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ソロスの錬金術! その1

2010年11月18日

ソロスの錬金術  その1


 1990年頃の話ですが、本屋で「ソロスの錬金術」(邦題)という本を見つけました。読み始めると非常に難解な本で、ほとんど放り出しそうになった時に、後ろの方に「壮大な実験」とかいう副題がついた章がありました。ソロス自身が考えたこと、実際取り引きした内容、日々のポシションと損益を日記風に書いたものですが、非常に興味深く、この章だけは何度も読み返しました。
 当時は、ジョージ・ソロスという名前も、ヘッジファンドという言葉も殆どなじみがありませんでしたが、世界中の金融市場を見渡して、割高なものと割安なものの組み合わせを見つけ出し、大規模なポシションを積み上げ、相場の方向にかかわらず利益を出していく手法だということはわかりました。

 今思うと、この本の難解な部分は、ソロス独自の「再帰理論」についての説明で、その後のソロスのどの著書にも出てきます。いまだに「なんとなく、こんなことなのかなあ」程度の理解しかできていませんが、要するに「相場は、それを取り巻く人々の言動によって動き、その動きがまた多くの人の言動に影響を与え、ますます一方方向に動く。それは相場自体が支え切れなくなるまで続く」、つまり「相場は常に間違った方向に動くけど、一度動き出すと、もっともっと間違った方向に動き、壊れるまで続く」ということなのだと思っています。

 ソロスは、1969年にジム・ロジャースともに「クォンタム・ファンド」の運用を始めました。いわゆる「グローバルマクロ」と分類されるヘッジファンドで、ジュリアン・ロバートソンの「タイガーファンド」と双璧だったのですが、タイガーの方は10年ほど前に解散しています。
 「クォンタム・ファンド」の方は、ジム・ロジャースは1980年ころに離れましたが、1990年代に、ソロスとスタンレー・ドラッケンミラーのコンビで世界中に勇名を轟かせました。

 1992年9月に、当時ヨーロッパの主要国はERM(欧州為替相場メカニズ)に加入しており、
各国の為替変動を基準値から上下2.25%以内に抑える事実上の固定為替をとっていました。そのために各国はどうしても金利を高めに維持しなくてはならず、特に英国では景気の悪化から金利引き下げと,それに伴うERM離脱が囁かれていました。
ソロスとドラッケンミラーはそこを突き100億ドル相当以上のポンド売りを仕掛けました。イングランド銀行は9月16日に、1日に公定歩合を2度にわたり10%から15%に引き上げ、当時の蔵相が「絶対にERMを維持する」(つまりポンドの買い介入する)と宣言したのですが、他からも嵐のような売り浴びせを受け、ついにその日の夕方に白旗を上げ、ソロスは20億ドルを一夜で儲けたといわれています。

ここで、ポンドのERM離脱(つまり切り下げ)を予想してポンド売りを仕掛けるということは、別に特別なアイデアでもなく、多分みんな考えたことです。ソロスが普通でないのは、これを100億ドル以上仕掛けたことです。一説によると、ドラッケンミラーが「絶対自信があるから、10億ドル相当額のポンド売りを仕掛けよう」と思い切ってソロスに持ちかけました。それを聞いたソロスが、「自身があるのだったら、なぜ10億ドルしかやらないのだ?」と言って、結局100億ドル相当以上のポジションにしたといわれています。
もうひとつ、英国蔵相がポンド防衛のために100億ドル相当の(買い支えの)予算があると手の内を言ってしまったことです。「やれるものならやってみろ。投機家ども」と言ったつもりだったのですが、上限額を相手側に知らせてしまうという致命的なミスでした。

結果論ですが、ERM維持をあきらめた英国は、その後金利を引き下げ、原油価格の上昇もあって、長期にわたって好景気に沸くのです。だから英国は今もユーロに参加していないのだと言われています。

 1997年には、ソロスは東南アジア通貨を売り浴びせ、アジア危機を引き起こしたとも言われていますが、これはソロスだけの仕業ではないようです。

 ここで、明日はソロスになったつもりで、グローバルマクロのポジションを作ってみようと思います。まず、世界各国の経済全般、金融政策、財政政策、その他を勘案した基本シナリオを作り、為替、株式、債券すべての割高・割安の組み合わせと、ウエート付けと、レンジを決めていくのです。
 前にも言った通り、ヘッジファンドの基本シナリオは驚くほどシンプルです。そしてチェックポイントをいくつか決めて、シナリオを変更するかどうかを考えるのですが、「迷ったら、変えない」ということで徹底的に同じシナリオで攻めるのが普通です。


平成22年11月18日

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