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FRBの追加金融緩和と市場の反応

2011年09月23日

FRBの追加金融緩和と市場の反応

 FRBの追加金融緩和が発表された9月21日と、翌22日(ともにNY時間)の世界の金融市場は大混乱でした。

 発表された追加金融緩和の内容は、FRBが4000億ドル(約30兆円)の残存期間が6~30年の長期国債を買い入れ、3年未満の国債を同額売却するというもので、全体としての買い入れ枠の増加はありませんでした。

 これは全く市場の予想通りだったのですが、踏み込んだ内容ではなかったための失望感から、NYダウは21日に283ドル、22日に391ドルの急落となりました。
 タイミングの悪いことに、ちょうどシティ、バンカメ、ウエルスファーゴといった大手米銀の格下げがあったことも下げ幅を大きくしました。

 当然アジア株式、欧州株式も急落しているのですが、特に欧州については域内の大手銀行がギリシャなど問題国への債権を大量に抱えていることも顕在化してきています。

 いずれにしても、これから欧米の国家や銀行は格付け機関のヒステリックな格下げの嵐に見舞われるはずで、混乱が増幅されることを覚悟しなければなりません。
 特に、世界的な銀行の格下げは、世界に深刻な信用収縮をもたらし、世界経済の一層の低迷を招きます。

 さて、9月22日のNY時間までの世界の金融市場を、もう少し具体的に見てみましょう。

 米国債市場は、当然ですが米国10年国債の利回りは1.72%まで下落し、2年国債は逆に0.20%まで上昇しました。

 そもそも論なのですが、中央銀行(FRB)の金融政策とは市場に供給する資金の量を調節することにより短期金利を誘導し、あくまでも間接的に経済活動をコントロールするべきものなのです。
 従って、前回のFOMCで決定した「現在のゼロ金利を、少なくとも2013年央まで継続する」との決定は、それによって2年未満の国債の利回りを引き下げる効果を期待していることは明らかなのですが、ぎりぎり中央銀行の権限の範囲内だと思われます。

ところが今回の決定は、3年未満の国債をわざわざ売却して30年までの長期国債と入れ替えるというもので、明らかに限られた選択肢の中で長期金利を引き下げて経済活動を活発化させようという意図があります。
 しかし、短期金利(2年の国債利回りまで含めることにしましょう)は金融政策でコントロールできるのですが、長期金利は経済実態、特に経済に対する市場心理を強く反映するもので、本来金融政策でコントロールできないものなのです。

 米国の過去2回の量的緩和の際も、はっきりと量的緩和をすると市場心理が好転し、結果、10年国債の利回り上昇しているのです。これは「健全な金利上昇」で、逆に最近のように10年国債の利回りが2%を大きく割り込むまで低下するということは「市場の経済先行きに対する不安」を強く反映しているのです。

 今回の決定は、長短の金利差を一層縮小させることにより金融機関の収益を圧迫することになり、その結果、融資姿勢がますます厳しくなって景気がさらに悪化することになるのです。

 追加の量的緩和に踏み込めなかったことは政治的背景が大きいようです。かといって今回の決定は、はっきりと「間違い」で弊害の方が大きいはずです。市場はそれを感じ取っているのです。

 ドルは、対円ではあまり変化がありませんが、対アジア通貨、対資源国通貨では上昇しています。典型的なのが豪ドルで、半年ぶりに1豪ドル=1ドルを割り込み、対円でも半年前の89円台から74円台まで下落しています。

 ここで、ドルがアジア通貨(特に韓国ウォン)や資源国通貨に対して上昇しているのは、過去の米国の量的緩和で供給されていた大量のドルが、これらの国に投資されていたものが、一斉に還流していることを示しています。
 日本株で外人売りが続いているのも同じような理由で、新興国・資源国を含む世界経済への悪影響も大きいのです。

 ということは、円はドルだけでなく、ユーロを含むすべての通貨に対して上昇することになり、ますます日本経済へのダメージが大きくなるのです。

 このように、今回のFOMCは世界経済から見て非常に重要なポイントだったのですが、政治的圧力に負けて中途半端な決定に終わったことは、世界経済にとって大変「不幸」な結果をもたらすのです。

 ここ2日の世界の金融市場の大混乱は、その「不幸」を強く暗示しているのです。
 9月5日付け「世界大不況の入り口
 9月12日付け「日米欧それぞれの問題」もご参照ください。

平成23年9月23日

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