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混迷深めるイタリア政局 波乱がありそうなユーロ

2018年05月30日

混迷深めるイタリア政局 波乱がありそうなユーロ


 久々にNY時間終了まで様子を見ていたため、早朝の更新となります。

 3月4日に行われたイタリアの総選挙以降、積極財政策など大衆迎合主義(ポピュリズム)を掲げる「五つ星運動」と、EU懐疑派で移民排斥を(さらにはEU離脱まで)掲げる極右「同盟」が連立政権を目指し、5月23日に一旦は法学者のジュセッペ・コンテ氏が首相候補に指名され組閣に取り掛かっていました。

 イタリアでは上下院議員と各州の代表者の投票によって選ばれる大統領(現在はマッタレッラ氏)が、首相の指名や議会の解散、軍隊の指揮などの権限を持ちますが、コンテ氏を首相に指名したマッタレッラ大統領が「五つ星運動」の推すユーロ懐疑派のパオロ・サボナ氏の財務相指名を拒否し、5月26日に新たにIMF財政局長などを歴任したコッタレッリ氏を新首相行候補に指名しました。

 しかし親EU派で財政再建派でもあるコッタレッリ氏は、「五つ星運動」と「同盟」が多数を占める議会の支持を得られるはずがなく、一気に再選挙となり、積極財政(つまりバラマキ)を掲げる「五つ星運動」と反EU・反移民を掲げる「同盟」がさらに躍進すると予想され、市場はイタリアの放漫財政が進むとの警戒からイタリア10年国債利回りが5月上旬の1.7%台から昨日(5月29日)には3.16%まで上昇しています。

 イタリアの10年国債利回りはギリシャなどの財政危機・金融危機がイタリアやスペインにまで飛び火した2011年には7.7%まで上昇していますが、2015年以降はECBによる量的緩和もあり1~2%で推移していました。

 もともとイタリアの公的債務はGDPの130%にもなる2兆3000億ユーロ(300兆円)もあり、もちろんユーロ圏では断トツの1位で、世界でも4位に位置しています。さらにそのうち7000億ユーロ(90兆円)が非居住者(その大半がドイツなどユーロ圏諸国)の保有となっています。

 あまり知られていませんがユーロ構成国の中央銀行間には「ターゲット2」という決済システムがあり、中央銀行間の資金の過不足を調整しています。この最大の恩恵を受けている国がイタリアで、イタリア中央銀行が「ターゲット2」を通じてドイツ連邦銀行(中央銀行)などから4430億ユーロ(58兆円)も借り入れています。

 もともとユーロを統一通貨とするEUとは、1951年にドイツ、フランス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、イタリアといった旧フランク王国の6か国で発足したECSC(欧州石炭鉄鋼共同体)が原型で、以降この6か国が中心となってEU拡大・ユーロ導入が行われてきました。

 要するにそんなEUとユーロのオリジナルメンバーであるイタリアで、反ユーロ・放漫財政・反移民・果てはEU離脱まで掲げる政権が再選挙により誕生する可能性が大きくなったわけです。

 その5月29日の世界の金融市場は、当のイタリア株式(MIB指数)が581ポイント(2.85%)安の21350ポイントと、直近の高値となっていた5月7日の24544ポイントから13.0%も下落しています。

 またDAXなど欧州株式も軒並み急落しており、NYダウも391ドル(1.58%)安の24361ドルと「意外に大きく反応」しています。もっとも最近の米国株式市場で最も要注意とされていた長期金利(10年国債利回り)は、5月17日の3.11%から2.78%まで急低下しています。

 為替市場ではもちろんユーロが売られており、対ドルではすでに4月中旬の1ユーロ=1.24ドル台から、5月29日には一時1ユーロ=1.1510ドルまで下落しています。対円でも4月中旬の1ユーロ=133円台から、やはり一時1ユーロ=124.62円まで下落しています。

 円は対ドルでもつれ高しており、本日(5月30日)早朝には、1ドル=108.56円まで円高となっています。

 少し前までは、ユーロの下落は米国長期金利の上昇によるドル高・ユーロ安と考えられていましたが、ここで米国長期金利低下・イタリアの財政問題と「材料」が入れ替わってしまったことになります。

 もう少し長い期間で見てみると、リーマンショック以降のユーロは対ドルで、ギリシャなどの財政危機が何度もあったにもかかわらず1ユーロ=1.2ドルが強固な下値抵抗線となっていました。

 ところがECBが量的緩和に踏み切った2015年1月に「あっさりと」割り込み、2017年1月には1ユーロ=1.034ドルまで下落していました。2017年後半から欧州経済が持ち直しECBの量的緩和の減額・終了が予想されはじめたため、ユーロは2017年9月には1ユーロ=1.2ドルを回復し、2018年2月には一時1ユーロ=1.255ドルまで上昇していました。

 ところでこの1ユーロ=1.2ドルとは、ユーロの取引開始以来の取引中心値でもあり、重要なポイントとなりますが、ここからは次回となります。


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コメント
イタリアよりも混乱しているのは米国だ。
米株主導で世界株は下落していく。
当事者に自省の念がないため、底なし沼になるだろう。

ホワイトハウスはゴールドマンサックスの世界株空売りに貢献している。感謝しているゴールドマンサックスは、どんどんホワイトハウスに献金するだろう。そして、また米国株、そして世界の株式を空売りだ。
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