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オリンパス事件で見えてきた「落としどころ」  その2

2011年12月13日

オリンパス事件で見えてきた「落としどころ」  その2

 本誌がオリンパス事件を取り上げる理由は何度も書いてきたのですが、もう一度だけ繰り返します。

 そもそも大型の経済事件とは、多数の中から「当局」にとって「意義」のあるものが選ばれ、国民には別の「社会的意義」が示され、「逮捕される者」「容疑」「シナリオ」や「落としどころ」がすべて決められた後に、マスコミにリークされて初めて皆様が知るのです。

 つまり「当局」は、国民のために「本当に悪い奴」を順番に懲らしめてくれているわけではなく、「当局」にとって「意義」のある順番に取り上げていくのです。こういった例を本誌では多数ご紹介しているのですが、とりあえず3月9日付け「あの事件はどうなった その6 リクルート事件の検証」だけでも読んでみて下さい。

 しかしオリンパス事件は海外の報道と捜査機関の動きが先行したため、本来なら「落としどころ」が決まってから発表されところが、「落としどころ」が決められて行く過程を実況することが出来たため、それを書いてきたつもりです。

 そして、いよいよ「落としどころ」が現れてきました。

 それは、12月9日付け「オリンパス事件で見えてきた落としどころ  その1」にも書いたように、「誰か」が「経営改革委員会」を通じてオリンパスを掌握し「最終処理」することなのです。第三者委員会の調査報告書は見事にそれを「正当化」しています。

 ここでいう「最終処理」とは、今のところ会社としてのオリンパスを残し、「天下り」はもちろんのこと事業再編や資産売却などの「利権」を確保することであり、その過程で今まで不思議に沈黙を守ってきた銀行には貸付債権を保全することで協力させるのです。

 その「誰か」とは「官僚」それも「旧大蔵省の官僚」に違いないのですが、これはあとでもう少し詳しく書きます。

 従って、オリンパスの企業価値を毀損させることになる上場廃止を、「当局」の一員である東京証券取引所が独自の判断で出来るはずがありません(特設注意市場銘柄に指定する可能性はあります)。

 11月8日の会社発表まで損失隠しを知らなかったらしい監査法人は、今回も「適正意見」を付けることにしたようです。これで12月14日は何の問題もありません。

 その後に東京証券取引所は訂正された有価証券報告書について「悪質」かどうかの審査を行うのですが、自ら策定した「上場廃止基準」など何とでも「解釈」出来るのです。

 「当局」がオリンパス事件に関して「刑事責任」を問うかどうかについては、まだ最終決定されていないようですが、すでに「容疑者」として山田・元常任監査役と森・元副社長が「選ばれて」おり、その他の元社長などはすべて「容疑」を固めるための証言をするだけとなります。

 もちろん、100億とも200億とも言われる「収益」を山分けした「指南役」や「ブローカー」などはすべて全くの安全圏です。

 ただ、以前も書いたのですが「容疑」の選定は非常に難しいと思われます。

 大体こういう事件は、立証が比較的容易な「偽計」を適応します。しかし「偽計」とは、「有価証券の売買を有利にしようとして、市場を欺くために嘘の情報などを発表するもの」で、オリンパス事件ではこの「有価証券の売買を有利に」のところがないのです。

 余談ですが、2009年11月に摘発された東理ホールディングス事件は、福村康廣社長(当時)が2005年に合計80億円の増資資金を集めて、そのうち24億円ほどを報酬として受け取っていたもので、特別背任事件として警視庁4課が2課の協力を得て逮捕したものでした(この場合は、検察庁は刑事部の担当となります)。

 ところが先日の裁判ではなんと「無罪判決」が出たのですが、これは「容疑」を立証の難しい「特別背任」としたからです
実際80億円の資金を会社のために福村が集めてきたことは事実で、福村が集めなければ会社がつぶれていたことも事実で30%もの報酬も「違法」とは言えないとの判決理由です。
非常に微妙なのですが、「特別背任」か?と聞かれれば「そうではない」と思います。

 これは、福村を「24億円も自分が受け取っているのにそれを開示させず、80億円全額の払いこみが完了している開示をさせて株価の維持・上昇を図り、引き受けた新株の高値売却をもくろんだ」という「偽計」で起訴しておけば、少なくとも「いい勝負」に持ち込めたはずです。

 まあ、担当が警視庁捜査4課だったので、その資金が「暴力団」に流れたと思って逮捕したのでしょうが、それを立件できなかった時点で「負け」だったんでしょうね。

 要するに逮捕して起訴するからには、有罪に持ち込める「容疑」でなければならないのですが、その辺は東京地検特捜部に「1日の長」があります。しかし報道によりますと、オリンパス事件は東京地検特捜部ではなく警視庁捜査2課が証券取引等監視委員会と合同で一斉捜査に乗り出すと書かれています。

 いままでも証券取引等監視委員会には、東京地検特捜部に直接告発が上がってこない「開示捜査課」に担当させており、どうも「当局の司令塔」の東京地検特捜部の腰が引けている感じがします。まあ、いまさら「手柄」にもならないうえに、立証が難しいことも理解しているんでしょうね。

 話を戻しますが、それでは「誰か」が旧大蔵省官僚だとしてその目的は何なのでしょう?

 これは、単にオリンパスの「天下り先」を含めた「利権」だけが目的でなく、旧大蔵省全体の「権力拡大」がかかっているような気がします。

 旧大蔵省は、傘下のはずの金融庁や証券取引等監視委員会の実権を検察庁に奪われており(9月6日付け「旧・日債銀の経営陣への無罪判決とその背景  その2」に詳しく書いてあります)、また「大物天下り先」も奪われたままになっています。

 「大物天下り先」とは具体的に、日銀総裁、合併する「日本証券取引所」初代社長、前述の「証券取引等監視委員会」委員長などで、この際「東京電力」社長なども含まれているのかもしれません。

 オリンパスにしても東京電力にしても本来の担当は「経済産業省」なのですが、そこは予算配分権を持つ旧大蔵省が強いのです。「たなざらし」になったままの「経済産業省幹部のインサイダー事件」も利用するかもしれません。

 もちろん、オリンパス事件だけでこれらが全部出来るわけではないのですが、とにかく「旧・大蔵省」の「権力拡大」という大きな流れの中の1つの材料に使われるような気がします。

 旧大蔵省の財務省では、異例の3年目に入った大物次官・勝栄二郎氏の在任中、さらに自由に操れる野田内閣のうちに、一気に「権力拡大」をするつもりだと改めて感じました。

 「いくらなんでもそんな」と思われるかもしれませんが、「官僚」とは8世紀初めの律令時代から1300年以上も権力の近くに潜んで力を蓄えている「鵺(ぬえ)」のようなもので、決して侮ってはいけないのです。

 本日はいつもより「踏み込んで」書いたので、長くなってしまいました。

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コメント
すると旧大蔵省の関連で東京電力も企業存続していく公算が高いのでしょうか?是非とも東京電力の今後株価についても踏み込んだ分析お願い致します
とても気になってるのですが、
前回の選挙までオリンパス役員秘書だった人が、
元大蔵官僚の衆議院議員●泉龍●氏の公設第一秘書になってます。
しかもオリンパス社長秘書と株コンサルティング会社社長と
会合をくり返していたのが分かっています。
その議員の父親も旧大蔵官僚OBです。

早く真相が表に出ないかなぁと思ってます。
闇株新聞さんの見識はすごいと思います。日本経済は政治(含官僚)によって動く。認識を新たにしました。
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