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2012年に起こりそうなこと  その3  「英国のEU離脱」

2011年12月26日

2012年に起こりそうなこと  その3  「英国のEU離脱」

 このシリーズの3回目で、今回は「ユーロ」の行方についてです。

何故「英国のEU離脱」という題にしたかといいますと、「ユーロ」の行方を考えるためにはEU(欧州連合)の歴史と方向性を理解しておくことが不可欠で、今まで紆余曲折はあったものの強化・拡大一辺倒だったEUが最初に行き詰まるとすれば「英国のEU離脱」だと思うからです。

 「ユーロ」の仕組みはEUの経済政策の1つである通貨政策に過ぎず、これだけ見ていても全体が分からないからです。

 12月9日に財政規律の強化を目指すEU基本条約の改正案に、英国が事実上の拒否権を行使しました。直接の理由は金融取引税の導入などの金融規制の強化が「シティ」の利益に反することで、これが将来的にも「英国のEU離脱」を意味するものではないと言われています。

しかしEUの歴史を見ていくとどうもそうでもなさそうで、少なくとも「英国のEU離脱」論がもっと出てきて、これが「ユーロ」の運営に大きな変化(つまりダメージ)を与えるような気がしてならないのです。

 EUの前身は1958年に発足した欧州経済共同体(EEC)で、構成国はドイツ・フランス・イタリア・オランダ・ベルギー・ルクセンブルグと、見事にゲルマン民族の「フランク王国」を起源とする6カ国の集まりでした(7月19日付け「ユーロの行方・ヨーロッパに歴史  その3」あたりに出てきます)。

 EEC発足当初は、参加6カ国も他国に参加を呼び掛けることに積極的でなく、旧・フランク王国の閉鎖的な共同体だったようですが、ようやく1973年に英国、デンマーク、アイルランドの参加が認められます。しかし英国の参加についてはドゴールが最後まで反対したようです。

 その後1981年にギリシャ、1986年にスペインとポルトガルが参加します。しかし、その間にノルェーとスイスが参加を申請しながら自国の国民投票で否決されて参加できず、またトルコもそのころから参加申請をしながら現在に至るまで(EUが発足後も)認められていません。

 大きな変化が1989年以降に訪れます。

東ヨーロッパの社会主義国諸国で政変が続き自由主義陣営への参入が予想されたため、この際、経済分野だけでなく外交・安全保障、司法・内務協力といった全ヨーロッパ的な協力枠組みを作ろうと、1993年11月1日にEECを発展的に改組したEU(欧州連合)が発足しました。

もちろん主導したのは旧・フランク王国の6カ国、とりわけドイツ、フランス、イタリアで、冷戦終結後の米国に対抗した一大勢力を作ろうとしたのです。
 前述のドゴールが英国の参加に反対していたのは、英国がEECにとって米国の「トロイの木馬」になることを警戒したからで、参加後も英国の立場は割合「微妙」なものだったはずです。

 EU発足後も、1995年にオーストリア、フィンランド、スェーデンが参加し計15カ国になり、そのうちギリシャ、英国、デンマーク、スェーデンを除く11カ国で1999年1月1日に統一通貨「ユーロ」がスタートしました(ギリシャは2001年1月1日にユーロ構成国になりました)。

 EUの参加国はその後も拡大を続けて現在27カ国となり、前述の経済・外交・司法などを統括する全ヨーロッパ的な共同体を目指して拡大中であり、通貨統合もそのうちの(重要ではあるものの)1つの政策に過ぎないのです。

 重要なことは、なぜ「ユーロ」の仕組みを堅持し通貨統合の拡大を目指すのかは、それが全ヨーロッパ的な共同体であるEUを強化・拡大していくことが「今のところ」当然であり、通貨統合もその1つの重要政策だとされているからなのです。

 ギリシャなどのユーロ構成国で債務問題を抱える国を全ヨーロッパで支援するのも、債務問題国も「今のところ」ユーロにとどまるために緊縮財政を行う唯一のモチベーションが、このEUの強化・拡大なのです。

 ところが、その中で(比較的大国の)英国が反旗を翻したのです。

 もともと英国は、フランク王国(フランク族)と同じようにゲルマン人のアングロ族とサクソン族がローマ帝国の支配下から独立し(先住のケルト人を追いやりながら)、これもゲルマン人であるバイキングの海賊王ロロ(ろろ)の末裔でフランク王国のノルマンジー公・ウイリアム(征服王)が統一した王国で(英国王室は海賊の末裔なのです!)、フランク王国との関係が微妙でしょっちゅう戦争をしていたのです

