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したたかな中国の市場開放政策

2018年04月11日

したたかな中国の市場開放政策


 米中間の通商戦争が激しさを増す中、習近平国家主席は本日(4月10日)、中国内市場を外資にさらに解放する方針を示しました。具体的には中国で証券や保険、自動車製造などを営む場合に、外資の過半出資を認めるようです。

 また自動車などの関税を下げて輸入を拡大する方針も示し、あわせて米国との通商戦争を回避する方針のようです。

 これに加えて、あまり報道されていませんが、中国は人民元の対ドル相場をじりじりと上昇させており、本日の人民元相場は1ドル=6.28元台となっています。これは本年初めの1ドル=6.50元、2016年12月の1ドル=6.96元(これがここ数年の最元安)から明らかに元高政策に転換していることになります。

 ちなみに人民元の歴史的高値とは2014年1月の1ドル=6.03元で、そこから徐々に2016年11月まで人民元安としたため、逆に中国からの資金流出を加速させ(人民元は持っているだけで目減りすることになるから)、たびたびの上海市場の株価暴落と中国経済への不安が増大してしまいました。

 つまりトランプ政権の対中国(だけとは限りませんが)の通商戦争は、中国企業の米国進出についてはCFIUS(対米外国投資委員会)を通じて実質的にストップし、中国からの輸入品に高率関税をかけて輸入量を抑え込み(米国内の同業会社に代替させて米国景気を回復させるつもりのようです)、あわせてドル安として貿易収支を改善させようとしています。

 ここで中国は、今回の米国との通商戦争を「うまく」利用して、明らかに世界の投資資金を中国に集め、関税も引き下げて同時に人民元も高くして、世界中から製品や資源を割安で輸入して中国経済を成長させようとしていることになります。

 要するに米国(トランプ政権)と中国(習近平)の通商戦争対策は、すべてにおいてほぼ正反対であることになります。

 また米国を含む世界経済が平常時であれば、中国も今回のようにいっぺんに「金融市場などで外資に過半出資を認める」や「関税引き下げ」や「人民元の高め誘導」を行えば、中国経済に一時的ショックが走ることになり、なかなか踏み切れなかったはずです。

 しかし今回は、米国(トランプ政権)のほうから勝手に関税引き上げなど輸入制限を行い、さらにドル安政策にまで踏み切ってしまいました。

 さてこの状態で、まず米国と中国以外の国では、どちらの国に直接投資し、どちらの国で(金融などの)ビジネスを新たに始め、どちらの国に証券投資を行うでしょうか?

 さすがに世界中が米国への投資(直接投資も証券投資も)を止めて、中国に投資するようになるとは思いませんが、少なくとも米国への投資が減り、中国への投資が増えることは間違いありません。

 もちろん中国には政治リスクがあるため、直接投資でも証券投資でも「大きな障害」にはなりますが、ここで習近平国家主席が自ら市場開放や関税引き下げに言及し、その目的は対米摩擦の緩和のためであると発表すれば、何をするかわからないトランプよりはるかに「話のわかるトップ」であると思われるようになるかもしれません。

 為替市場だけを見ても、米国はドル安政策、中国は元高政策となるため、普通の投資家であれば米国への投資を減らして中国への投資を増やそうと考えるはずです。やや違った表現になりますが、中国はこの機会を利用して「人民元の国際化」も一気に進めてしまおうと考えているはずです。

 翻って日本はどうなっているのでしょう?米国の通商拡大法232条による鉄鋼製品に対する25%、アルミニウムに対する10%の関税は、今月初めから日本製品にも適用されていますが、政界にも産業界にも全く緊張感がありません。

 そして黒田総裁の2期目に入った日銀の基本政策も全く変わらず、2%の物価上昇目標を掲げたまま現行の金融緩和・量的緩和を維持し、仮に米国がさらなる「ドル安政策」に踏み切れば、さらに追加金融緩和を行い「さらなる円安政策」を強行してしまいそうです。

 日本政府はトランプ政権と面と向かって通商戦争に対峙できないのであれば、せめて効き目のよくわからなくなった金融緩和・量的緩和など「さっさと」やめてしまい、円高政策に切り変えるべきと考えます。

 そうすると日本の金融市場はさすがに中国の金融市場に比べれば進化しているため、中国ではなく日本に世界から投資資金が集まることになるはずです。資源も国際的政治力も乏しい日本は、少なくとも人民元より早く「円の国際化」を進め、「強い円」を武器に世界における存在感を発揮していかなければなりません。

 そこも中国に先行されるようであれば、どうしようもありません。


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コメント
中国がTPPに加盟したいと希望してきたら、日本としては拒否する理由があるのですかね。

TPPをどんどん拡大できれば、日本にとってプラスですよね。

中国もインドといった人口の大きな国家にはどんどんTPPに加盟してもらいましょう。仲良くしましょう。



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