闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

それからの東芝

2017年08月15日

それからの東芝


 東芝については6月30日付け「どうして東芝はそんなに死に急ぐ?」から取り上げていませんでしたので、その後の経過も含めてまとめてみます。

 まず本日(8月14日)午後にBloombergが関係者の話として「東芝のメモリー事業売却交渉、支払時期などを巡り失速」なる記事を配信し、それまで高値307円まで買われていた東芝株が260円まで急落、前週末比5円安の287円で終わりました。

 本当の関係者なら守秘義務が課せられているはずで、よくある「自称関係者」の噂話をBloomberg東京事務所が記事にしたような印象ですが、その中に「(優先交渉権を与えられている)日米韓連合は(東芝の)合弁相手の米ウエスタンデジタル(以下、WD)との係争解決を条件にしている」という部分があります。

 もしこれが本当なら、そもそも日米韓連合への売却など最初からできるはずがなかったことになります。そもそも最初からWDとの係争を抱えたまま、よく日米韓連合が(その他の連合でも同じですが)交渉のテーブルに着いたなあと不思議に思っていましたが、東芝の経営陣も「決めてしまえば何とかなる」くらいに考えていたのでしょう。

 当然のように日米韓連合への売却交渉は進展しておらず、今頃になってKKRとWDの連合との売却交渉が水面下で再開されているようです。大変に情けないことに日米韓連合への売却では議決権の過半を確保する約束になっていた産業革新機構がKKRにもすり寄っていますが、日米韓連合の中心にいるベインキャピタルに比べれば「はるかにえげつない」KKRがすでにWDの協力を取り付けているなら、最終的には徹底的に買いたたいて(1兆数千億円ほどで?)手に入れてしまうことになりそうです。

 そもそも日米韓連合でもKKR・WD連合でも、独占禁止法の審査期間を考えると債務超過解消のタイムリミットとされる来年3月末までの売却完了は「すでに大変に厳しい状況」となっています。

 東芝は2016年3月末に、東芝メディカルのキャノンへの売却が完了していないにもかかわらず強引に売却益を計上し、それで「待ったなし」となっていたウェスティングハウスの減損を一部だけ行ったことがあります。まあ今回も「何とかなる」と考えているのかもしれません。

 そして遅れに遅れていた東芝の2017年3月期決算が8月10日、PwCあらた監査法人から「限定付き適正意見」を得て、ようやく提出されました。「限定付き」とは東芝の内部管理体制の不備がまだ改善されてないからのようですが、それなら最初からそこは呑んで「限定付き適正意見」を貰うように交渉していれば、ここまで時間がかからなかったはずです。

 その2017年3月期決算では、最終純損益が9656億円の損失(前期も4600億円の損失)、2017年3月末の債務超過が5529億円と「ようやく」確定しました。
 
 つまりこの5529億円の債務超過を2018年3月末までに解消できないと、東京証券取引所の規定では上場廃止となります。また東証は本年3月に東芝を内部管理体制の不備を理由に監理ポストに割り当てており、これも東証が改善を認めなければ上場廃止となりますが、こちらの方は東証が判断するため最終的には「問題なし」となるはずです。

 ところが2018年3月末までの債務超過解消は、できなければ上場廃止と東証の上場規定にはっきりと明文化されており、それで上場廃止となった企業もたくさんあるため、さすがに東証でも「東芝だけ特別扱い」とはできないはずです。

 そこでどうしても来年3月までに半導体事業会社を外部に売却しなければならないとなりますが、このまま時間に迫られていくと「そうでなくても当事者意識がなくなっている」東芝の経営陣では、ますます海外勢に煽られ「とんでもない条件でも売却してしまう」ことになりそうです。

 そういえば8月7日に、キング・ストリート・キャピタルなるヘッジファンドが東芝の5.81%(2億6400万株)を取得したとする大量保有報告書を提出しています。6~7月に市場で買い付けているようですが、これなども半導体事業売却完了=上場廃止回避とのインサイダー情報を関係する海外勢から得ているとしか思えません。
 
 つまり日米韓連合でもKKR・WD連合でも、これから時間が迫れば迫るほど足元を見られることが明らかなら、ここはいったん上場廃止にしてでも半導体事業を中心に再建策を立て直し、それでも売却となれば徹底的に高値で売却できるよう強気に出るべきです。

 上場廃止となっても東芝が生き残れば、どこかで再上場のチャンスがあるはずで、株式が紙くずになることもありません。それがオール日本にとって「最善の策」のような気がします。