 余談ですが、英国と同じくバイキングの末裔の国であるスェーデン、デンマークもユーロ構成国ではなく、ノルェーはEUにも未加入です。バイキングはユーロが嫌いなようです。フィンランドは地理的に近いのですがバイキングの末裔の国でなく、旧・匈奴のフン族の建てた国だと言われています。こちらの方は当初からのユーロ構成国です。

 話しを戻しますが、英国は旧・フランク王国勢が主導を握るEUにはそれほど執着していないはずです。その一例として英国はユーロ構成国になるために自国通貨を一定期間基軸通貨(現在はもちろんユーロです)に対して上下2.25%に保たなければならないというERM(ユーロスタート後はERM Ⅱ)を1992年に離脱したまま再加入していないのです。

 離脱の原因はもちろんジョージ・ソロスにポンドを売りたたかれたからなのですが、そこでERMを離脱した英国は経済運営に自由度が増し、その後長期の経済発展を遂げます。
 つまり英国はそもそもユーロを導入する意思もなければ、EUにしがみつく理由も歴史的背景もないのです。

 繰り返しですが、もし「英国のEU離脱」が本格的に囁かれることになれば、その時が本当に「ユーロ崩壊」の第一歩となるのです。旧・フランク王国のイタリアはともかくとしても、ギリシャやアイルランドやポルトガル(場合によってはスペインも)などは緊縮財政を強いられてまでユーロにとどまる必要を「再考」するかもしれないからです。

 EUは必ずしも一枚岩ではないのです。

 やや分かりにくい理論かもしれませんが、EUの拡大・強化よりは国内事情を優先する英国に、債務問題国が追随した時が「ユーロ崩壊」の始まりなのです。

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コメント
確かに印欧語族ではないですが、フィンランドの祖先は匈奴ではないですよ。ハンガリーと混同されてませんか。
ユーロ参加国は、GDPの格差ありの国もごちゃまぜにした組織でもって対ドルに対してユーロを発行でしたから、その参加国のGDP格差が問題化<経済格差の歪み>したのかと<国際通貨基金統計・2010年度ドイツGDP・27兆5596億ドル、ギリシャGDP3兆4305億ドル>

ギリシャ債務は、金利上昇で負債は軽減されますけど、金利上昇は将来、インフレにつながります。

ドイツ・メルケル首相は、欧州共同債の発行には反対する立場:そりゃそうですね。ドイツの負担が多くなりますから。共同債発行は、ギリシャとドイツとが同一金利で資金調達できることになりますから、ドイツからすれば、それは、可笑しいんじゃないとなりますね!

宮沢首相とミスター円こと榊原英資氏とで、円基軸としたアジア通貨基金構想がありましたが、それは米国に握り潰されたようでした。ドル、ユーロに対するアジア通貨基金でしたが。現在は、中国の経済が台頭していますから、もう無理でしょうね!

そこには、何故か、ソロスが登場!サッチャー政権時に、ソロスは英国ポンドを売り浴びせ、また、ソロスは、タイ・バーツを売り浴びせてアジア通貨危機にしました。

マハティール首相は、ソロスの講演を禁止したとも言われていますが、そのソロス氏も引退声明!

細かいことですが、フランク王国とイギリスが戦争したことはありません。イギリス王国の成立はフランク王国の時代よりもずーっと後の時代の話です。また、フランク王国やイギリスがローマ帝国から独立こともありません。ザクセン人たちがグレートブリテン島に渡ったのはローマ帝国崩壊後ですし、フランク王国の成立もローマ帝国崩壊後ですから。

それと、スペイン、ポルトガルはもともと西ゴート王国で、そういう意味ではゲルマンですよ。

イギリスのEU離脱ですが。事実上イギリスを除いた26カ国グループが形成され、今後、イギリスはEUの重要な決定には事実上加われなくなる可能性があります。イギリスは実際的、EUから離脱というより放逐されたも同然の状態かもしれません。

イギリスのEU離脱はおそらくEU圏内では。とりわけユーロ圏内では日本で思っているほど大したインパクトはないと思います。なぜかというと、12月9日は「イギリス孤立=敗北の日」だったからです。実際にイギリスに追随しそうな国(ハンガリーなど)がイギリスを見捨てドイツに追随したわけですから。

スペイン、ポルトガルが負け犬イギリスのEU離脱に追随しユーロする可能性は、そのリスクの大きさからいってもゼロだと思います。
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