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外務省の闇・「沖縄密約」について  その2

2011年10月05日

外務省の闇・「沖縄密約」について  その2

 昨日の続きです。

 西山・元毎日新聞記者が入手した「密約」とは、沖縄返還協定に際し、本来は米国が支払うべき地権者に対する原状回復費用400万ドル(当時の為替レートで12億円)を、実際は日本政府が肩代わりしていたというものです。

しかしその「密約」を示す秘密電文のコピーを受けとった社会党(当時)の横路孝弘・楢崎弥之助両議員が、情報源を全く秘匿せずに衆議院予算委員会で公開してしまったことも信義上の大問題なのです。横路孝弘氏は、現民主党政権下の衆議院議長です。

 昨日も書きましたように、米国公文書館で既に機密解除になっている文書は「密約」によって日本政府が肩代わりした金額は400万ドルではなく、合計1億8700万ドル(当時の為替レートで576億円)の巨額だったことを示しています。

要するに日本政府は沖縄を576億円で「買った」のですが、個人的には沖縄が返還されたことは事実なので、堂々と国民に説明すればよかったのだと思います。そうしなかったのは、そこにも巨額の「利権」が存在したからなのでしょう。

そして、「事件」は思わぬ方向に進み始めます。

 1972年4月4日に、東京地検特捜部が外務省の女性事務官を国家公務員法違反(機密漏洩)で、西山・元記者を同法違反(教唆)で逮捕します。

事件を担当した佐藤道夫検事の起訴状には「ひそかに情を通じ、これを利用した」と強調されており、ここに国家の「密約」は完全に低次元のスキャンダル事件にすり替えられたのです。

 最初は西山を擁護していた毎日新聞も、ここに至って「記者の不祥事をお詫び」し、「密約」のマスコミの追及は完全に止まったのです。

この捜査を指示したのが沖縄返還の最高責任者であった当時の佐藤栄作首相でした。まさに「密約」の存在を国民の目からそらすための典型的な「国策捜査」だったのです。

女性事務官と西山・元記者は、ともに執行猶予つきの有罪判決となりました。また裁判の間、両被告を巡る泥試合は格好のマスコミの話題になりました。マスコミの、重要な事実を追及せずに下世話な話題ばかり追いかける姿勢は現在も変わっていません。

佐藤栄作首相は、その直後の1972年6月に勇退し、1974年にはノーベル平和賞を受賞します。また、この「国策事件」を担当した佐藤道夫特捜部検事は札幌検事長まで出世し、その後、参議院議員を2期務めます。
 
 さて、何度も書いているのですが、米国公文書館では機密指定が解除され、2000年頃にはすべての「沖縄密約」は公開されました。

 しかしその後の2002年6月にも、当時の川口順子外相が「2000年頃に当時の河野洋平外相が、吉野文六・元アメリカ局長に密約の有無を確認したところ、密約はないと回答したと聞いている」と、はなはだ頼りない答弁を行っています。

そして、2006年2月にも当時の安倍晋三・官房長官が、さらに2007年12月にも当時の高村正彦外相が「密約は全くなかった」と、あくまでもシラを切り通しているのです。

さて、2009年8月に民主党政権が発足すると岡田克也外相が、外務省の薮中事務次官に「日米核持ち込み密約問題、朝鮮半島有事の軍事行動に関する密約と並んで、沖縄返還の密約」について調査報告をするように求め、当然のように無視されると、外部の有識者による「日米密約に関する有識者委員会」を設置するなど、一応努力はしているものの結果が何も出ていません。

 一方、西山・元記者ら25人は、2009年3月に文書開示と慰謝料請求(これが良く分からないのですが)を求めて、いわゆる「密約訴訟」を起こします。
最大のイベントは、同年12月に原告側証人として出廷した前述の吉野文六・元局長が、初めて「事実を歪曲するのは国民のためにならない」として「密約」の存在を認めたことでした。

東京地方裁判所は2010年3月に「国民の知る権利を蔑ろにする外務省の対応は不誠実」として原告の主張を全面的に認め、文書開示を国に求めるという画期的な判決を言い渡しました。

しかし、これが9月29日に東京高等裁判所で取り消されたのです。理由は前回書きましたように「裁判所が文書は存在しないと認定したので、開示の必要は無い」という恐ろしく逆行する判決だったのです。

9月26日の「陸山会事件」での、物的証拠の何もない裏献金まで「ある」と認定した東京地方裁判所の判決と並ぶ、奇怪な判決です。

最後の「良識」であるはずの裁判所まで、このような判決を繰り返すことは、暗澹たる日本の先行きを強く暗示しているのです。

平成23年10月5日

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コメント
密約は仕方なかった
私は67歳で、当時のことを覚えてますが、あの密約はしかたなかったと思ってます。当時は沖縄を返還させることが第一目的でしたからアメリカのひそかな要求に応じたのは間違いではなかったと考えます。それに水をさすような暴露は不要だったと思いますし左翼政党を利するものだったと思います。もっとも昨今の沖縄のことを考えますと、沖縄返還はなかったほうがよかったのではとも考えたりしますが…。
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