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復活する米朝首脳会談の裏側

2018年06月01日

復活する米朝首脳会談の裏側


 いったん6月12日にシンガポール開催が決まっていた米朝首脳会談が、5月24日にトランプ大統領により突然に「中止」と発表された直後から、関係各国の水面下の動きが本格化してきたようです。

 そもそも米朝首脳会談の目的は、米国は北朝鮮の「完全な非核化」とくに米国領に届く核弾頭搭載のICBM開発の停止、北朝鮮は経済制裁の解除や「できれば」米朝国交開始であるはずで、GDPが米国の数百分の1しかない北朝鮮が渾身の国力で核開発を行い、その開発停止を切り札に見事に米国から「大きな妥協」を引き出す寸前まで漕ぎつけていました。

 もっとも北朝鮮は金正日総書記時代の1993年に核拡散防止条約(NPT)を脱退し、核実験と弾道ミサイル発射実験を繰り返したため、当時のクリントン大統領が寧辺(ニョンビョン)への空爆を検討したことがあります。そこで北朝鮮が「ソウルを火の海にする」などと渾身のブラフをかけたことからクリントンが空爆をあきらめ、結局のところ北朝鮮がそれまで進めていた核開発を凍結することを条件に、米国が軽水炉2基と重油を年間50万トン供給する「米朝枠組み合意」まで妥協してしまいました。

 もちろん北朝鮮の核開発凍結は完全に反故にされ、今日の北朝鮮の「核の脅威」となりますが、今度は金正恩がそれを再び持ち出して米国から「大きな妥協」を引き出そうとしていることになります。

 それでは今回、いったんは6月12日開催で合意していた米朝首脳会談が「中止」となった背景は何だったのでしょう?

 直接の理由は北朝鮮が5月16日の「南北閣僚級会談」をドタキャンしたとか、北朝鮮高官が「米朝首脳会談も考え直さなければならない」などと大きな態度を見せ始めたことにトランプが激怒したからとされていますが、ここはちょっと考えてみる必要がありそうです。

 この北朝鮮高官とは崔善姫・外務次官のことですが、彼女は長く北朝鮮北米部長を務めた北朝鮮でも「最もまともな外交官」であるはずです。その彼女の発言としては違和感があり、かなり誇張されているような気がします。

 さらに北朝鮮は5月9日にスパイ容疑で拘束されていた3人の韓国系米国人を「先に」開放しており、またトランプが米朝首脳会談の「中止」を宣言するまさに数時間前には、予告していた通り豊渓里の核実験施設の廃棄(坑道入り口の爆破)も実行していました。

 一部には金正恩が5月7~8日に二度目の訪中(大連)を行い、習近平が改めて「後ろ盾」であることが確認されたため、その辺から金正恩の態度が大きくなったともいわれています。もともと朝鮮半島と中国東北部の利権は江沢民派が独占していましたが、習近平は昨年秋の共産党大会で江沢民派を一掃し、ようやく朝鮮半島利権を手にしたことは事実です。そこで金正恩も本年3月末に初めて訪中しています。

 しかしこれから米国と厳しい通商交渉を行う必要のある習近平が、北朝鮮カードを確保しておく必要はあっても、そこでわざわざ米朝首脳会談を「中止」させるよう圧力をかける必要もないように思えます。

 つまり米朝首脳会談を「中止」に追い込んだのは、米朝接近を警戒する中国(習近平)の圧力でもなさそうで、結局のところ主導権を確実に握り、米朝首脳会談の効果を世界的なものに拡大したい(もちろん本年秋の中間選挙対策です)トランプの仕掛けた作戦だったと考えます。

 実際にトランプは5月24日に「中止」と発表した時も、決して金正恩を批判せず、むしろいつでも(金正恩からの働きかけを)待っていると繰り返していました。そして米朝首脳会談に向けての水面下の「本当の動き」は、むしろこの時から始まったといえます。

 真っ先に動いたのは韓国の文在寅で、5月26日には予定になかった南北首脳会談を板門店で再度行い、金正恩から「完全な非核化」の意思を引き出すと、今度はトランプに「再考」を必死に働きかけました。

 そして北朝鮮も現地時間5月31日に最側近の金英哲・朝鮮労働党副委員長を18年ぶりに米国に派遣し、同5月31日までの2日にわたってポンペオ国務長官と会談しています。金英哲・副委員長は金正恩・委員長の親書を携えていると思われます。

 また同時に板門店とシンガポールでは、米朝間の実務者協議が行われており、当初の予定通り6月12日にシンガポールにおいて米朝首脳会談が行われる「準備」が整ってきているようです。その直前の6月8~9日にはカナダで先進国首脳会議(G7、シャルルボア・サミット)が行われるため、トランプにとっては絶好の「下準備」の機会となります。

 また5月31日には、ロシアのラブロフ外相まで北朝鮮を初めて訪問し、金正恩と会談しています。世界的に北朝鮮の「立場」が上がったことは確実です。

 翻って安倍首相はシャルルボア・サミットの直前に訪米し、拉致問題を議題にするようトランプに依頼するようです。出遅れ感が否めません。


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コメント
核実験廃止ロケット実験中止に続き
軍事パレードも今後中止するんでしょうか?
北は方針大転換で
国内対策も大変そうですね
闇株新聞の編集においては、是非とも左翼思想を排除して、左右まったくどちらにも偏らない公平な視点での分析をお願いしたいですね。
左翼臭がしたり右翼臭がしたりすると興覚めですし、信憑性が低くなり、週刊女性と変わらなくなる。
プレミアム加入前提でしばらく無料版を読ませてもらいます。
日本は黙って静観するのみ。

北を援助と支援できるのは、日本だけ。

日本がカネを出さないといえば、黙っていても、北がすり寄ってくる。
最近更新頻度が非常に低くなってきましたが何かあったのでしょうか?

体調を崩した、多忙になった、などが考えられますが単に休みますだけでなく近況報告もあると納得できます
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