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バーナンキ講演の注目点

2011年08月25日

バーナンキ講演の注目点

 今週金曜日(8月26日)のバーナンキFRB議長の講演が注目されています。

 追加の金融緩和があるとの期待から、昨日(8月23日)のNY株式市場は322ドルほどの上昇となりました。最近の弱い経済指標が、かえって追加の金融緩和を期待させ、株式が上昇するという皮肉な現象になっています。

 米国当局の優先順位は、1)米国株の上昇、2)米国経済の回復(含む雇用回復)の順番で、後はありません。つまり他国の経済がどうなろうと、ドルがいくら安くなろうと全く気にしていないのです。
1) と2)の順番が逆のように思えますが、米国は歴史的にも、まず株式市場が上昇する
と市場心理の好転と資産効果から実体経済が回復していくので、まず株式市場が上昇するような政策をとるのです。

 さて、このバーナンキ議長の講演で、どうしても確認したいことが3点あります。

 まず第1に、「金融抑制」についてどう考えているか?です。
 「金融抑制」とは、直接的・間接的方法で金利の上昇を抑え込むことで、直接的方法とはまさにFRBによる国債買い入れのことで、間接的方法としては銀行や機関投資家が融資などのリスク投資を抑えて国債投資を増やすような環境を作ることです。

 「金融抑制」は、国債の利回りを不当に安く抑え、財政負担を少なくするものの、その負担(運用利回りの低下とか、リスク資産への投資が減るとか)が民間に押し付けられるため好ましくないとされています。

 これに対してFRBはどう考えているのかを知りたいのです。つまりQE3(第三次量的緩和)をやるにしても、やらないにしても、そもそもFRBとしては量的緩和(つまり「金融抑制」)に肯定的なのか、否定的なのかを知りたいのです。
 5月19日付け 「金融抑制の弊害」をご参照ください。ちなみに、この時点での米国10年国債の利回りは3.1%台でした

 2番目は、そもそもFRBは、量的緩和(結局FRBによる国債買い入れしかないのですが)が、米国国債利回りを低下させるのと思っているのか、上昇させると思っているのかを知りたいのです。

 米国債券市場で一番影響力のある(もちろんFRBに対しても)PIMCOのビル・グロス氏は、本年6月のQE2の終了前に、「政府という買い手を失った米国国債は、格下げリスクもあり、インフレ率を考えると実質マイナス金利なので、だれも国債を買わなくなり利回りは上昇する」と言っていました。

 6月19日付け 「債券相場の行方」に書いてあるのですが、畏れ多くも私見としてビル・グロスの意見に反対だと書きました。ちなみに、その時点での米国10年国債利回りは2.9%台でした。

 最後に、6月20日付け「米国金融政策の先を読む」に書いてあるのですが、当時から金融の量的緩和だけでなく、国債利回りに上限を設ける可能性がありました。国債利回りの上限を設けることにより、金利上昇の不安を取り除こうということです。

 事実FRBは8月10日に、現在の実質ゼロ金利を2013年半ばまで続けると発表しました。これは確かに2年国債の利回りを低下させる効果があり、実際に発表直後に2年債利回りが0.15%まで下がり(現在は0.21%)、10年国債利回りも2%すれすれまで低下しました。

 まさに、FRBに思惑通りになっているのですが、ここで知りたいのは、この考え方をさらに広げるのか、維持するのか、訂正するのかです。

 大変畏れ多いのですが、私見を述べさせていただきます。

 第1の「金融抑制」は、市場がリスク回避の運用に走るのは、経済の見通しが悪いからで、FRBが量的緩和するからではありません。従って量的緩和の弊害はありません。

 第2の「国債利回りの低下」も、市場の経済見通しが悪いからで、ここで逆に量的緩和を含む追加金融緩和をとれば、まず株式市場が上昇し(8月23日の322ドル上昇は、これを暗示しています)、それにつれて市場の経済見通しが好転し、実際の経済活動が回復し、
結果として国債利回りが上昇するはずなのです。
 米国国債は、FRBが買うから利回りが低下するのではなく、買わないから経済見通しが悪化して利回りが低下しているのです。

 第3の、「国債利回りに上限」を設ける方法は、はっきりと言って間違いです。繰り返しですが、経済見通しが好転すれば、国債利回りは自然に上昇するため、利回りの上昇を止めることは意味がないだけでなく、逆に経済見通しの好転を阻害する可能性があるからです。
 国債利回りが低下するから、心理的に経済見通しが好転せず、実際の経済活動の回復を阻害しているとも言えるのです。

 結論から言いますと、FRBは国債買い入れを含む、思い切った量的緩和策をとり、市場心理を好転させなければならないのです。そうすると国債利回りも上昇するものなのです。

 翻って、日本も同様の金融量的緩和を行わないと、もっと円高になってしまい、日本経済がいつまでたっても浮上しないのです。
 その金融量的緩和とは、ETFを買い入れることではなく、正攻法の国債買い入れ(月額1兆8000億円)を期限付ででも思い切って増額することしかないのです。
 
 そういえばMoody’sが日本国債をAa3に格下げしたようですが、目立った反応はありません。
 それより、米国東海岸の地震の方が気になります。米国東海岸は西海岸と違い地震がないはずなのですがNYもワシントンも揺れたようです。地震への備えが全くない地域ですから、いざというときはパニックになります。

平成23年8月25日

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わかりやすい解説ありがとうございます。米国東海岸で地震があったようですが、あんなに高層ビルがある東海岸は歴史的に地震は本当に無かったのか心配ですね。
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