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もう一度だけ繰り返す東芝の半導体事業売却

2017年09月01日

もう一度だけ繰り返す東芝の半導体事業売却


 最近は東芝の記事が多いので、本日は(北朝鮮とか)別の話題にしようと思っていましたが、やはり状況を見ているとどうしても強調しておきたいところが多いため、もう一度だけ東芝です。

 このままだと最悪のシナリオ(後述します)となる恐れもあるからですが、半導体事業売却についてはこれで最後とします。これ以上繰り返しても無駄のような気がするからです。

 まず昨日付け「いよいよ半導体事業を売却してしまう(追加記事あり)」を書いた直後、日米韓連合にアップルも参加するというニュースが飛び込んできました。というのもその時点ではKKR・WD連合に独占交渉権が与えられる寸前であり、そうなると日米韓連合の目は完全に消えるため、連合を取りまとめるベインキャピタルが「とにかく必死に食い止めた」だけです。

 確かにかなり以前にはアップルの名前も出ていましたが、現時点で実際に「アップルが何と言っているのか」は誰にもわかりません。

 しかしアップルの名前を聞いた瞬間に東芝の現経営陣が舞い上がり、本日(8月31日)の取締役会で予定していたKKR・WD陣営への独占交渉権付与を見送り、3陣営(KKR・WD連合、日米韓連合、鴻海グループのようです)との交渉を継続するとなりました。

 とりあえずベインキャピタルの「乾坤一擲」が効いたわけですが、それでも売却を差し止めているWDを抱え込んでいるKKRの優位は動かないはずです。

 それにしても産業革新機構と政策投資銀行はKKR・WDと日米韓の両連合に首を突っ込んでいるわけですが、各陣営には守秘義務が課せられているはずで「どうするのだろう?」と思ってしまいます。まあそれだけ「都合のよい財布」なので大事にされるのでしょうね。

 ベインキャピタルがそこまで必死になるのは(KKRも同じですが)、何度も書いたようにLBOファンドだけが「とんでもなく儲かるスキームになっている」からです。また決して表には出てきませんが、東芝を含む各陣営には複数のアドバイザーがついており(ほとんど外資系です)、数百億円規模の報酬を「山分け」するはずです。

 この報酬は、買い手となる特別目的会社に7000億円を融資する邦銀主力行も「たっぷりと」分け前にあずかります。銀行団が半導体事業の売却を強硬に進める理由には、売却代金で融資を回収する以外、(主力行だけですが)この「たっぷりの」報酬もあるはずです。

 しかし実際問題として、仮に9月中にどこかの陣営と正式に売却契約が締結できたとしても、すでに債務超過を解消しなければならない2018年3月末まで半年しかなく、その間に日本だけでなく世界各国との独占禁止法による審査をクリアしなければなりません。

 これくらいの大型案件ともなると6か月で(とくに中国政府の)審査がクリアできることは「すでにほとんど奇跡」となっているはずです。

 しかし(どこかの陣営と)締結してしまった売買契約は取り消せないため(仮に取り消し条項が盛り込まれていたとしても数千億円規模の違約金となります)半導体事業をそのまま手放すことになり、さらに(昨日付け記事に書いたように)5000億円規模の税金を支払い、2018年3月末までに売却が完了せず(独禁法の審査をクリアできず)、東芝は上場廃止となる恐れがあります。

 これが冒頭に書いた「最悪のシナリオ」です。

 東芝は2016年3月期に東芝メディカルをキャノンに売却した時、実際に独占禁止法の審査が終了していなかったにもかかわらず強引に売却益を計上しています。この時は計上しなければ上場廃止という瀬戸際ではありませんでしたが(それでも待ったなしとなっていたウェスティングハウスの一部減損ができました)、今回も東証による「お目こぼし」があるかどうかはさすがに微妙です。

 つまり何が何でも半導体事業を売却しようとしている東芝の現経営陣も銀行団も、すでに債務超過回避(上場廃止回避)が間に合わない可能性を十分に認識しているはずですが、それでも強引に売却しようとしているわけです。

 これも書くのは最後としますが、産業革新機構と政策投資銀行が(KKRでもベインキャピタルでも)LBOファンドやアドバイザーや邦銀主力行に大儲けさせるためだけに提供する合計6000億円で東芝の第三者割当増資を引き受ければ、それで少なくとも上場廃止だけは回避できます。

