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旧・日債銀の経営陣への無罪判決とその背景 その2

2011年09月06日

旧・日債銀の経営陣への無罪判決とその背景 その2


 先回の続きです。

 破綻した旧・日債銀と旧・長銀の経営陣(破綻させる原因を作った経営陣ではなく、破綻時にたまたま経営陣だった人々)への無罪判決が出ているのですが、そもそもなんでこんな「無理筋」を事件化したのかを考えて行くと、どうしても旧大蔵省と検察庁の勢力争いの構図が見えてくるのです。

 全ての省庁(検察庁が組織的に属している法務省も含む)の予算配分権を握っている旧大蔵省と、捜査・逮捕・起訴権を独占的に持つ検察庁の「暗闘」なのです。
怖いのは、その外部から伺い知れない「暗闘」の弊害が、必ず民間につけ回されていることなのです。

 1994年に表面化した東京の2信用組合の乱脈融資事件で、理事長の高橋治則(イ・アイ・イ代表・2005年7月に死亡)を特捜部が逮捕したものの、その高橋から金銭の提供を含む常識外れの接待を受けていた大蔵省の2名のキャリア官僚(主計局次長だった中島義雄と東京関税長だった田谷廣明・ともに自主退職)には切り込めず、検察内部に不満が残っていました。

 1997年の総会屋・小池隆一への利益供与事件で大手証券・大手銀行の現職経営陣が軒並み逮捕されたのですが、その時に特捜部が大手証券・大手銀行から押収していた大量の資料から大蔵官僚への接待の伝票が山ほど出てきたのでした。

 そこで先回、中島や田谷を取り逃がしていた特捜部が、今度こそ現職キャリア官僚を逮捕するチャンスだと色めき立つのです。
 
 幾つかのルートに分かれた捜査の結果、1998年初めに大蔵省から待望の現職のキャリア官僚(証券局課長補佐)1名を含む5名を収賄容疑で逮捕しました。その中にはキャリアOBの道路公団理事、ノンキャリアの金融証券検査室長などが含まれていました。また別に、日銀の現職証券課長も逮捕しました。

 金融機関からの接待を収賄と認定したのです。

 しかし、その捜査の途中で、何と検察庁から大蔵省へ出向していた2人の現職検事までが、接待を受けていたことが分かったのですが、これは見事にモミ消されました。

 これについては、石塚健司氏の「特捜崩壊」(2011年7月15日発行・講談社)に詳しく出ています。

 この捜査は、特捜部お得意の最初からキャリア官僚1人のみをターゲットにし、贈賄側の金融機関の幹部や同僚の大蔵官僚を連日厳しく取り調べ、「お前も逮捕するぞ」と恫喝して積み上げた調書で、やっと400万円程の収賄を立件したのでした。

 しかも「現金授受」ではなく「接待」そのものを「収賄」と認定した「無理筋」であり、肝心の職務権限を使った「受託収賄」まで切り込めず、「単純収賄」で起訴しただけでした。とにかくキャリア官僚1人を逮捕することが目的だったのです。
従って裁判では逮捕された全員が有罪判決を受けるも執行猶予付きでした。

 大蔵省としても、そうなると内部処分をせざるを得ず112人もの大量処分を出し、「接待王」と言われていた官房審議官(銀行担当)の杉井孝と証券局長の長野を自主退職させました。

 しかし、特捜部の捜査は常に政治的背景があるのです。その結果の方が重要なのです。

 まず、これをきっかけに大蔵省が解体されて金融庁と財務省に分離されます。これはそもそも橋本内閣時の省庁再編では一旦見送られていたものが、この事件で復活したのです。

 そして(これが最重要なのですが)、本来は大蔵省の天下りポストが次々と法務省・検察庁に奪われてしまいます。
 大蔵省の下部組織のはずの証券監視委員会委員長、預金保険機構の理事長、公正取引委員会委員長などです。

 さらに、事件の最中の1998年6月に発足した金融監督庁(後の金融庁)の初代長官まで元名古屋高検検事長の日野正晴に奪われ、さらに証券取引等監視委員会も金融庁(トップが検察庁出身者)の下部組織に組み込まれたのでした。

 ここで、金融・証券市場の監視権限は、完全に検察庁に移って現在に至っているのです。

 さらに、逮捕された大蔵官僚の中に金融検査の関係者がいたため、ここから銀行に対する検査が異常に厳しくなり、表題の旧・日債銀事件や旧・長銀事件が起こるのです。

 この銀行に対する検査の厳しさは、銀行の貸し渋り・貸しはがしを生み、現在まで至る景気低迷の最大の原因となっているのです。 銀行検査だけでなく、証券行政に対する異常な厳しさも、これまた現在まで続く証券市場の不振を生んでいるのです。

 極論すれば、職務権限なしの僅か400万円の単純収賄で大蔵キャリア官僚1人を逮捕した結果、検察庁がここまで旧大蔵省の領域を浸食出来たのです。

 そしてその結果、現在まで至る景気低迷を引き起こしているのです。

 本来は、これら官僚の暴走を止めて国民のために働いてもらうようにするのが国民の負託を受けた内閣なのですが、野田新内閣の各閣僚の会見を聞いていると暗澹たる気持ちになってしまいます。

 とくに重要なのは法務大臣、財務大臣、防衛大臣なのですが頼りなさそうですね。

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