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ますます混乱している東芝の半導体事業売却

2017年09月21日

ますます混乱している東芝の半導体事業売却


 東芝については9月1日付け「もう一度だけ繰り返す東芝の半導体事業売却」で問題点をすべて指摘したため、これ以上は書かないつもりでした。

 その理由は、ここから最後まで東芝経営陣や銀行団やハゲタカファンド(ベインキャピタルとKKRのことです)など、それぞれの思惑が前面に出た報道(勝手なところを誇張して問題点は隠す)が繰り返されるだけで、それらを真に受けていちいち解説してもほとんど意味がないと感じたからです。

 しかし本日(9月20日)の東芝は、その本誌の想定もはるかにこえた混乱状態となっているようで、「たまらず」再登場となりました。

 東芝は本日午前中の取締役会で、ベインキャピタルが主導する「日米韓連合」に半導体事業を売却する方針を決めました。

 そもそも前日(9月19日)には、KKRとWD連合が「WDは議決権の保有を全面的に放棄する」との提案修正(どうせ裏契約があるに決まっていますが)を行い、一応はWDの拒否権は回避され独禁法の審査期間も短縮されそうな提案となっており、半導体事業を売却する是非はともかくとして「これで決まりか?」と思っていました。

 ところが一夜明けると、東芝の取締役会は再び「日米韓連合」を選んだことになります。

 しかも買収金額が当初の2兆円から買収後の設備投資を含めて2.4兆円に膨らんでいるとか、アップルが出資を含めて巨額資金を拠出するとか、東芝自身がかなり出資するとか、(突然出てきた)HOYAなど日本企業も出資するとか、SKハイニックスの出資額は将来的にも15%以下に抑えるとか、それでも日本側の議決権が50%をこえるなど、まさに「それぞれの思惑が勝手に先行した報道」が続きました。

 ただ報道で唯一間違いがなさそうな部分は、産業革新機構と政策投資銀行が、拒否権を持つWDとの今後の協議を見守るため当面は出資しないというものでした。

 だいたい買収後にいくら設備投資が行われようと、売却してしまった東芝には何の関係もないはずで、さらにベインキャピタルも、アップルも、SKハイニックスも、東芝自身も、WDとの今後の協議に関わらず「出資あるいは資金拠出を強行する」ということになり(東芝自身以外はありえません)、何より産業革新機構と政策投資銀行が当面出資しないなかでどうやって2兆円を積み上げ、しかも日本勢が議決権の50%超を確保するのかなど、理解しがたい報道が続いていました。

 ところが午後8時50分にやっと東芝が発表したIRでは、合計譲渡金額が2兆円であり東芝自身の出資額が3505億円であると明示されているだけで、あとはベインキャピタル、日系企業、海外企業連合及び当社(東芝のこと)と列挙されているものの(金融機関から借り入れを行うとも付け加えられていますが)、肝心のアップルの名前もそれぞれの出資額も議決権割合も一切明らかにされていません。

 さらに不可思議なことに、産業革新機構と政策投資銀行は「指図権」があると書かれていますが、少なくとも「指図権」とは聞いたことがなく意味がわかりません。まあここに至っても産業革新機構と政策投資銀行は、関与しているフリだけはしておきたいようです。

 要するに取締役会が終わって10時間以上たっても、各当事者間の調整が何ひとつ完了していないことが伺われます。

 さらにこれでWDとは徹底的に対立してしまったため、今後はさらに強烈に差し止めてくるはずです。結局のところ日米韓連合とは契約締結に至らないか、仮に契約していれば巨額の違約金が発生することになります。

 つまり半導体事業の売却は何か月もかけた結果、おそらく最も壊滅的かつ修復不能の状態に陥ってしまったはずです。

 だいたい日米韓連合が再浮上した唯一の理由は、アップルの参画に東芝側が完全に舞い上がってしまったからですが、アップルはもともとWDの後ろについていたはずで、東芝の半導体事業がどこに買収されても仕入れ先としての影響力を維持したいと考えているだけです。

 しかしここまでくると「何でそこまでハゲタカファンドに収益機会を提供して半導体事業を売却しようとする」のかがわかりません。何と言っても総額2兆円の案件なので、決して表に出てこないアドバイザーへの報酬も数百億円規模となるはずで、何か不明朗なことがあるのかと勘繰りたくもなります。

