババ全体の4%に相当)売却しています。

 このうち29億ドルは単純売却で、前年同期に計上した2042憶円の売却益となっています。問題は残る50億ドルで、当時のソフトバンクの説明ではこの50億ドルのアリババ株式を担保に資金を調達し、返済は現金かアリババ株式かのどちらかをソフトバンクが選ぶことになっていました。

 アリババ株はそこから上昇していますが、それならソフトバンクは資金を現金で返済して値上がりしたアリババ株式をそのまま保有することになるはずで、契約途中の今期に損失計上となるはずがありません。またソフトバンクはこの関連において最終損益は9億ドル(1000億円)の損失となる(だから今期の損失の大半は戻ってくる)と説明しているようですが、その9億ドルは50億ドルの調達期間(たしか3年)の支払金利のような気がします。ドル建ての仕組債なので年6%くらいの支払金利となるはずだからです。

 要するに今期に発生した2571億円の特別損失の説明になっていませんが、そこを指摘する日本の報道はありません。

 さらに「ドル箱」の国内通信事業のセグメント利益が2184億円と、前年同期比8.6%減となっています。これは規制に守られた儲け放題の国内携帯電話事業が、ようやく格安携帯などに侵食されはじめたからですが、ソフトバンクの積極的な海外投資を支えている国内携帯電話事業が稼ぐ豊富なキャッシュフローが減少に転じていることは、気に留めておく必要があります。

 さらに10兆円ファンドが5月20日にスタートしており、さっそく今期から連結対象に組み入れ1068億円の評価益(エヌビディアのようです)を計上しています。これは最初から指摘されているファンド出資者との典型的な利益相反となるはずですが、全く気にせず堂々とソフトバンク本体の連結収益に含めています。

 また3兆3000億円で買収したアーム事業も、今期の売り上げが470億円で69億円のセグメント損失となっています。まあこれから大変に大きくなる事業だそうなので、ここはあまり気にしないことにしますが、それでもいろいろな「気になるポイント」が山盛りとなっているソフトバンクの2017年4~6月期決算でした。

 引き続き目が離せなくなりました。


ダイヤモンド版「闇株新聞プレミアム」のお申し込みはこちらから
インフォカート版「闇株新聞プレミアム」のお申し込みはこちらから

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:8 | TrackBack:0
関連記事
コメント
孫社長は後継者を育成、用意してますか?

孫さんが亡くなったらソフトバンク王国は終焉でしょう
スプリントは儲かっているのか?

孫社長「スプリントの黒字化に成功した」
カラクリはアメリカにソフトバンクのリース会社を設立し、スプリントの保有設備を高額で買い取る。そして毎月タダ同然の安い料金でスプリントに貸し出す事で、債務を減らした。リース会社は赤字だがスプリントは黒字になった。
この手法は米メディアで「合法的な粉飾決算」と叩かれた。

本当に儲かっているなら各方面への売却交渉が上手くいってるカモメ
>この手法は米メディアで「合法的な粉飾決算」と叩かれた

同感、ソフトバンクの大卒新人は朝鮮大学の卒業生も多いらしい。その割合は知らないが帰化人や北朝鮮国籍などの朝鮮人が多数居る世にも珍しい会社がソフトバンクらしい。
文字どうり胡散臭い会社だな?

じゃなぜ、ソフトバンクがここまで大きくなったのだが、それは孫社長がマイクロソフトのビル・ゲイツなどに日本を売ってるからだろう?この孫社長はかつて日本人が日本の為に作ったパソコンOSのTRONを邪魔して潰した日本側の代表だろが。その功でビル・ゲイツなどとユダヤ人の輪に入ったのだろう。

 今に罰があたるだろうよ・・・
10兆円のファンドを連結から外すことは会計上できません。GP(無限責任組合員)であれば支配力基準で強制的に連結対象になります。
その結果、ファンドで投資していない現預金は、ソフトバンクの連結決算においても現預金として表示されるため、一見してキャッシュリッチに見えてしまうのです。
これ自体は利益相反にはなりません。
想定される利益相反の典型例は、ソフトバンク(子会社等含む)が既に投資している先の企業の第三者割当増資を10兆円ファンドが引受ける場合や、株式の譲渡を受ける場合などです。
株価が高ければ、ソフトバンクの利益になりますし、低ければ、10兆円ファンドの出資者の利益になります。
こういう事態を予め想定して、ファンドの出資契約書には、投資ガイドラインが設けられたり、投資委員会における拒否権が特定のLP(有限責任組合員)に与えられたりします。
>常にソフトバンクに好意的な日本の報道

そりゃ、トヨタと同じで、あれほどたくさんのCMのスポンサーに
なっているなら、マスコミが悪く書くはずがない(笑)
まして通信インフラも握っているし。
だから、SBの悪いニュースは、あってもなかなか出ない、と思ってないと、
あとで騙されることになる。
ソフトバンクの株価の適正な水準はどのあたりでしょうか?
ソフトバンクに限らず、楽天も高価な企業買収が好きです。

孫さんも三木谷さんも話し方が堂々としているし、うまいですね。しかし、楽天の収益性の低さには目を見張るものがあります。楽天に比べれば、ソフトバンクのほうが、まだROIが高い合理的な投資をしているように思えます。

ソフトバンクの企業買収行動に違和感を覚える人々が大勢いるのはわかりますが、楽天にはもっと違和感を覚えるべきでしょう。

楽天もそうなのですから、ソフトバンクだけを見るのではなく、そもそも、なぜドッドコム系企業はこのように割高な企業買収が可能なのかを考えるべきではないでしょうか。引受証券会社、メインバンクを巻き込んだ連合体として考えないと、こういったことは理解不可能なはずです。

そして、日本の金融業界がドットコム系企業を応援する背景には、旧態依然たるオールド・エコノミー企業群に対する失望と、ドットコム系企業への過剰な期待感が交錯しているのだと思われます。

やはり日本の低成長への不安感、日本の潜在成長率は実はマイナスだろうという不安感のほうが、ソフトバンクの孫社長の出自よりももっと重要なのでしょう。

コメントの投稿
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

09月 | 2017年10月 | 11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム