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「アイルランド」と「アイスランド」  その2

2010年11月26日

「アイルランド」と「アイスランド」  その2


 今日は「アイルランド」の話です。

 いま、まさにアイルランド危機として、新聞等で連日報道されているので、ポイントだけにします。

 「アイルランド」は、1990年代から規制緩和と法人税率の引き下げ(12.5%と日本の3分の1)、それに当時は比較的低かった賃金水準や、英語を母国語としているメリットなどもあり、外資が大量に流入し、多くの外資系企業が入ってきました。特に金融業や製造業の活動が活発になり、当時の成長率は10%を超えていました。

 それにユーロがスタートすると、「アイルランド」もユーロ構成国になったため、域内の為替リスクがなくなり、金利水準がやや高めのアイルランドに、今度は預金が大量に流れ込んできました。

 こうして、銀行が有り余る資金を国内の不動産融資に振り向け、不動産バブルとなってしまったところ、お決まりのサブプライム問題、リーマンショックの結果、銀行に大量の不良資産が発生しました。アイルランド政府が銀行を支援したため、財政赤字が一気に膨らんでしまったのです。

 今回、財政安定化支援基金から900億ユーロの緊急融資が行われることになり、ひとまず落ち着いたようです。

 昨日書きました、「アイスランド」の、預金も貸出しも大半が海外という「空中戦」とは違い、「アイルランド」では、有り余る資金の行く先が主に国内の不動産等であったのが違う点です。もうひとつ「アイルランド」はユーロ構成国なので、今後も為替レートの調整という処方箋が使えません。

 そもそも、今回の緊急融資は「アイルランド」政府に対して行われるわけで、その意味は「早く財政再建をしなさい」ということです。ユーロ構成国は単年の財政赤字をGDPの3%以下にするというルールがあります。構成国それぞれがこの財政規律を守り、それがユーロの信認を支えるという基本的な考えからきています。(もう一つ、インフレ率をユーロ圏の最低の3カ国の平均より1.5%以上、上回らないというのもあります)

 当たり前のことですが、今回の緊急融資は財政規律を守らせるために「とりあえず助けた」ので、当然、外資依存型の「アイルランド」経済の目玉である12.5%の法人税率も見直しの圧力がかかるはずです。
 
 つまり、ユーロ圏としては、「アイルランド」に対して、金融はこれ以上緩和しない、為替調整もやらない(もちろん域内の調整は不可能なのですが、それに加え、ユーロ自体を割安にすること方法もとらない)、財政規律は少し時間がかかっても守らせる、という処方箋を選んだのです。

 これは、何を意味するか?  もちろん「ユーロ高」です。

 多分ヘッジファンドも、ドル売り・ユーロ買いのポジションを再度積み上げてくると思われます。

 最後に、「アイルランド」についてもう少し説明しておきましょう。アイルランドはケルト人の国です。ケルト人と言うのは、もともとイギリスや欧州北部に住んでいたのですが、イギリスにゲルマン人の一種であるアングロ・サクソン人が入り込んできたため、周辺に追いやられ、アイルランドやスコットランドに住みつきました。

 アイルランドは、1801年にイギリスに併合され、19世紀中ごろに大飢饉があり、当時800万人くらいいた人口が半分になってしまいました。この時、多くのアイルランド人が米国に移住しました。米国ではアイルランド系の移民の子孫が3600万人と言われています。アイルランド本国の現在の人口が450万人であることからすると、いかに多くの人々が米国に活躍の場を求めたかがわかります。しかし、初めのころは米国でも、アングロ・サクソン系の移民から差別を受けていたようです。

 アイルランド系米国人の中には,ジョン・F・ケネディ、ロナルド・レーガン、ビル・クリントンの元大統領がいます。現職の副大統領のジョセフ・バイデンもアイルランド系です。

 個人的な考えで、違っているかもしれませんが、「アイルランド」はどちらかといえば、ユーロ圏の中では、今まで「虐げられてきた国」であるため、比較的簡単に支援のコンセンサスが得られたのではないかと思います。

 ギリシャは、欧州で最も早く(紀元前8世期ころ)から文化が発達した国であり、これも、「尊敬すべき国」ということで支援のコンセンサスが得られたのではないでしょうか。

 そのノリで行くと、スペイン、ポルトガルは、少なくとも「虐げられてきた国」とも「尊敬すべき国」とも言い難く、もし問題が深刻化しても、簡単に支援のコンセンサスは得られないような気がします。


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