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何かが変わり始めた世界の金融市場

2018年02月16日

何かが変わり始めた世界の金融市場


 この辺は毎週月曜日配信のメルマガ「闇株新聞 プレミアム」に毎週のように書いていますが、とくにリーマンショック以降の「常識」が変化しているところを中心に解説しておきます。


「常識」 その1) 金融政策が引き締められている国の通貨が強い

 とくにリーマンショック以降、金融政策が引き締められている国の通貨が強いことは常識でした。逆に金融政策が緩和的である国の通貨は弱いはずでした。

 現時点では米国(FRB)は年3回のペースで利上げが行われると考えられており、またFRBは昨年(2017年)10月から保有資産の縮小に踏み切っています。

 それに対して日銀は現在の金融緩和・量的緩和を継続しており、どう考えても緩和が修正されるとは思えません。

 しかし円相場は昨年(2017年)11月上旬の1ドル=114.73円から円高となり、ついに本日(2月15日)は一時1ドル=106.18円と、昨年以来の円高となりました。

 ところが本日(2月15日)の米国長期金利(10年国債利回り)は2.93%と、2014年1月以来の高水準となっています。一方で日本の10年国債利回りは日銀がゼロ近辺に抑え込んでいるため、日米の長短金利差は拡大する一方ですが、円相場は円高となっています。

 これは円高というよりもドル安で、ドルの水準を現すICEドルインデックスは、米国株が上昇し米国長期金利も上昇していた昨年(2017年)11月上旬から突然下落に転じ、NYダウが史上最高値(1月26日の26616ドル)をつける前日(1月25日)に一時88.25と2014年以来の安値となり、昨日(2月14日)も89.00と回復の兆しが見えません。

 少なくともリーマンショック以降の金融引き締め=通貨高、あるいは金融緩和の継続=通貨安という「常識」は、もう使えなくなっている可能性があります。


「常識」 その2) 景気見通しが好調な国の長期金利は高く、株価も高い

 とくに米国では、長期金利(10年国債利回り)の水準は長期債券の需給関係ではなく、米国経済の見通しに大きく影響されていました。リーマンショック以降、FRBが主に長期債を買い入れる量的緩和を継続している時期は、米国経済の見通しが改善するため長期債利回りは上昇しており、逆にFRBが買入れを終了させると米国経済の見通しが悪化するため、長期債利回りも低下していました。

 一般的に米国経済の見通しが改善するときは株高であるはずで、米国長期金利上昇=米国株高=(ついでに)日本株高、逆に米国経済の見通しが悪化すると、米国長期金利低下=米国株安=(ついでに)日本株安となることが「常識」でした。

 日本の長期債(10年以上の国債利回り)も基本的には日本経済の見通しに影響されるはずですが、ここまで日銀が「異次元」に日本国債を買い続けていると、長期債の需給関係が日本経済の見通しより国債利回りに大きな影響を与えることになります。

 ところが2月2日に米国長期金利(10年国債利回り)が2.84%まで上昇したもののNYダウが666ドル安となり、翌月曜日の2月5日にはさらに1175ドル安となってしまいました。この時は発表されたばかりの雇用統計で平均賃金が前年同月比2.9%上昇となり、賃金インフレが「急に」懸念され始めたからです。

 しばらくは株式急落で10年国債利回りが2.70%まで低下したものの、2月8日には与野党の議会指導者が歳出上限を2年間で3000億ドルも拡大することで合意したため、昨年末の大型減税と合わせて財政赤字急拡大=国債の大量発行との連想で米国長期金利が大幅に上昇しました。

 本日(2月15日)の米10年国債利回りも2.92%程度と上昇を続けており、少なくとも米国長期金利の上昇=米国株高=(ついでに)日本株高という「常識」も、もう使えなくなっている可能性があります。

 だいぶ「はしょって」書いたので、ややわかりにくかったかもしれませんが、リーマンショック以降の「常識」である金融引き締め=通貨高、あるいは金融緩和継続=通貨安、さらには経済見通しの改善=長期金利上昇=株高、あるいは経済見通しの悪化=長期金利低下=株安などが、そろそろ使えなくなっていることは理解しておくべきです。

 さしあたっては日銀の金融緩和・量的緩和継続は円安材料ではなくなる恐れがあることになります。


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コメント
現状を漠然としたモノ?のせいにするのは容易で安易なのでは?
起こる事象には必ず要因がある。
金利が上昇すれば株安になるのは「常識」であったはずだが・・・
現状は、為替も含めて関連性が失われている。
日本においては、中央銀行が、人為的に金利を固定し市場から株を購入している。
世界で3番目の市場で行われてることが、この遠因になってるのではないか?
また、金融緩和で市場にあふれる膨大なマネーが従来の常識を越える動きを招いてる。
運用をAIに任せ、メデイアに氾濫するフェイクニュースや安易に使われるワードに、敏感にかつ瞬時に反応ししかも高速取引である。
こういった要因が複雑にからみ、複合して起こってる事なので解析、予測する事は無理なのだろう。
日本も金融緩和を終わらせて、トランプ並みの放漫財政を打ち出した方がかえって円安・デフレ脱却の近道かもしれませんネ
2%で止まればいいけど
年初に出した円高予想が当たりましたね。
お見事です。
決算期の
レパトリの季節でしょうね
>さしあたっては日銀の金融緩和・量的緩和継続は円安材料ではなくなる恐れがあることになります。