 半導体事業を確保しておけば、2018年3月末時点の債務超過は4100億円程度となるようです。確かに東芝に入る現金は少なくなり、銀行の融資が十分に回収できなくなりますが、銀行も慈善事業で東芝に貸し付けたわけではないためリスクはあるものと理解すべきです。それがいやならDES(貸付債権の株式化)もあるはずです。

 繰り返しですが、東芝の半導体事業売却についてはこれで最後とします。これ以上書いても無駄のような気がするからです。


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コメント
半導体事業を売却した後の東芝が目先の上場廃止を免れたとしても、その後に衰退する可能性は非常に高い。どこが半導体事業を買おうが、東芝自体はいずれ上場廃止になっても不思議ない。

上場されたままでいたいと考える企業が上場廃止になることは危険信号だが、上場にさほど意味がないと考える企業が上場を止めるのは、何も問題でもない。発想の転換をすればいいではないか。
東芝はアップルに部品供給していますね。

携帯電話は不具合が多くの機種でありますが、よほどのことがないかぎりリコールにしません。
不満に思う顧客のみ対応し、もみ消してます。顧客はデータ移行を嫌がり使い続けますから返品にも時間がかかりますしリコール隠しが発覚しにくい。

もし東芝を追い込みたいと思ったら、日産が三菱自動車に行ったことを参考にすればいいですね。
そしてタカタと同じように東芝に賠償してもらえばいい。
訴訟対応や賠償する余力がないなら議決権ちょうだい、と交渉できますね。

アップルはそんなことしないですよね。
WHでひどいめに遭ったんだからやさしくしてくれます。
きっとそうです。はい。
半導体事業は常に技術開発が必要な事業。かつ装置産業であり借入割合が多くなる。
業績の変動幅も大きく債務超過の会社が続けられる事業ではない。
収益が出てる今、高く売れるうちに売却する選択は間違っていない。
銀行団も東芝には相当の引当金を充てているはず。それこそ慈善事業ではないので回収に動くことに不思議はない。
貸出金は銀行の金ではない。預金者の預金。自分のお金を貸すつもりで考えないとリスクという格好いい言葉に覆われた博打になる。・・・と思いますよ。
>半導体事業は常に技術開発が必要な事業。かつ装置産業であり借入割合が多くなる。
>業績の変動幅も大きく債務超過の会社が続けられる事業ではない。
>収益が出てる今、高く売れるうちに売却する選択は間違っていない。
>銀行団も東芝には相当の引当金を充てているはず。それこそ慈善事業ではないので回収に動くことに不思議はない。
>貸出金は銀行の金ではない。預金者の預金。自分のお金を貸すつもりで考えないとリスクという格好いい言葉に覆われた博打になる。・・・と思いますよ。

そのとおりです。同じことが政府系の資金についても言えます。政府の使うカネは、納税者、有権者のカネです。有望でない事業や企業に使うべきではありません。

東芝の半導体事業の売却自体はやむを得ません。誰に幾らの価格で、そしてどういう条件で、売るかに議論を絞るべきです。
東芝メモリ、WD陣営に売却へ。明日正式決定
http://newswitch.jp/p/10367
漏れ?
>東芝メモリ、WD陣営に売却へ。明日正式決定
>http://newswitch.jp/p/10367
>漏れ?

間違ってます。

東芝メモリー事業、13日売却先決定見送り WDと溝埋まらず=関係筋
http://jp.reuters.com/article/toshiba-wd-memory-idJPKCN1BN17P
アップル可愛いな、アップル楽しいな。
東芝メモリ売却でWDが議決権全面放棄、新日米連合優勢に=関係筋

2017/9/20(水) 2:47配信 ロイター

[東京 20日 ロイター] - 東芝<6502.T>の半導体子会社「東芝メモリ(TMC)」の売却交渉で、米ウエスタンデジタル(WD)<WDC.O>が議決権の保有を全面的に放棄し、産業革新機構(INCJ)と米系ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)<KKR.N>、日本政策投銀行(DBJ)などで構成する新「日米連合」が新たな提案をしていることが明らかになった。
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