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トランプ暴露本(Fire and Fury)の意味

2018年01月18日

トランプ暴露本(Fire and Fury)の意味


 暴露本にどういう問題が書かれているのかではなく、この暴露本でホワイトハウスがますます「動物園」になってしまうことが深刻な問題であるという意味です。まだトランプ政権は1年しか経過しておらず、最低あと3年はこのまま存続するはずだからです。

 ジャーナリスト兼作家であるマイケル・ウォルフが書き、1月5日に出版されたホワイトハウス暴露本のFire and Fury(炎と怒り)がベスト・セラーになっています。もともと1月9日が出版日でしたが、ホワイトハウスが出版差し止めを検討していたため、前倒しで出版に踏み切りました。

 だいたい過去の著作でもその信憑性を巡る疑念が残るマイケル・ウォルフが、大統領選中から政権発足後のホワイトハウスまで1年半以上もトランプの本丸に陣取り、「トランプおよび側近への批判だけを集めた」本書に、それほど重要な意味はないはずです。

 ウォルフもよく「つまみ出され」なかったなと感心しますが、ホワイトハウスの中にもウォルフを通じてトランプや幹部の中傷を探っていた人物が多数いたことになります。

 トランプ政権における「誰も知らなかった真実」も「息詰まる外交の裏側」も「政権が崩壊するほど重要な新事実」もほとんど含まれておらず、まさに興味本位で読む暴露本以外の何物でもなさそうです。

 そんなことより本書に書かれているトランプの言動が本当なら「認知症ではないのか?」や「本当に思いつきだけで世界を振り回しているのか?」など、余計な心配も必要となります。ホワイトハウスも主治医が慌てて「トランプは健康」とのコメントを出しています。

 さてウォルフは200人以上にインタビューしたそうですが、中身の「かなりの部分」はスティーブ・バノンから出ているようです。スティーブ・バノンとはトランプ当選を資金面でも戦略面でも支えたロバート・マーサー率いる超保守派が、新設の主席戦略官としてホワイトハウスに送り込んでいました。

 そして政権発足前から米中首脳会談があった昨年4月初めころまでトランプ政権の重要政策を主導していましたが、徐々にトランプの女婿であるジャレッド・クシュナーに権力を奪われ、そのまま挽回できずに昨年8月に解任されていました。つまりバノンの天敵がクシュナーですが、クシュナーの後ろ盾はヘンリー・キッシンジャーとなります。

 ここでロバート・マーサーとは、世界最強のヘッジファンドであるルネッサンス・テクノロジーズCEOで、世論操作のケンブリッジ・アナリティカの実質オーナーでもあり、カジノのシェルドン・アデルソンと並ぶトランプ陣営への大口献金者です。

 ところが暴露本では、バノンは解任されるはるか以前からトランプを中傷していたことがバレてしまい、さらに暴露本の出版と同時にロバート・マーサーの娘のレベッカ・マーサーが、最初からバノンを重用していたわけではないと「あっさり」梯子を外してしまいました。

 バノンは解任後もトランプと良好な関係を維持していると触れ回っていましたが、新年早々トランプに「マーサー家は最近、情報漏洩屋のうすのろバノンを切り捨てた。賢いぞ!」とツイートされ、直後に復帰していた「ブライトバート」の会長も辞任に追い込まれてしまいました。

 しかし思い出してみれば、トランプ政権の公約である「メキシコの壁」も「イスラム移民排斥」も「イスラエルの首都はエルサレム」も「中国の対米貿易黒字は持続不能」も、すべてバノンの主張だったはずです。今後のトランプは多少はこれらの主張を後退させる可能性があります。

 また暴露本では大統領選の最中である2016年6月に、トランプ陣営の幹部(トランプ・ジュニア、クシュナー、それに昨年訴追されたマナフォート)がロシア側と接触したのは「反逆罪に相当する」とのバノンのコメントが引用されているようです。

 モラー特別検察官の捜査が進むロシアゲート疑惑は、マーサーの超保守派ルートとキッシンジャー・ルートの2つがあります。ところが超保守派ルートはマナフォートらの訴追でほぼ終了しているはずで、キッシンジャー・ルートもフリンの訴追でほぼ終了のはずでクシュナーまで訴追される可能性は低いはずです。

 それでは暴露本にバノンが書かせたロシア側との接触とは、実は全くお粗末なブローカー話で何の意味もありませんでした。モラー特別捜査官もほとんど問題視していないはずです。

 ところがトランプ・ジュニアやクシュナーが登場しているため、バノンが「天敵」クシュナーの追い落としを狙ったはずですが、あまり効果はなさそうです。

 結局のところ暴露本にはほとんど「新事実」がないはずで、2月下旬に日本語版が出版される頃にはすっかり熱が冷めているような気がします。政治の醍醐味は暴露本で読むよりはるかに奥が深いはずです。


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トランプの言動以前にクリントン・ファミリーの汚濁のほうがもっと重要だろう。
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