そのとおりです。そして、日銀の金融緩和・量的緩和継続は株高にもならない状態がやってきます。そして、日銀の金融緩和・量的緩和継続が景気拡大にもならないことが明らかになってきます。

日銀がオーバーパーで買い込んだ国債の含み損を抱え、その含み損が日銀の自己資本の規模を上回った状態であることを隠しながら、輪転機を回し続けていきます。輪転機さえ回せばいいので、支払い能力はあります。



>日本も金融緩和を終わらせて、トランプ並みの放漫財政を打ち出した方がかえって円安・デフレ脱却の近道かもしれませんネ
2%で止まればいいけど

全くの間違いです。金融緩和も放漫財政も日本の経済成長率を上昇させることはできません。

安倍内閣が自慢しているように、既に完全雇用は達成されています。よって、もはやこれ以上の成長はないのです。

人間の数が減っていけば経済、特に有効需要はそれ以上の成長しようがない。生産性革命などというのは言葉遊びに過ぎず、人間が財やサービスを需要するのですから、需要する経済主体の数が減れば、逆に生産性上昇は供給過剰を生み出すだけのことです。

人間の数を増やすための政策を取れない日本は、もはや経済崩壊の道を進んでいると生物学的な観点から見抜くのが正しいでしょう。
日本の潜在成長率はゼロ%か、あるいはそれ以下だという事実を受け入れていくしかありません。

そのうえで、日本の工業型経済成長モデルが既にアジア各国にコピーされ、陳腐化し、世界レベルでの競争力を失いつつあるという事実も受け入れねばなりません。

さらに人口減少による内需収縮も深刻です。

これらのファンダメンタルズの液状化を金融・財政政策で何とかできるという薄っぺらな考えは捨てねばダメです。

新たな産業政策(官民上げての新産業育成)と社会政策(老人福祉のカットと若年層への投資)を時間をかけてやるしかないでしょう。

ギャンブル立法を可決しているようなモラルの低さを見れば、永田町主導の国家衰退は明白です。

人口減少?
日本の人口減少問題を仰る方がいらっしゃいますが、イギリス、フランス、ドイツといったヨーロッパ先進国は何れも人口一億未満です。
日本の国土を考えれば8,9千万が適当だと思います。
人口が云々おっしゃる方々の論に従うなら、ヨーロッパ諸国は斜陽一辺倒ということになるでしょう。
若者減少といえばいいのでしょうか
>需要する経済主体の数が減れば、逆に生産性上昇は供給過剰を生み出すだけのことです
一人あたりの生産性と消費を増加させることで経済を成長させること、少なくとも大きく衰退させないことは十分現実的に可能でしょう
雑な議論ですが、敗戦時の日本の人口は7200万人で、今は1.2億人ほど。実質GDPは同じ期間にざっと10倍は増えたのだから、一人あたり成長率の寄与が圧倒的に大であることは明らかです
構造的な一人あたり成長率を高めるために有効な政策が構造改革なら構造改革を行えば良く、金融緩和なら金融緩和を、財政政策なら財政政策を、再分配なら再分配を……と粛々と実行していくことが今の日本に一番必要なことです
>日本の人口減少問題を仰る方がいらっしゃいますが、イギリス、フランス、ドイツといったヨーロッパ先進国は何れも人口一億未満です。
>日本の国土を考えれば8,9千万が適当だと思います。
>人口が云々おっしゃる方々の論に従うなら、ヨーロッパ諸国は斜陽一辺倒ということになるでしょう。

現状の人口が重要なのではありません。人口の減り方が文明崩壊の予兆を感じさせるということなのです。

>雑な議論ですが、敗戦時の日本の人口は7200万人で、今は1.2億人ほど。実質GDPは同じ期間にざっと10倍は増えたのだから、一人あたり成長率の寄与が圧倒的に大であることは明らかです
構造的な一人あたり成長率を高めるために有効な政策が構造改革なら構造改革を行えば良く、金融緩和なら金融緩和を、財政政策なら財政政策を、再分配なら再分配を……と粛々と実行していくことが今の日本に一番必要なことです

=>

構造改革なら構造改革?何の「構造」改革を行うのですか?確かに日本は改革すべきことだからけもしれませんが、日本の「構造」を改革するということはどういうことですか?日本にそもそも「構造」と言えるようなものがあるのですか?

金融緩和なら金融緩和?日銀にこれ以上ETFやREITを買わせるのですか?

財政政策なら財政政策?財政破綻寸前の財務省の幹部の頭には、もう増税しかありませんよ。これを無理に抑え込んでいるのは、一強の安倍さんだからできることで、安倍さんの任期満了にともなって、増税路線が噴火するでしょう。そうなれば、また大不況です。

財務省と日銀を合体させ、財務省を日銀の一部門にする以外に解決策はありません。財務大臣は日銀財務課の課長とし、財政のファイナンスはすべて日本銀行が面倒を見るという条文を新憲法に盛り込めないようであれば、日本は財政破綻できっと崩壊するでしょう。

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