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トランプ政権のあまりにも不用意なドル安容認発言

2018年01月26日

トランプ政権のあまりにも不用意なドル安容認発言


 スイス東部のダボスで世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)が開催されていますが、1月24日にムニューシン米財務長官が「ドル安は米国の貿易にとって良いこと」と発言しました。

 同長官は翌25日にも「ドル相場の短期的な変動について懸念していない」と繰り返しており、言い間違いではなかったようです。つまりトランプ政権として「ドル安を容認した」ことになります。

 ダボス会議では独仏首脳が「米国第一主義」を掲げるトランプ政権に「保護主義は解決策にならない」と牽制しましたが、米国はさらに「ドル安容認」で応じたことになります。

 これを受けて円相場は日本時間25日の午後に1ドル=108.73円までドル安・円高となり、同日の日経平均は271円安の23669円(終値)となりました。またユーロも同じ頃に1ユーロ=1.2489までドル安・ユーロ高となり、やはりドイツ株式などが下落しました。

 本誌は昨年末頃からメルマガ「闇株新聞 プレミアム」も含めて、ドルの水準を表わすICEドルインデックスが「不気味に」下落していると繰り返していましたが、現地時間の1月24日には89.01(終値)となり、2015年以降のすべての下値抵抗線を明確に下回ってしまいました。

 FRBは本年3月を含む年3回の利上げを行うはずで、また昨年10月から保有資産縮小も開始しています。何よりも米国株は上昇を続け、長期金利(10年国債利回り)は2.64%まで上昇しています。

 そんな中でドルの水準(ICEドルインデックス)が大幅に下落しています。ここにきてトランプ政権の極端な「米国第一主義」や、行き当たりばったりの外交政策、それに昨年末に成立した(財源を全く確保していない)大規模減税などにより、米国経済あるいはドルへの信認が少しずつ毀損しているような気がしています。

 昨年後半からのビットコインをはじめとする仮想通貨の価格上昇も、ドルへの信認の毀損と全く無関係ということはないはずです。

 つまり世界的なドルへの信認が毀損し始めている可能性がある中で、今回はトランプ政権そのものから「ドル安容認発言」が飛び出したことになります。

 表題は「あまりにも不用意な」としてありますが、「大変に高くつきそうなドル安容認」とした方がいいかもしれません。

 ドルはもちろん世界の基軸通貨ですが、実は米国政府は通商面で他国に圧力をかけることはあっても、公(おおやけ)にドルの水準そのものを下落させることは1985年9月のプラザ合意以降は控えています。

 プラザ合意では1ドル=250円をこえていたドル高が、1987年の年末には1ドル=120円になってしまいました。米国経済はもともと経常収支も財政収支も大幅赤字であるため、ドルが一度下落を始めるとなかなか元に戻せなくなります。そこで常に公には「強いドル」を標榜していなければドルへの信認を維持できなくなるはずです。

 クリントン政権の1期目途中に財務長官となったロバート・ルービンが、1995年8月に「強いドルは米国経済に大きな利益をもたらす」と発言し、それまでの(とくに)対日通商政策によるドル安を完全に転換して以来、歴代の財務長官は(少なくとも公には)強いドルを標榜していたはずです。

 それをトランプ政権のムニューシン財務長官が(自身はそれほど大物ではなく、その意味を正確に理解しているかどうかは不明ですが)ドル安容認と発言してしまったことになります。

 ところでそのルービンがドル高に転換させた1995年の連邦債務残高は5兆ドル以下でしたが、足元では21兆ドルに達しています。ここで一度ドルが下落してしまうと、それを止めて反転させることは非常に難しいはずです。

 米国株式市場はとりあえずドル安が企業業績を押し上げるため好材料と判断しているようですが、それが米国経済とドルの信認が毀損する「悪いドル安」であるなら、それどころではなくなるはずです。

 日本株でも、単純にドル安・円高がマイナス材料であるだけではなく、「悪いドル安」の結果であるなら、その影響はもっと深刻なものになるはずです。

 いずれにしても「あまりにも不用意な」また「大変に高くつきそうな」ドル安容認発言となりそうです。


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コメント
トランプが強いドルが望ましいと発言し、ドルが買い戻されました
穿った見方をすると、これはダボス会議での交渉を有利に進めるためのトランプ流のブラフ、揺さぶりだったのでは?
トランプは無能ではあっても無策ではない人なので、「一度ドル安の恐怖を思い出してくれた方が要求通す分にはええわ」くらいは考えそうですが
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