闇株新聞 the book


闇株新聞 the book
発売中です。
よろしくお願いします。

スプリントとTモバイルが合併合意

2018年05月02日

スプリントとTモバイルが合併合意


 ソフトバンクグループ(以下、ソフトバンク)が83.02%を保有する米携帯電話第4位のスプリントと、ドイツテレコムが62.28%を保有する同3位のTモバイルUSが4月30日、2019年前半をめどに合併することに合意したようです。

 米携帯電話は、ベライゾンとAT&Tの2強がトップを争い、次世代通信規格「5G」を巡る巨額投資負担も必要となるため、Tモバイルもスプリントもそれぞれ単独での生き残りが難しいと考えられており、ここ数年は何度か合併交渉を行っていました。

 ソフトバンクは2013年7月に、当時は米携帯電話第3位だったスプリント(当時はスプリント・ネクステル)の78%を216億ドル(当時の為替で約2兆円)で買収すると、翌2014年夏には同4位のTモバイルを買収しようとしましたが、FCC(連邦通信委員会)に自由な価格競争が阻害されると反対され、引き下がりました。

 ところが2015年6月にTモバイルが契約者数でスプリントを抜いて第3位に浮上し、その後もスプリントは引き離されていくばかりでした。それでも強気のソフトバンク・孫社長は、トランプが大統領に当選するとすぐに会いに行き、トランプもFCC委員長に規制緩和派のアジット・パイ氏を指名し、再び合併の機運が高まりました。

 ところが2017年6月に開始された2度目の合併交渉では、すでに業績や時価総額でTモバイルに大きく差をつけられていたにもかかわらず、スプリントが(ソフトバンクが)経営主導権の確保にこだわったため、これも当然のように破談になってしまいました。

 そして今回は3度目の合併交渉が始まったばかりでしたが、スプリントが(ソフトバンクが)あっさりと経営主導権を諦め、Tモバイル主導の合併を呑み今回の合意に至りました。

 報道されている合併案とは、Tモバイルとスプリントは完全に合併して新会社を設立し、Tモバイルの親会社であるドイツテレコムが新会社の議決権の41.7%、スプリントの親会社であるソフトバンクが同27.4%を保有し、残る30.9%が両者の少数株主が保有することになります。

 また新会社の取締役14名のうちTモバイル側がCEOのレジャー氏(元・TモバイルCEO)を含む9名を選び、スプリント側は孫社長とクラウレ・スプリントCEOを含む4名だけとなるようです(残る1名は不明です)。またクラウレ氏は「ちゃっかりと」85億円相当のゴールデン・パラシュート(早期にクビになったら支払われる)もせしめたようです。

 また合併比率はTモバイル1株に対してスプリント9.75株の割合で新会社の株式が交付されますが、発表後となる4月30日の終値で見るとスプリントは14%も下落して1株=5.61ドル、Tモバイルも6.2%下落して1株=60.51ドルとなっています。

 両方とも株価が下がってしまった理由は、株式市場では今回の合併もFCCの承認が得られないだろうと懸念しているからのようです。また今回は合併する両社とも親会社が米国外の企業であるため、対米外国投資委員会(CFIUS)の承認も必要となります。

 以前よりも規制緩和的になっているはずのFCCですが、2017年11月にはAT&Tによる850億ドルのタイム・ワーナー買収を、同業買収ではないにも関わらず差し止めてしまい(タイム・ワーナー傘下にトランプ批判の急先鋒であるCNNがあるからだと思いますが)、本当に規制緩和的なのかどうかもわかりません。

 つまり承認されるかどうかは、全くの五分五分と考えられています。

 ソフトバンクはスプリントの経営主導権を実質放棄した代わりに、4兆円をこえるスプリントの有利子負債(年間の利払いが2700億円だそうです)を新会社に押し付け、今後も膨大に必要となる「5G」関連の投資も直接は負担する必要がなくなり、直近で14兆円もある連結有利子負債もかなり軽減することができるはずです。

 またソフトバンクといえば本年初めに国内携帯電話事業を別会社にして新規上場させ、その3割程度を売り出して2兆円ほど資金化する計画を発表していました。1月16日付け「ソフトバンクが傘下の携帯事業会社を上場させる?」に書いてあります。

 この辺から考えられることは、孫社長はすでに内外の携帯電話事業に対する情熱を失っており、せっせと投資資金を回収してAIやEVなど世界の新規事業への投資に軸足を移していることになります。また昨年スタートした10兆円の「ビジョン・ファンド」の投資先選定も急いでいるようです。

 今回のスプリントは、完全株式交換なのでその「投資収益」を弾くことは難しくなりますが、スプリント買収時はドルを80円台で事前に調達していたはずで、少なくともプラスであることは間違いありません。

 ただソフトバンクの収益や財務体質の拡大を支えてきた「規制に守られて大儲けが約束された官製寡占事業」まで投資資金の回収対象と考え、その膨大な利益を提供してくれた国内の利用者に十分な還元をすることもなく、世界中の「まだまだこれから」という新規事業ばかりに巨額資金をつぎ込む現在の孫社長の姿は、見ていてやや不安になります。


ダイヤモンド版「闇株新聞プレミアム」のお申し込みはこちらから
インフォカート版「闇株新聞プレミアム」のお申し込みはこちらから

Ads by Google

コメントをする⇒
| Comment:0 | TrackBack:0
関連記事
コメント
コメントの投稿
闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム
Ads by google
Ads by Google
最新記事
最新コメント
全記事表示リンク
フェイスブック
カテゴリ
カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

10月 | 2018年11月 | 12月
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -


ブログ内検索
Loading
お問い合わせ

※ページが見れない・表示されないという方はお手数ですが、原因究明のためお使いのOSとブラウザを記述の上お問い合わせ頂けますようお願い致します。

名前:
メール:
件名:
本文:

闇株新聞プレミアム

各種メディアに掲載されている闇株新聞の裏・・・

闇株新聞プレミアム