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トランプの強硬通商政策には「円高」で対抗すべき

2018年03月27日

トランプの強硬通商政策には「円高」で対抗すべき


 トランプ政権は3月22日、中国が米国の知的財産権を侵害しているとして、通商法第301条に基づき中国製品に対し500~600億ドルの巨額関税をかける制裁措置を発動し、翌23日には安全保障を理由に鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の高額関税を課す輸入制限も発動しました。

 米国は中国だけを狙い撃ちにしているように見えますが、鉄鋼やアルミニウムに対する高額関税を課す対象国には日本も含まれており、中国だけでなく全世界を相手に貿易・通商戦争を仕掛けていることになります。

 中国は当然のように報復措置を検討しており、差し当たっては米国最大の輸出品であり、その6割を中国が輸入している米国産大豆の輸入停止や、2017年12月末時点で1兆1800億ドル保有している米国債の売却なども示唆しています。

 日米間に限れば本格的な通商問題は、クリントン政権1期目の1993~4年以来ですが、その中で1995年4月19日には1ドル=79.75円と当時の最円高を記録しています。

 またムニューシン財務長官も貿易収支改善のためには「ドル安」も辞さないという「大変に危険な発言」をしており、もっとドル安・円高となる恐れがあります。

 さてこういう状態で日本はどうするべきなのでしょう?

 巷間では今後のドル安・円高に備えるため、追加金融緩和を行い「もっと円安」にすべきとの声もありますが、昨年11月あたりから「金融政策が緩和的である国の通貨が弱い」との常識が崩れており、量的緩和を継続しているはずの日本では円高となり、利上げが行われている米国ではドル安となっています。

 確かにまだ円高は日本株安材料ではありますが、従来よりも大きく反応しなくなっており、実際に1ドル=104円台に入った本日(3月26日)の日経平均は最終的に148円高となっています。

 しかしわざわざ「円高」にする必要もないだろう?あるいは実際に「円高」にするといってもどうするのか?などの疑問が出てくると思います。

 米国の通商政策における最大の敵である中国の人民元は、2014年1月に1ドル=6.03元の史上最高値を付けたあと下落に転じ2017年1月には1ドル=6.96元の安値となりました。その途中で2度ほど人民元ショックで世界の株価を下落させましたが、本日(3月26日)夕方には1ドル=6.28元まで上昇しています。

 中国政府もこのタイミングで米国から通商戦争を仕掛けられるとは思っていなかったはずですが、それでも2017年からの元高政策は変更していないことになります。

 日本の金融・為替政策も、円安にして一部の輸出企業を潤わせて株式市場だけを好調にするか、円高にして海外から見た日本の資産価値を上昇させて世界から投資資金を集めた方がいいのかは、ちょっと慎重に考えてみるべき時期に来ています。

 というより2017年の1年間で、海外投資家が日本の中長期国債を差し引き11兆円も買い越していました。10年国債でも利回りがほとんどゼロである日本国債を、海外投資家が高利回りや値上がり期待で購入したとも思えず、将来の円高狙いであったはずです。

 それでは日銀の金融政策はどうするべきなのでしょう?

 僭越ながら本誌の考えをご紹介しますと、まず政策金利(短期金利)のマイナス0.1%は撤廃し、ゼロに戻すべきです。もともと直近で368兆円もある日銀当座預金のうち20兆円ほどへの金利を象徴的にマイナス0.1%にしているだけで、残る200兆円以上にはいまだに0.1%の金利を支払っているため、そもそも「見せかけの」マイナス金利だからです。

 しかしこの見せかけのマイナス金利で日本中の資金需要が大きく落ち、貸出金利も平均で1.0%を大きく下回らせたことは事実で、銀行の収益も含めてプラスは何もなかったはずです。その代わりにまだ200兆円もの当座預金に支払っている0.1%の金利もゼロにすべきです。

 そうなると368兆円ある日銀の当座預金残高が不安定になり、保有国債のファイナンスも不安定になってしまうかもしれません。旧大蔵官僚は決して口に出しませんが、「異次元」量的緩和の本当の目的は国債を大量に買うことよりも、その原資を今のうちに銀行預金から吸い上げて(利息を支払って)将来にわたって固定しておくことだったはずなので、そういう意味では「簡単に賛成できない」かもしれません。

 さらにゼロ近辺に「釘付け」されている10年国債の利回りはどうするべきなのでしょう?ここはその目標利回りをわざわざ変動させて国債市場を混乱させる必要もありませんが、2月の全国消費者物価が生鮮食品を除いて前年同月比1.0%も上昇している中で、10年国債利回りがゼロというのも辻褄が合いません。それより物価上昇以上に(2019年10月には消費増税もあるため、それも加えた以上に)賃金を上げなければ消費が維持できませんが、それもなかなか難しいはずです。

 それだったら円高にして輸入物価を下げ、実質的な消費活動を維持させた方が「簡単」です。

 最後に金融政策の目標は5年間も「2%の物価上昇」としていますが、そもそも日本だけでなく世界的に潜在成長率もインフレ率も低下している中で、2%に据え置いても現実的ではありません。1%くらいでいいと思いますが、どうせなら国民に負担を押し付けるだけの物価上昇目標ではなく「円高目標」に代えてしまうべきです。

 少なくとも日本の金融資産に対する評価が急上昇し、世界中から資金流入が続き、日本はスイス並みの金融立国を目指すべきです。
 
 これらは決して「ふざけて」書いているわけではなく、本誌を書き始めて2度目の「真剣な提言」です。前回は2012年5月28、29、31日に「もっと日本の戦略的通貨戦略について考える」「同その2」「同その3」で、当時70円台だったドルを(国債を増発して)100億ドル買うべきと提言して以来となります。

 つい長くなってしまいました。


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コメント
世界の市況も政局も外交も突然
真逆に動いてわけわからん
円高で対抗というよりも、相手にされない国になることが重要。相手にされるから面倒になる。相手にされないことが、安定への道だ。
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