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FRBが予定通り利上げ

2018年06月15日

FRBが予定通り利上げ


 FRB(連邦準備理事会)は6月13日まで開催されていたFOMC(連邦公開市場委員会)で、政策金利であるFF翌日物誘導金利を0.25%引き上げ、1.75~2.0%としました。

 今回の利上げそのものは市場で確実視されていましたが、本年(2018年)における利上げ回数が3回(つまりあと1回)から4回(あと2回)に引き上げられたと伝えられたこともあり、NYダウが119ドル安の25201ドルとなりました。

 FOMCとは、FRB理事7名と、全米に12ある地区連銀総裁からNY連銀総裁を含む5名が交代で投票権を持ち、過半数の賛成で承認されます。ところが現時点におけるFRB理事は、パウエル議長、クォールズ副議長、ブレイナード理事の3名だけで、4名が空席のままです。理事の指名権があるトランプ大統領がグッドフレンド教授ら3名を指名していますが、議会(上院)の承認が遅れており、まだ就任できていません。

 つまり今回の(今までもそうですが)FOMCは3名のFRB理事と5名の地区連銀総裁の合計8名で評決され、今回は全員賛成で利上げとなりました。またFOMCは年8回開催されますが、その後にパウエル議長の記者会見が行われるのは4回(3、6、9、12月)だけで、ここのところ金融政策はこの4回のFOMCで変更されています。

 パウエル議長は今回の記者会見で、年8回のFOMC終了後すべてに記者会見を行うと公表しましたが、それで利上げ回数が増えるわけでもないため、あまり気にする必要はありません。

 ここで今回、本年(2018年)の利上げ回数が3回(つまりあと1回)から4回(あと2回)に引き上げられたとされますが、もちろんパウエル議長が記者会見でそう言ったわけではありません。

 FOMC終了後に、3名のFRB理事に、すべての地区連銀総裁の12名を加えた15名(FRB理事の空席がすべて埋まれば19名となります)による、各年末の政策金利予想を図表化したドット・チャートが公表されます。そこで前回まで年3回と予想していた1名が今回は年4回に変更したため、その中央値が年3回から年4回に動いてしまっただけの話です。これもそれほど気にする必要はありません。

 また来年(2019年)は前回までと同じ年3回の利上げと予想されていますが、この通りとなれば本年末の政策金利は2.25~2.5%、来年末には3.0~3.25となります。

 さてこれを見た(確かに多少はタカ派=引き締め的に見えなくもありませんが)6月13日の金融市場はどのように動いたのでしょう?

 まず米10年国債利回りは一時3.01%まで上昇しましたが、結局は2.96%と前日までとほとんど変わらない水準で終了しました。いつも言うように米国の短期金利(FF金利、短期国債利回り、せいぜい2年国債までの利回りなど)は人(FOMCメンバー)が決定しますが、長期金利(その代表が10年国債利回り)は米国経済に対する市場の見通しを反映するため、それぞれが連動するとは限りません。

 この米国の長短金利差はすでにリーマンショック前の2007年のレベルまで縮小していますが、FRBが予定通りのぺースで来年末まで利上げを継続すれば、当然に米国経済の減速要因となるため長期金利がそれほど上昇するとも思えず、長短金利差が一層縮小してしまうことになります。

 株式市場でも利上げはプラス材料であるため株価が上昇するはずの金融株が、この利鞘(長短金利差)の縮小傾向から収益がそれほど拡大しないと見たのか、軒並み下落しています。

 リーマンショック以降、米国をはじめとする世界各国経済の潜在成長率が逓減しているため、物価がそれほど上昇せず、何よりも長期金利がそれほど上昇していません。

 本誌は米国経済がこの利上げペースについていけず、どこかでFRBは利上げを中断するかペースをスローダウンさせるかの判断が求められると考えます。その時こそ急激なドル安・円高になると考えています。いつも指摘していますが、今後の米10年国債利回りの水準は「とくに注目しておくべき」と考えます。

 その為替市場ですが、発表直後に一時1ドル=110.84円までドル高・円安となりましたが、本日(6月14日)の東京市場では1ドル=110円台前半の動きとなっており、これ以上のドル高になるようには見えません。

 またドルの水準を表すICEドルインデックスも、わずかながら下落しています。

 つまり今回の利上げ直後の各市場の動きを見る限り、予定通りの利上げだったとはいえ、米国経済は利上げを来年末まで継続しなければならないほど過熱しているようには見えません。

 最後にFOMC後の報道を見て「あれっ」と思ったところは、FRBも量的緩和時に大量に買い込んだ米国債やMBSを、Reserve Balances(日銀の当座預金に相当)でファイナンスしていますが、それに対する付利は政策金利の上限が適用されています。つまり今回の利上げでその付利が2.0%になるはずですが、それが何と1.95%と0.05%だけ低くなっています。

 意味がよくわからず、大変に気になっています。こういう細かいところが、あとになって重要な意味があったとわかることがしばしばあるからです。


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