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オリンパス事件の今後の展開  その2

2011年12月06日

オリンパス事件の今後の展開  その2

 昨日の続きですが、間もなく発表される第三者委員会の調査報告書案の一部が、本日(12月5日)付けの日経新聞に出ていましたので、少し付け加えておきます。

 オリンパスは、損失を海外に移す「飛ばし」を1999年3月期から始めたようです。ちょうど2001年3月期から時価会計が導入されることになり、その概要が公表されたころです。因みに、その時点の社長は「記憶にない」と言われている岸本氏です。

 日経新聞の本日付の同じ記事には「損失は2000年時点の1000億円弱から、ピークには1300億円程に拡大」との説明があります。

実は、11月11日付けの同じ日経新聞に「損失隠しのために水増しされた資産残高」という極めて興味ある記事が出ていたのですが、その後一切取り上げられていません(司法クラブで叱られたのですか?)。

 それによりますと、「水増しされた資産」は2000年3月に300億円、ピークが2005年3月の1350億円、2007年3月が1270億円となっています。つまりピークの損失が1300億円というのはつじつまが合っているのですが、同じ日経新聞の出した2000年時点の「損失額」と「水増しされた資産」が大きく違っているのです。

 何故こだわるのかと言いますと、以前から単に運用損失だけでは1300億円もの巨額にならないと思っているからです。だからそもそも損失はいつどれくらい発生し、どのようにして1300億円もの巨額に膨れ上がったのかを知りたいのです。

 非常に穿った見方なのですが、2000年に1000億円の「損失」を海外に「飛ばした」ことにしておけば2007年頃に1300億円になっていたとしてもあまり違和感がないからで、逆に有価証券報告書の訂正もせず、第三者委員会の主たる調査期間でもなさそうな2000年以前の損失に大きな「闇」が残ったままになるかもしれないのです。

 とにかく、帳簿を精査しているはずの第三者委員会の調査報告を待つことにします。

 さて、昨日の続きの「刑事責任」が問われるかどうかです。

 そもそもオリンパス事件は海外から発覚したもので、日本の「捜査当局」としてはどう転んでも「手柄」にならず、いつもの「存在感を誇示する」目的にも使えず、逆に「今まで気がつかなかった」責任を問われる可能性まであり、ひたすら「早く」「穏便に」済ませてしまいたい事件のはずなのです。

 従って「捜査当局」としては、今さら上場廃止にして新たに株主の損失を大きくすることや、新たに誰かをスケープゴートにして「逮捕」する必要性もあまりないはずなのです。

 そもそも「刑事責任」を問えるかどうかについても非常に微妙です。考えられる「容疑」は金融商品取引法の「有価証券報告書の虚偽記載」と「偽計」、刑法では「背任」くらいなのですが、どれもすべて微妙です。

 一番簡単そうなのが「偽計」なのですが、これには「有価証券の売買等を有利にするため」という目的が必要であり、唯一使えそうなのが2005年8月に行っている第三者割当増資を「成功させるため」なのですが、この時点は旧・証券取引法の適応時期であり「偽計」の時効は5年で成立してしまっています(現在の金融商品取引法では10年です)。

 いずれにしても、あくまでも考えられる「容疑者」は森・元副社長と山田・常任監査役だけであり、これに対して「最近まで知らなかった」らしい菊川元社長や、菊川氏以前の社長の下山・岸本両氏、当時の監査法人、それに損失隠しを主導したとされる外部の4名(注)や、それ以外の「どさくさに紛れて儲けた」ブローカーなどはすべて対象外だと思われます。

(注)アクシーズ・元代表の中川昭夫氏、アクシーズ・アメリカ・元代表の佐川肇氏、元・野村証券事業法人部の横尾宣政氏、横尾氏と同時期に野村証券事業法人部に在籍し、最近までオリンパスの社外役員だった林純一氏の4名です。
最近ロイターが香港で中川氏の居場所を突き止めたそうです。すごい執念ですね。
 
 まあ、年明けに東京地検特捜部がオリンパスに強制捜査に入り、山田・森両氏を逮捕する可能性もなくはないのですが、前述のように「捜査当局」の方もそれほどモチベーションが高いわけでもなさそうです。

 それより、山田・森両氏を逮捕してしまったら、今度は巨額の株主の損害賠償請求訴訟が起こる可能性が高くなります。逮捕されたら損害賠償が認められると言う単純なものでもないのですが、金融商品取引法では損害賠償に係る株主の立証責任が緩和されており、つい先日もライブドアに対する株主の損害賠償訴訟で大幅に株主の損害額を認める判決が出ています。

 せっかく上場が維持されても、巨額賠償金で債務超過になって上場廃止という訳にもいかないので、ますます「捜査当局」は動きにくくなると思います。

 さて、ウッドフォード氏の方は取締役を辞任して、一部株主の協力のもとに社長に復帰することを目指す作戦に切りかえたようです。正直言ってウッドフォード氏自身が、単に「正義感」だけで動いているとはどうしても考えられません。

 まあ、オリンパスで名実ともに最高権力者になって、ゴーン氏やストリンガー氏のような高額報酬(8億円以上)を取ることを夢見ているのでしょうが、無理でしょうね。

 最後に、海外の当局の動向は引き続き注意しなければならないのですが、特に米国在住のアクシーズ・アメリカが受け取った報酬(正確には優先株の高値売却)は米国税当局の管轄で、支払った側(オリンパス)に源泉税(30%)支払いの義務が発生します。

 確か600億円の報酬だったので、その30%は180億円です。これは絶対に米国税当局に「徴収」されてしまいます。

 まだまだ、目が離せないようですね。

 ちなみに昨日の画像の件ですが、皆様のご意見を取り入れて、「目」をもとに戻しました。ご意見ありがとうございました。

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コメント
>日経新聞の本日付の同じ記事には「損失は2000年時点の1000億円弱から、ピークには1300億円程に拡大」との説明があります。<

>それによりますと、「水増しされた資産」は2000年3月に300億円、ピークが2005年3月の1350億円、2007年3月が1270億円となっています。つまりピークの損失が1300億円というのはつじつまが合っているのですが、同じ日経新聞の出した2000年時点の「損失額」と「水増しされた資産」が大きく違っているのです。<

オリンパスは、決算期が違う会社との間で、含み損がある有価証券を転売する「飛ばし」作業で、オリンパス決算期に損失が発生しない粉飾決算をしていたのかと推測しますが。

★その飛ばし相手「会社」はどこなのかは、わかるはずかと思いますけど!公表はされないでしょうね。

この「飛ばし」期間も株主へ配当をしていましたから・・

廃業した「山一」証券と「飛ばし」では同じかと!
元の眼に戻り「眼力」を感じます!
前職でM&A業務に係っておりましたが、かなり大胆な不正ですよね。監査法人が気づかないわけがありません。

1億や2億の買収案件でも買収価格が適正かどうか、対象会社の決算書の内容や、買収時の事業計画書との乖離を毎期チェックされていましたからね。当然、買収先企業の技術やノウハウを取得するために多少無理な買収もありましたが、ここまでやってしまうと、株主軽視もいいところです。

こんな不正が許されるのであれば、まともにやっている企業がばかばかしいです。ご指摘の通り、捜査当局がどこまでやる気か見えてこないところがありますが、前任の経営陣を含めて徹底チェックして頂きたいですね。
ゴールドマンサックスが関わってる噂があるらしいです。
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