ダイヤモンド版「闇株新聞プレミアム」のお申し込みはこちらから
インフォカート版「闇株新聞プレミアム」のお申し込みはこちらから

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:12 | TrackBack:0
関連記事
コメント
半導体は水物で、資金力がないとやり繰りできない事業です。
上場廃止の後、半導体中心に立て直すというシナリオには現実味を感じません。しょせんSSD分野でサムスンに勝てる訳でもない程度の半導体事業ですから、値が付くうちにどこかに売り付けた方が良い、と個人的には思っています。
東芝問題は無責任な政治的配慮の悪しき前例として残るのは明らか。
監視委員会の新委員長はなにもやってないし
東芝は 軍事関連には 関係ないのでしょうか?
1番目の名無しさんへ

 以前からさんざん強調していますが、日米韓連合でもKKR・WD連合でもファンドが中心となる限りは買収後に自らの借り入れを被買収会社(ここでは東芝の半導体事業会社)に押し付けて返済させるため、人件費も設備投資も極限までケチられて儲けはすべて借入金返済に回されます。
だからファンド主導の相手に売却すると、本誌がいつも批判している日産自動車を買収したルノーより「はるかにタチが悪い」こととなります。
その典型がファンド(これもベインキャピタルですが)が自らを買収した際の借入金返済とのれんの償却に苦しんでいる「すかいらーく」です。

 「どうせろくな設備投資ができずにじり貧になるなら早く売却してしまったほうがいい」とも考えられるかもしれませんが、それだったら海外勢に「濡れ手に粟」で儲けさせる必要はなく。産業革新機構にでも一時的に丸抱えさせた方がはるかにマシです。

闇株新聞編集部
予想以上の半導体の好調で債務超過もだいぶ減りそうなので、金融機関の融資のDESではだめでしょうか?
すぐ上の名無し様へ

 もちろん金融機関がDESに応じれば最も簡単で株価も上昇するためすべて丸く収まるはずですが、そもそも半導体事業を何で慌てて売却するようになったのかというと金融機関がパニックになったからで、なかなか難しいようです。

しかし2017年3月末の債務超過が5500億円ほどで、半導体事業を売却しなければ今期は1000億円くらいの利益が出るはずで、それに液化天然ガスの損失を無視してしまえば5000億円くらいで間に合うはずです。

これは決して無理な数字ではないはずで、管理ポストに割当てられているので増資ができないというのもウソです。ただヘッジファンドに売りたたかれないように工夫を凝らす必要があります。資本増強額が減ってしまうからです。


闇株新聞編集部
産業革新機構ごときが半導体会社の運営を出来るはずもなく、一時的に金を出してその場しのぎをしても無駄。そもそも今まで失敗続き・悪事を繰返してきた最悪な経営陣達と、社員の親方日の丸意識を改善しなければ、今後も赤字を垂れ流すだけ。国民の税金の無駄使いもいい加減にして欲しい。残念ながら「オールジャパン」により根本的な対策がなされるビジョンも全く見えない。
資本主義の原則に習う根本的な改善を望む。
子会社の低い簿価を、時価に洗い替えする方法はないものなのでしょうか。
(東芝メモリを上場させる、といったような?)

東芝メモリに少なからずの値が提示されているのを見ると。 素人目線では、債務超過問題に限れば単に会計上の課題に過ぎぬように見え。

売却方針は本心ではなく、表明は銀行団の突き上げをのらりくらり躱す為の時間稼ぎ・・・とか。
まぁ資金調達の問題はやはり解消できないであろうことを考えると、ただの妄想ですが。
東京電力、東芝、オリンパス、タカタをすべて合併させたら面白いコングロマリットが出来上がるだろう。ホンハイがシャープを買収しなければ、シャープもそこに加えることができるのだが、そうできない。しかし、東京電力、東芝、オリンパス、タカタの4社でも、結構なことができるに違いない。


連合は金を10兆持ってるらしいです
労働者を救うために買ってくれませんかね
ストライキより合理的ですよ
>連合は金を10兆持ってるらしいです

連合が企業を買収すれば、1年を待たずしてどんな企業でも潰れるだろう。だから、連合の人々は企業を経営することなく、企業に自分達を雇い続けろ、と大声で喚くのである。
連合やJAと共に沈む日本。
コメントの投稿
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

09月 | 2017年10月 | 11月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31 - - - -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム