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これからのトランプ政権の経済政策

2018年03月09日

これからのトランプ政権の経済政策


 平昌オリンピック開催中に、いつの間にか北朝鮮と韓国が「雪解け状態」となっており、この安直な平和ムードは、のちほど「大変に高くつく」と直感的に考えますが、とりあえず米国政府(トランプ大統領)にとっては戦う材料が1つ減ったことになります。

 それではここからしばらくの間、トランプ大統領は何を最優先課題として戦っていくのでしょう?それは昨年末に成立した大型減税、本年2月7日に打ち出した歳出上限拡大(2018~19会計年度に合計3000億ドルの歳出上限を拡大し、その大半が軍事費の拡大)、さらに3月1日に打ち出した鉄鋼、アルミニウムへの高額関税をはじめとする高圧的な通商政策の3つであることは明らかです。

 とくに最後の高圧的な通商政策は、2017年通年の米国貿易赤字(モノだけ)が7962億ドルもあり、国別に大きい順番から並べると中国(3752億ドル、前年比8.1%増)、メキシコ(711億ドル、同10.4%増)、日本(688億ドル、同0.1%増)、ドイツ(643億ドル、同0.7%減)となります。また2017年通年のサービスを含む米国の貿易赤字は5660億ドル(同12.1%増)となっています。

 当然にトランプ政権はこれら対米黒字国に対しては、米国から富を奪っているなどの高圧的な態度で臨み、その中には「ドル安政策」も含まれているはずです。

 つまりこれからのトランプ政権の経済・通商政策とは、「財政赤字拡大」と「保護貿易」と「ドル安政策」の組み合わせであることは間違いなく、これは米国内ではインフレとなり、国際的には米国資産(とくに長期国債や低格付け社債など)は敬遠される恐れがあります。

 ここでドルは世界の基軸通貨であり、どの国もドルの受け取りを拒否することなど「ありえない」と思っているはずですが、歴史的に見ていくと基軸通貨としての特権を維持するためには「結構」努力しているものです。

 最も最近に強硬な通商政策を掲げていた時代は、クリントン政権の1期目(1993年1月~1997年1月)だったはずですが、その時は対立する国が日本だけであり、ドル安政策と言っても円高・ドル安だけであり、世界的にドル安となっていたわけではありません。対円では1995年4月19日に一時1ドル=79.75円と「当時の最円高」を記録していました。

 ところが1993年1月のクリントン政権発足時に、ゴールドマン・サックス共同会長から国家経済会議(NEC)初代委員長として政権入りしていたロバート・ルービンが、1995年に財務長官に就任していました。すでにお隣のメキシコで通貨危機が起こっていたこともあり、それが米国にまで飛び火しないように「ドル安政策」を止め、財政の均衡、自由貿易の拡大、公共債発行上限に関する議会との調整など、現在と全く正反対の「ドルへの信認を維持する政策」に舵を切っていました。

 世界経済は1997~8年にはアジア通貨危機、ロシア危機などに見舞われましたが、米国(ドル)がそれに巻き込まれることはなく、かえって国際金融におけるドルの信認が上がったように思われます。これは間違いなくルービンの功績でした。
 
 そこでルービン以降のすべての財務長官は、後から出てくる現職のムニューシンを除いて、すべて表向きには「強いドルを支持する」と述べています。

 ルービンがクリントン政権発足時にすぐに財務長官とならなかった理由は、(どの大統領も似たようなものですが)クリントン大統領(当時)も大統領当選に功績のあったロイド・ベンツェン上院議員を「功労賞」で2年だけ財務長官につけていたからです。

 さてここからは現在進行形の話です。

 3月5日に、トランプ政権の国家経済会議(NEC)委員長のゲーリー・コーン氏が辞任しました。コーンはゴールドマン・サックスの社長兼最高執行責任者(COO)でしたが、リーマンショック以前からその地位にあるロイド・ブランクファインCEOが居座っていたためCEOの目が無くなり、トランプ政権入りしていました。

 実際に財務長官となったムニューシンはゴールドマン・サックスの平パートナーだっただけで、そう遠くない時期にコーンが財務長官となって米国の経済政策をリードしていくものと思われていました。つまりクリントン政権時のルービンの役割を、コーンが行うものだと考えられていました。

 ところがこのコーンが政権を去ってしまいました。コーンは以前から辞任説がありトランプとはソリが合わなかったようです。直接の理由は3月1日の鉄鋼とアルミへの高額関税に反対したためだったようですが、トランプ政権の経済政策は「小者の」ムニューシンと、「もっと小者の」ロス商務長官に委ねられることになります。

 ご両名とも(トランプ大統領本人も入れて)、これからの米国経済は、財政赤字拡大と保護貿易とドル安の組み合わせが、最も米国民のためになり、近づく今秋の選挙と2年後の再選を視野に入れると、最も有効な政策であると信じているように思えます。

 米国経済については、少し前から大変に「嫌な予感」がしています。


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コメント
トランプ政権が首尾よく財政赤字拡大、ドル安を実現したとして、我々日本人としては「米国投資のチャンスだ、ラッキー」ということになるのでしょうか?
闇株さんの書き方を読んでいると、ドルが基軸通貨の地位を脅かされる可能性が出てくる事態なのでそれどころではない、というご判断のようですが、果たして本当のところは
これからの安部政権の経済政策
もお願いします
森友問題で近畿財務局職員が自殺しました
元特捜部の人によると自殺者が出る事件は本物だけど罪を全部押し付けたり、捜査困難になって有耶無耶になる事もあるとか
これが原因で政権交代の可能性も出てきましたが、今政治が混乱する事で国際政治や経済にどのような悪影響が出るのでしょうか?
トランプがこれから本気で保護貿易、貿易赤字解消に取り組むというよりは、選挙対策でラストベルト支持層にアピールしているだけという見方もありますが
http://toyokeizai.net/articles/print/196250

トランプはキムジョンウンの家来です。
よって、米ドルは汚らわしい北朝鮮の通貨です。
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