 だいたい仮に2兆円で売却できたとしても、東芝は税務上の赤字がないため5000億円規模の税金を支払う必要があります。債務超過回避(上場維持)だけなら産業革新機構と政策投資銀行がハゲタカファンドに拠出する予定の5~6000億円で、東芝本体の増資を引き受ければ済むはずです。もちろん税金を払う必要はありません。

 さらに奇跡的に売却できそうになっても、そこから臨時株主総会で承認(特別決議)が必要です。特別決議には出席者の3分の2以上の賛成が必要で、逆に言えば出席者の3分の1以上が反対すれば否決されます。

 東芝の経営陣は「そうなると上場廃止となって困るのは株主だろう」くらいにしか考えていないはずですが、海外株主が反対すれば否決されてしまう可能性があります。それで上場廃止となれば今度は経営陣に対する巨額損害賠償請求となるはずで、そこでもまた修羅場になるはずです。

 もう一度繰り返しますが、何か月もかけてきた東芝の半導体事業売却は、ここにきて「最悪の状態」となってしまったはずです。


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コメント
黙示録
ブロックチェーン技術を確立できない銀行や保険は東芝みたいになる。そして、東芝はビットコインだ。すべて地球から姿を消す。
東芝は最後は核兵器開発のための国策企業となる。
アホ経営陣はゴールデンパラシュートでも用意されたんですかね?アホすぎる選択かと、、、
各報道機関はWDサイドにもっとも”えげつない”KKRがバックについている事を忘れてしまったのでしょうか。
日米韓連合に決まったという発表には違和感しか感じません。
https://jp.reuters.com/article/idJP2017092301001667
東芝会計「虚偽記載ある」

まああるでしょうね
「監視委の存在意義が疑問視」
再び政治や役人に制御される悪しき前例ですもんね
日米原子力協定にこそ東芝の活路がある。半導体事業は要らない。必要なのは、原子力関連事業だけだ。

日米原子力協定を延長へ…米、再交渉求めず
読売新聞 2017/9/24(日) 9:19配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170924-00050012-yom-pol

日本がなぜ原発による発電を行ってきたのか。核兵器は一定期間以上経過すると破壊力が低下する。そのため、更新しなければならない。日本は原子力発電所でウラン原料からプルトニムを製造し、それを米国の核兵器の更新のために提供している。そのための協定が日米原子力協定だ。

東芝は重要な企業だ。上場廃止になろうが、社名が変更されようが、特殊団体になろうが、プルトニム製造法人としては存続させられる必要がある。

東芝の株主が大損したところで、極東の核パワーバランスにとってはどうでもいいことだ。重要なのは、日米原子力協定のもと、東芝がプルトニムと劣化ウランを製造し続けるということだ。東芝は上場廃止になっても構わない。ひたすらプルトニウムを製造し続けるのである。

ウラン原料は、貸与されているので返却しているだけ。
>ウラン原料は、貸与されているので返却しているだけ。

残念!ウラン原料は日本で使用されれば、ウランのままではないのでウランとしては返却できない。

この書き込みは完全に間違っている。

>ウラン原料は、貸与されているので返却しているだけ。
=>
ウランとプルトニウムでは大違いだから、正確に記述してくれよ。

日米原子力協定で米国が日本に提供しているとされているのは、ウランではなく、プルトニウム。日本がプルトニウムを必要としたのは、いまだに実現していない高速増殖炉の研究に必要だからとされている。

ここで、奇妙な点を2点しておく。

(奇妙な点:その1)
プルトニウムを使って発電する高速増殖炉の実現性は、米国のほとんどすべての核物理の研究者と核エンジニアが信じていない。なぜ信じてもいない高速増殖炉のために、米国は日本にプルトニウムを貸与した(という説明をする)のか、説明がつかない。

(奇妙な点:その2)
プルトニウムは、ウラン原料による原子力発電の過程である程度は自然に生成されるはず。研究のためであっても、日本がわざわざ米国からいただく必要は無い。

つまり、日本は米国にプルトニウムを返還するというのは表向きの説明で、実は日本の国土は原子力発電の結果としてできたプルトニウムだらけなのである。それを米国に差し上げましょうという協定なのです。

日米原子力協定を継続して今後もプルトニウムを回収し、日本全体がプルトニウム満杯になるのを防いでくれるアメリカは、真のトモダチだ。
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